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ギリシア語で読むギリシア神話 進撃のゼウス-ティタノマキア編

「神々と人々の王」ゼウスが雷霆を手に取り勇ましく進撃するさまを、『神統記』の記述の引用でつぶやいていきました。 今回は、ティーターノマキア編です。
人文 ギリシア語 ゼウス ギリシア神話 ティーターン
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ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【ゼウスの雷霆-その威力】『イリアス』ではオリュンポスから高見の見物を決め込んでいるゼウスの「活躍」の場は描かれていません。ヘシオドスの『神統記』にはティーターノマキアーとギガントマキアーの描写があり、ゼウスも「出撃」します。今日は前者の方から描写を拾っていきます。

例によって、原文-簡単な解説-拙訳という流れでつぶやいていきました。

ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【687行「本気を出す」】"οὐδ᾽ ἄρ᾽ ἔτι Ζεὺς ἴσχεν ἑὸν μένος, ἀλλά νυ τοῦ γε" "οὐδ᾽ ἄρ᾽ ἔτι"は「もう~することなく」、"ἴσχεν ἑὸν μένος"は「その力を制限する」という意味です。(続きます)
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)"ἀλλά νυ τοῦ γε"は否定の"οὐδέ"と呼応して「(~せずに)今やその」として次に続きます。要するに、「ゼウスはもはや手加減などすることなく」=「本気を出してやる」ということです。
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【688行「全力全開」】"εἶθαρ μὲν μένεος πλῆντο φρένες, ἐκ δέ τε πᾶσαν" "εἶθαρ"は「いっぺんに」、"πλῆντο"は"πίμπλημι"(満たす)の直説法アオリスト三人称複数受動態です。(続きます)
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)"φρένες"は"φρήν"(心)の複数主格で"πλῆντο"の主語になります。"ἐκ δέ τε πᾶσαν"は「その全てから」で次に続きます。全体で「たちまちにその力が心中に満ち、その全てから」となります。
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【689行】"φαῖνε βίην: ἄμυδις δ᾽ ἄρ᾽ ἀπ᾽ οὐρανοῦ ἠδ᾽ ἀπ᾽ Ὀλύμπου" "φαῖνε βίην"は「膂力を示した」で前の行を受けています。"ἄμυδις"は「一緒に」「同時に」という意味です。(続きます)
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)全体で「膂力を示した。同時に天とオリュンポスから」という意味になります。
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【690行「雷をもって」】"ἀστράπτων ἔστειχε συνωχαδόν: οἱ δὲ κεραυνοὶ" "ἔστειχε"は"στείχω"(歩く・行く)の未完了過去三人称単数能動態、"συνωχαδόν"は「絶え間なく」という意味です。(続きます)
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)"κεραυνοὶ"はゼウスの雷霆"κεραυνός"の複数主格です。全体で「雷光が休みなく発せられた。その雷霆は」となります。
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【691行「雷の連打」】"ἴκταρ ἅμα βροντῇ τε καὶ ἀστεροπῇ ποτέοντο" "ἴκταρ"は「濃密に」、"ἅμα"は「一度に」。"βροντῇ τε καὶ ἀστεροπῇ"は岩波の廣川訳に倣って「雷鳴と雷光に」とします。(続きます)
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)"ποτέοντο"は"ποτάομαι"(飛ぶ)の直説法未完了三人称複数中・受動態です。全体で「しきりに雷鳴と雷光を飛ばした」となります。主語は、前の行の" κεραυνοὶ"(雷霆)になります。
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【692行「炎を上げて」】"χειρὸς ἄπο στιβαρῆς, ἱερὴν φλόγα εἰλυφόωντες" "χειρὸς ἄπο στιβαρῆς"は「力強い手から」で"ἱερὴν φλόγα"は「聖なる炎を」です。(続きます)
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)"εἰλυφόωντες"は"εἰλυφάζω"(巻く)のアオリスト分詞能動態男性複数主格です。全体で「力強い手から、聖なる炎を巻き上げて」となります。
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【693行「大地が燃える」】"ταρφέες: ἀμφὶ δὲ γαῖα φερέσβιος ἐσμαράγιζε" "ταρφέες"は"ταρφύς"(濃い)の複数主格イオニア風詩的表現、"φερέσβιοςは「命をはぐくむ」という意味です。(続きます)"
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)"ἐσμαράγιζε"は"σμαραγέω"(ぶつかる)の直説法未完了過去三人称単数です。全体で「濃厚な~が。命をはぐくむ大地がぶつかった」となります。
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【694行】"καιομένη, λάκε δ᾽ ἀμφὶ πυρὶ μεγάλ᾽ ἄσπετος ὕλη." "καιομένη"は"καίω"(燃える)の現在分詞女性単数主格。"λάκε"は"λάσκω"(つぶれる)の直説法アオリスト三人称単数能動態です。(続きます)
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)"ἄσπετος"は「言いようがない(ほど大きい・強い)」という意味で、"ὕλη"はここでは「木」です。全体で「燃える、大きな火で言いようのないほどの木が焼き尽くされた」となります。
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
【全体】687行から694行までをつなげると、「ゼウスはもはや手加減などすることなく、今やその力が心中に満ち、その全力の膂力を示した。同時に天とオリュンポスから雷光が休みなく発せられた。その雷霆はしきりに雷鳴と雷光を飛ばした。力強い手から、聖なる炎を濃厚に巻き上げて」(続きます)
ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
(承前)「命をはぐくむ大地が燃え上がって撃たれ、大きな火で言いようのないほどの木が焼き尽くされた」となります。

後日全体をまとめたポストを出しておきました。

ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
ヘシオドス『神統記』687~694行 進撃のゼウス(ティーターノマキアー編) οὐδ᾽ ἄρ᾽ ἔτι Ζεὺς ἴσχεν ἑὸν μένος, ἀλλά νυ τοῦ γε εἶθαρ μὲν μένεος (cont) http://t.co/JDwyJc2qbz

一応総括しました。

ギリシア語たん(自転車操業中) @Hellenike_tan
「ゼウスの雷」の「威力」に関しては、「炎」や「燃え上がる」といった描写が多いのが目立ちます。「雷霆」にしても"αἰθαλόεις κεραυνός"(燃える雷霆)と呼ばれています。叙事詩人の時代の彼らにとって、「雷」は火炎燃焼現象に近い印象があったのかもしれません…

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