とあるテトさんの物語2(7/9『百-モモ-』~完結)

完結おめでとうございます!!(最終更新日8/2 こちらはその2になります。 (その1→http://togetter.com/li/532325) 消えてしまう前に私用としてまとめただけでしたが、teto_botさんより許可をいただくことができました。 botの管理人様≠まとめ作成者です。
ログ BOT 重音テト 個人用まとめ
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テトぺってんとフラン=スパン @teto_bot
(「勿論だ」テトは、応じた。鋭いほどに、明確で、明朗な声だった。老いた女性は、その返答にやや驚いたようだった。わずかに、彼女の肩が揺れた。「――ためらいも、ないのですか。考えるような部分では、ないと」「いいや」テトは、またも朗らかに言葉を返した。)
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(「キミの声が、きれいだと思った。やわらかくて、幼子の寝顔のようで、日差しに揺れる菜の花のようだ。……ぼくは、幼子も、菜の花も見たことはないのだが、無性に、そう思ったんだ。だから、キミの話を、声を、もっと聴きたいと思った。そうしたら、そう答えるのが、正しいような気がして」)
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(「……このような老いた者に、そんなことを言うなんて、変わったおかた」女性は、言った。くすりと、こぼした微笑みが聴こえた気がした。ひとつに結んで背中に流した白髪が、やはりどこか、薄い桃色めいて見えるような気がした。)
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(「信じられる、と、すぐにそう言えるわけではないと思う。けれど、話を聞こう。キミが選べというのなら、真剣に考えよう。――ただし」テトはうたうように言ったあと、右手の人さし指を立てて、やや芝居がかったしぐさで口元に近づけて、言った。「ひとつだけ、ぼくから頼みがあるんだが」)
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(彼女にはその所作は見えなかったはずなのだが、今度は確かに、くすり、とこぼすように笑う声が、聞こえた。「――はい。そうおっしゃるのなら、私も、否やというわけにはまいりませんね。なんでしょう?」)(「うん」テトは、彼女の笑みにつられるように笑んで、わずかばかり楽しそうに、告げた。)
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(「薄桃色の長い髪と、ひだまりのような声の君。キミの名前を教えてくれないか。知りたいんだ」)
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(「キミの名前を教えてくれないか。知りたいんだ」――老いた女性は、すぐには返事をしなかった。背を向けた姿勢のまま、わずか俯いたようだった。テトは、彼女の背中をじっと見つめた。彼女の顔を、見たいと思った。言葉をかけた相手が、どういう表情をしているか分からないのは――不安だ。)
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(――そう、不安だ―― テトは、ちりちりと胸がやけるような心地がしていた。こんな思いははじめてだ。「フスマ」が現れて、フランが窓から轟音と共に突っ込んできてからというもの、テトには初めて出会うものづくしであったが――とりわけこの不安感は、いままで、味わったことのないものだった。)
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(……この部屋に来なければ、あの高揚も、仲間の在る心強さも、知ることはなかっただろう。けれど、部屋に入ってから。彼女に言葉を投げかけてから。ぼくを最も支配するのは、この、不安という物思いだ――)(それは、わずかの沈黙だった。だがテトには、ひどく長く、永遠に続くように感じられた。)
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(テトはどんな所作も見逃すまいと、必死に彼女を見つめた。)(彼女は、ややあって――テトの感覚から言えば、ようやく――わずかに顔をあげた。テトははっとしてその動きを追った。)(「……ごめんなさい」ひだまりの声が、言った。「少し、驚いてしまって。失礼を致しました。私の名、ですね」)
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(「いや、もし言いたくないのなら、それは」テトは、返答のあった嬉しさと、驚かせてしまっていたことへの動揺で、しどろもどろ、両手を落ち着かない様子で動かしながら、言った。)(女性は「大丈夫です」と言って、微笑んだ――ように思えた。先ほどの一瞬の躊躇いは、もう消え去ったようだった。)
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(「あなたがたの右隣に、箪笥がありますでしょう」女性はやはりテトとフランに背中を向けたままであったが、その背筋をぴんと伸ばし、しっかりとした声音で――告げた。)(「一番上の、一番左の引き出しを開けていただけますか。そこに入っている手鏡に、私の名が書いてありますから」)
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(その声音に、あたふたしていたテトも落ち着きを取り戻し、言われるままに右に視線を向けた。言われたとおり、箪笥がある。一番うえの、一番ひだりを開ける。)(はたして、その引き出しには古めかしい手鏡が入っていた。持ち手の部分には、ひと文字、――百――という漢字が記されていた。)
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(これまでのあらすじ:テトとフランは薄気味の悪い部屋を進み、とうとう「新しい本」であろうものを発見する。本のある部屋の隅には、薄桃色の髪の老女が壁に向かって座っていた。彼女の声音に惹かれたテトは、彼女の話を聞く代わりに名を知りたいと尋ねる。彼女はどうやら「百」と言うようだった。)
テトぺってんとフラン=スパン @teto_bot
(「ええと…」テトは手鏡を手にとり、裏返し、やはり「百」の文字以外に何も書かれていないことを見てとると、首を傾げた。「…ひゃく?」)(「あなたの読みたいように読み、呼びたいように呼んでいただければ構いませんよ」女性はやわらかい声で答えた。テトはそれを聞いて「む」と眉根を寄せた。)
テトぺってんとフラン=スパン @teto_bot
(「ひゃく――かもしれない君よ、それはずるいぞ。正解は別だがまぁ良し、と言われているみたいだ。それは…」)(「あのよ――」テトの言葉は、フランによって遮られた。「それは結構だが、本題忘れちゃいねえか、テト。おれたちはな、ほんを読みに来たんだよ。ばばあと茶飲み話する為じゃ、ねえ」)
テトぺってんとフラン=スパン @teto_bot
(「ば、ばばあって、フラン」「ヒャクかもしれないばばあ、なんていちいち呼んでられっか。正解が分かりゃそれで呼ぶよ。テト、おまえ、ばばあがなんつッてたか覚えてんだろうな?」フランは顎――はないが、顎のような部分――をしゃくってみせた。「読むか読まねえか覚悟して選べッてよ」)
テトぺってんとフラン=スパン @teto_bot
(「それは…」テトは手鏡を箪笥に戻し、百と本とに向き直った。「覚えている、が…ぼくはそもそも、読む為にここに来たのだから…」)(「そのとおりだ」フランは頷いた。「あのフスマを開けた時点で、おまえの「先に進む、本を読む」っつう覚悟は、いわば完了してんだ。おれが問いたいのはそこよ」)
テトぺってんとフラン=スパン @teto_bot
(「おれたちに、今更覚悟とやらを問う意味はなんだ、ばばあよ。こっち向かねえのも腹が立つが、そこは許しといてやるから、おまえの真意をさっさと教えろ」)
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