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OGAWA Kandai @grossherzigkeit
「偉大な先人たちは、こんなだらけた日本をつくるために戦い、死んでいったんではない」みたいな言説があるけど、そういう危機の時代で祖国のために身を挺した先人が一番つくりたかったのは、それこそ「鼓腹撃壌」の世ですよ。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
夏本番となって、またメディアなどで「あの戦争を忘れるな」的な企画が組まれる季節になってきたなあ。ただ気付けば当方の親族間に、戦争の記憶を語れる人はめっきり減ってしまった。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
父方の祖父は旧制中学を出て製鉄所の技工をしていた、まあ当時ではインテリの部類に入れてもいい階層だったが、それが徴兵でニューギニアに放り込まれて地獄を見て、戦後は一貫して日本社会党支持だった。アカでも革命家でもなく、ひたすら忠実な「戦後民主主義」の信奉者として戦後を生きた人だった。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
母方の祖父は、そう裕福でもない農家に生まれた人で、そういう生活が嫌で陸軍の志願で入った人だった。戦争中はずっと満州にいて、ソ連侵攻直前に内地に呼び戻された幸運な人で、つまりずっと軍隊にいたんだが「戦闘経験」はゼロに等しいという人だった。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
しかしその祖父の妻、つまり祖母は陸軍の看護婦として南方で弾雨をかいくぐったような人で、つまり夫よりも妻の方が「赫々たる武勲」があるという、珍しい夫婦だったんだな。祖父は恩給をもらえなかったが祖母には出ていて、そういう意味でも祖母の方が「歴戦の勇士」だった。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
「人も嫌がる軍隊に志願で来るようなバカもある」という歌を当方が最初に認識したのは、祖父母が何かのことでケンカをした際に、祖母が祖父を罵倒するために歌う歌、という形でのものだった。ただ「戦闘経験」は祖母の方が豊富であり、祖父は何も言い返せないのが常だった。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
そういう形で、母方の祖父は「軍隊経験」こそあれ、周囲の「歴戦の勇士」たちの前でその経歴は非常に見劣りがするものだったため、戦争時の記憶というものをしゃべったことがほとんどない。ただ何の因果か、最後に残った健在の人はその祖父である。当方は先日、ほぼ初めてその祖父の戦争体験を聞いた。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
祖父いわく、「あの戦争を引き起こしたのは『会社』だ」と言うんだよ。軍閥でも国家主義者でも革新官僚でもなく、「会社」が戦争の原因をつくったのだと。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
祖父は大正のほとんど終わりに生まれた人だったが、少年時代まで身近にある仕事といえば、第一産業か「あきんど」レベルの商家しかなかったと。しかしそれが10代に入るころから「会社」というものが現れ、「サラリーマン」なるものが出現したと。これによる世の変化には凄いものがあったらしい。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
そして祖父の実感として、その「会社」なる新しい経済的存在は、「戦争をすればするほど儲かる仕組みになっていた」ということだった。それでどんどん「会社」が増えていく中で「会社」は国家に戦争を要求し、それで対米戦にまでなだれ込んだと、それが祖父の「史観」なんだな。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
祖父の語る「開戦原因」には、本当に軍閥も国家主義者も革新官僚も日独伊三国同盟も出てこない。「会社」こそが昭和一桁ごろに日本社会を劇的に変化させ、戦争を希求した存在だったと言うわけ。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
そして一般的な「歴史」では、日本は昭和20年の敗戦によって姿を大きく変えたとされているが、祖父は全然それは違うと言う。昭和極初期に「会社」「サラリーマン」が登場した時が最も日本が変わった瞬間であり、GHQによる改革もその延長線上に過ぎず、敗戦による大きな変化はなかったと言うんだ。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
繰り返すが、祖父は軍隊にはいたが「戦闘」はほとんど経験したことがない人で、ある意味当時の日本人の中で一番安閑と暮らすことができた人である。死地を見たこもなく、米軍の強大さに圧倒されたこともない。満州で穏やかに暮らしていて、気付いたら戦争が終わっていたという、非常に幸せな人である。
OGAWA Kandai @grossherzigkeit
そういう、「穏やかに戦争を過ごすことができた人」から見れば、巷間言われる「悲惨な戦争と戦後の改革」はまったく違って見えるらしいという意味で何か新鮮だった。繰り返すが祖父に「戦闘経験」はほぼない。しかしそれでも、祖父のこの雑感は一つの「戦記」と言っていいもののように思う次第である。

コメント

子ぬこ @konukopet 2013年7月19日
夕方まとめてリツイートしたけど、この見方はある意味新鮮だった
九龍かすみ(九龍まさみの嫁) @Kasumi_Diavolo 2013年7月19日
今の企業の暴走を見るとこの見解は間違ってないかも(´・ω・)
百笑@常識知らずの悪魔 @hundred_smile 2013年7月19日
生き残った方全員にそれぞれの「戦争観」があり、その幅は後世から見るよりもっと広いということでしょうね。勉強になりました。
えくす(くらげ社広報・・・のはず?w) @ExwoodPorta 2013年7月19日
より安い労働力を海外に求めて行くのは、ある意味侵略と見てもおかしくないような気もする(´・ω・`)
siriカエル:脱原発に一票 @cibo17 2013年7月20日
資本主義は戦争を前提とする社会だっての聞いたな。平和な時期、会社は戦争に備えて準備してるという話…。戦争については多角的な視点が必要だと痛感。
三月レイ@毎日が平成最後 @mitsukirei 2013年7月20日
今も昔も「植民地」が必要なのは原材料と販路の為とも言えるかな。過去の戦争は露骨に植民地の奪いの面もあった訳だし。
ゴイスー @goisup 2013年7月20日
これは面白いですねぇ
不労所得者 @syo_sindou 2013年7月20日
つまり、在華紡に代表される巨大資本が安い賃金・巨大市場を求めて中国進出and新天地を求めて中国へ移民→市場、利権の拡大を求めて画策→軍閥・国民党と衝突→戦争?
妖怪腐れ外道 @kusare_gedou 2013年7月20日
財閥が戦争に向かわせたというような語り口は何度か聞いたことがあるんだけど、それに近い話なんだろうか。
iga9984 @iga9984 2013年7月20日
これって、「資本が市場や資源を求めて云々」というより「戦争自体が巨大な公共事業として自己目的化していった」という史観でいいのかな。「軍産複合体」史観とでも言えばいいのか。戦前戦中に企業勤務経験がないであろうこの人物が、どのようにしてこのような史観を持つにいたったか興味がある。
Ikunao Sugiyama @Dursan 2013年7月20日
企業は人なり(なんてな
にゃあ @kirikami 2013年7月20日
学校で親族から戦争体験を聞く宿題が出て困ったこと http://togetter.com/li/526710
細川啓%求職中断 @hosokattawa 2013年7月20日
面白い話ですね。ただ、少し時代錯誤も感じます(大正時代には既にサラリーマンという言葉があったらしい)。ご出身はどちらだったのでしょうか。「第一産業」というのが農林水産業のこととだとすれば、いわゆる地方?
山元 太朗 @tarogeorge 2013年7月20日
「サラリーマン」という言葉があったことと、第1次産業比率が低下し、第2次・第3次での主流の生産・雇用形態が「家内制商工業・丁稚奉公」から「企業と近代的雇用」に代わることは違うでしょう。「いわゆる地方?」にインテリ臭い嫌味を強く感じます。多くの日本人はは三代前の先祖の誰かは「いわゆる地方」在住なんですが。
げそぱん @gespannt_ 2013年7月20日
自営業なり社長業から無一文になるのは非常に危険だが、サラリーマンは会社つぶれても宿主を変えるだけの話だからなあ。覚悟のない決断が多数派を占めるってのは常に危険。
オタ小児科医 @otapediatrician 2013年7月20日
そういう感慨を抱いていた方も少なくないんだろうが、表に出ることは少なかったんでしょうね。非常に興味深く読ませていただきました。
憑かれた大学隠棲:再稼働リプレイスに一俵 @lm700j 2013年7月20日
下に月給百円って本を足しておきましたが、その当時の増えていく会社員と世相について書かれています
しん@大阪 @karashuu 2013年7月20日
「会社」なる新しい経済的存在は、「戦争をすればするほど儲かる仕組みになっていた」とは、具体的にどういう仕組みのことですか?戦争があれば、大量に物資が消費され、会社が潤っていく、という意味ですか?
山元 太朗 @tarogeorge 2013年7月20日
20世紀総力戦に求められる物資の質・量は家内制商工業では賄いきれませんよね。軍需を満たせるのは近代経営に移行した企業だけで、寡占化していったということでしょう。もちろん戦前の場合、企業はその下に前近代的な経営のままの下請・孫請を抱えていたはずですが。
3mのパブリックエネミーちくわ @tikuwa_zero 2013年7月20日
事実の是々非々は別として、視点の違う主観として実に興味深い。面白かったです。
メルセゲル @Meretseger2 2013年7月20日
恩給貰えなかった人は家族の中で声が小さくなってしまって子供に情報が伝わらないのか。偶然、恩給もらってた声の大きい家族が先に死んで情報が子供に伝わる機会ができた。他にも子供に伝わらないで消えた情報が沢山ありそう
江浦正秀 @euramasahide 2013年7月20日
会社組織はそもそも全体主義的なもので…という仮定を受け入れると、まんまチョムスキーだなあ。
PYU(4/21Youに夢中 A-22) @PYU224 2013年7月20日
これは面白い。五味川純平も「戦争は経済だ」と断言していたなぁ。
らぃりる-A列車PCオススメ! @Liriru 2013年7月20日
まあ、「経済のための戦争」だったのは確か。前提に大不況もあったわけで。
ペロ左衛門の飼い主 @across_pero 2013年7月21日
経験に勝る理論はない、とはよく言ったものですな。 この方のお爺様の経験は、歴史観として充分な説得力がある。
ネガ @negangan 2013年7月21日
戦前にも中国や東南アジアに結構な数に日本人が進出していて会社もたくさんあったって話があって、軍は単純に資源が欲しかったのだろうけど同時にこれらの地域で日本が支配することを後押ししている企業も相当あったのだろうとは思う。
account4th @account4th 2013年7月21日
すごい。面白いまとめでした。
kawonasi @kawonasi4989 2013年7月21日
近い内容の事が書いてあるので「それでも日本人は戦争を選んだ」という本をオススメします。 http://book.akahoshitakuya.com/b/4255004854
欠点’s @weakpoints 2013年7月22日
開拓団のように人を送り込めば送り込んだだけ国が手当てしてくれた時代があったのだろう >戦争すればするほど~
坂上泉 @calpistime 2013年7月23日
この一連の呟きで、戦後民主主義の信奉者としての社会党支持であったり、戦場経験の有無による発言権の多寡、そしてホワイトカラー社会到来による戦争希求であったり、という見方は、それぞれが非常にしっくりくるところがありました。
言葉使い @tennteke 2013年7月23日
昭和恐慌で、農村の貧困が軍部の台頭を~という話はよく聞くけど、会社の経営困難が~とは聞かないな。まぁ財閥まで上の話だと、聞くか。でもそれはサラリーマンではない。
月戌👺㌠ @_moondoggie 2013年7月23日
東インド会社がオランダやイギリスを支えていたことを考えると結構深い話かも
Ignition @tori_555 2013年7月23日
考えれば当然の話だし、世界史的に見ても珍しい事ではないけど、太平洋戦争がそういう側面から語られる事はあまりないね。
永沢壱朗 @Nichilaw 2013年7月23日
志野靖史の「本土決算」を思い出した。
山下238 @Yamashita238 2013年7月23日
私は「金が意思を持ち法人(銀行、会社、財団法人他の法人)として社会を動かす」、と考えているのだが、ある意味似たような考えをもった人がいたのだな。
ネヨ筑摩屋松坊堂 @chikumaya 2013年7月23日
アイアンマウンテン報告っぽい>資本主義は戦争を前提 /個人的にはサントリーやSAS InstituteとかドイツのGmbHのように,「株式を公開しない」が企業の選択肢として有効になる社会になれば資本主義はもっと良くなると思う
暴夜の風 @a_nightbreez 2013年7月24日
マスメディアは新聞の売上の為に戦勝を欲し、デパートは戦勝セールで売り上げを稼ぐという話を思い出す/NHKスペシャル:「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」第3回( #NHK #heiwahttp://togetter.com/li/106132
tarosuke @tarosukenet 2013年7月24日
Yamashita238 それは制度が作り出すインセンティブがそうなっているってだけの話なんじゃないのかな?
柳田 空導 @coodou 2013年8月2日
戦前の満州進出とか起業家が推したイメージだものね。これはなかなか腑に落ちる。
Yu Yamaguchi @Yu_Yamaguchi_ 2014年1月15日
アメリカも、ルーズベルトがニューディールとかやってたけど、実はあまり効果はなかった。ダム建設なんかで賄える雇用なんてたいしたことないしね。ダムなんか目じゃない、国家による大規模な需要の創出をアメリカは欲していた。アメリカ経済が絶好調になったのは、まさに戦争のおかげ。
Yu Yamaguchi @Yu_Yamaguchi_ 2014年1月15日
「戦前と戦後で全然変わってない」という意見は貴重だなあ。どんなに大きな事件が起こってもそれだけでは社会は変わらない。社会の真の変換点が見極められるようになりたい。
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