Warburg Effect 「ワールブルグ効果」「ワールブルク効果」「ウォーバーグ効果」とか、いくつか呼び方がある。元々は、ドイツ人のOtto Warburgが提唱したので、彼の名前から付いてるのだけど、それを日本語表記する際のぶれによる。英語圏の人は英語読みするけどね。
2013-07-19 17:05:27我々ヒトの体を含めて、動物、生物の体は基本的に「細胞」から出来てる。細胞の中にさまざまな栄養源を取り込み、それからタンパク質をはじめさまざまな物質を作ったり、そこから得たエネルギーを使って、細胞は活動する。
2013-07-19 17:11:59細胞がエネルギー源として使う中でも、特に重要なのは「糖類」、いわゆる炭水化物ね。僕らの御飯の中に含まれてるデンプンとかがその元になるものの代表。デンプンは体の中で消化され、より小さな糖類の分子になる。そうすると細胞内に取り込むことが可能になって、エネルギー源にできる。
2013-07-19 17:14:17そうした「より小さな糖類の分子」の代表が、グルコース…別名「ブドウ糖」とも言う。基本的に、地球上のほとんどの生物はこのグルコースをエネルギー源として利用できる。そういう意味で、グルコースからエネルギーを取り出す仕組みは「最も基本的/普遍的なエネルギー産生機構」と言っていいだろう。
2013-07-19 17:16:43僕らヒトをはじめとする動物の細胞は、この「グルコースからのエネルギー産生」を「(広い意味での)呼吸」によって行うのはご存知の通り。ただしこのあたりは、生物によって異なり、植物なら、それ以外に二酸化炭素と水からブドウ糖を「作る」反応、光合成でエネルギーを作ったり(続
2013-07-19 17:20:38さっき「(広い意味での)呼吸」と言ったけど、これは例えばヒトが「息をする」…つまり空気を吸って、その中の酸素を使って、グルコースからエネルギーを取り出し、水と二酸化炭素にする、という「全体像」のことを「広い意味での呼吸」としている。
2013-07-19 17:24:37僕らの細胞は、エネルギーその他の元として、細胞の外から中にグルコースを取り込む。そして、取り込んだグルコースは、何種類もの酵素によって「順番に処理」されていき、その過程で細胞にとってのエネルギーであるATPが取り出される。
2013-07-19 17:29:12この「一連の処理」のうち、最初の何段階かまでは、細胞の原形質(細胞質)の部分で行われる。この何段階かまで進むと、グルコースは「ピルビン酸」という分子に変わる。 ここまでのステップを「解糖 glycolysis」と呼ぶ。 http://t.co/t0v93JQtXJ
2013-07-19 17:32:49この「解糖」のステップでは、実は酸素は消費されない。つまり酸素がない状況でも解糖は進む。また、ここまで(ピルビン酸まで)のステップで、1分子のグルコースからは2分子のATP(=エネルギー)が取り出される。
2013-07-19 17:35:36解糖で出来たピルビン酸は、その後、細胞質から、細胞内小器官の一つである、ミトコンドリアに送られる。そしてミトコンドリアにある、一連のタンパク質群の働きによって、そこからさらに大量のエネルギー(ATP)が取り出される…TCA回路、クエン酸回路、とか言われてるヤツのことね。
2013-07-19 17:40:42このミトコンドリアのクエン酸回路は、入ってきたピルビン酸が、クエン酸→アコニット酸(略)→オキサロ酢酸→クエン酸、とぐるぐる回り(=回路)ながら代謝されてくイメージね。
2013-07-19 17:46:05このクエン酸回路を「回す」ためのステップには、酸素が必要なところがある。なので、このミトコンドリアで起きる「後半の段階」は酸素がないと進まない。なので、この部分が「狭い意味での呼吸」に当たる。
2013-07-19 17:47:47この後半のステップ、酸素がないと進まないのだけど、取り出せるエネルギーの量が大きいという利点がある…「絞り取る」感じとでも言うか。1分子のグルコースから、解糖だけならATP2つしかできないけど、呼吸まで回ると30以上のATPが生まれる(臓器の違いや副生成物の計算法で変わるので略)
2013-07-19 17:51:36僕らヒトの細胞は、ふだんはそうして、取り込んだグルコースを「解糖(細胞質)→クエン酸回路(ミトコンドリア)」で順番に処理しながらエネルギーを取り出す。後半のステップでは酸素が必要なので、結局のところ酸素がないと「普段通りの活動」はできない。
2013-07-19 17:55:24ところが「例外」ってのは当然ある。いちばん身近なのが「筋肉」の細胞。筋肉でも、普段は他の細胞と同じように呼吸してるのだけど、筋肉が動くときにはものすごい大量のエネルギー(ATP)が使われる。
2013-07-19 17:57:46激しい運動とかすると、細胞の中に常時蓄えられてたエネルギー(ATP)なんかすぐに底をつく。それなら、と呼吸でエネルギー作ろうとしても、筋肉組織の中にある酸素もすぐに使い果たされて追っ付かない。で、このときにATP産生で活躍するのが、前半の「解糖」の部分。
2013-07-19 18:01:49さっき「解糖の段階ではATP2つ、クエン酸回路までいけば30以上」と言ったので、そこを聞くと何か、最後まで行った方が「効率」よさそうな印象受けると思うけど、その「効率」は、あくまで「1分子のグルコースから搾り取る」効率。「同じ時間あたりいくつのATPが作れるか」の効率なら(続
2013-07-19 18:04:34承前)実は解糖系だけがんがん回してやった方が、時間当たりの効率は高いと言われてる。つまり激しい運動なんかの場合、筋肉では(一時的に酸素が足りないような状態になり)呼吸よりも解糖が優位になるような「グルコース代謝のシフト」が生じる。
2013-07-19 18:06:24