#Suica履歴提供 の法的評価を巡って 鈴木正朝教授ツィートまとめ

JR東日本によるSuica乗車履歴の第三者提供に対する法的な評価についての、新潟大学法学部 鈴木正朝教授のツィートをまとめました。多分、今後追加あり。
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[お知らせ]

Suica履歴提供 については、9月25日までに除外の申出があったものについては、過去分に遡ってデータを削除するとされていましたが、それ以降もJR東が「今後の対応を決定するまでの間」、遡及して削除するとのことです。但し、時期未定ですので、除外希望の方はお早めに。

除外申出にはSuicaID 番号(Suica 裏面の JE から始まる番号)を伝える
・本文に記載して jogaiyobo@jreast.co.jp にメール
・03-5334-1655に電話
・10/1以降↓から
http://www.jreast.co.jp/suica/procedure/suica_data.html

詳しくは↓をごらん下さい。

Suica に関するデータの社外への提供における対応について
http://www.jreast.co.jp/press/2013/20130913.pdf

Suica に関するデータの社外への提供についてよくいただくお問い合わせ
http://www.jreast.co.jp/pdf/suica_data.pdf

 子どもをSuica定期券で電車通学させている方、ご一考ください。

Suica履歴提供 は法律上、どのように評価されるのか?現在、複数の法律家から意見が出されています。そのうちの1つ、新潟大学法学部 鈴木正朝教授の意見を、別の立場の方のツィートも交えてまとめます。

※ツィート削除要請がありましたので、一部のツィートを削除いたします。

鈴木 正朝 @suzukimasatomo

岡村説、新保説、板倉説、高木説、鈴木説、いずれも現段階で事実関係の透明性なくSuica問題は白とは言えない。むしろ黒の可能性も否定できず。現行法で主務大臣の調査は当然、現行法で透明性の確保を図らないことでグレーのままビジネス継続可という解釈を許すかといえば極めて問題視で一致か。

2013-07-21 18:43:54
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

加えて、多数の技術者、法律家で研究会を開催して多方面から検証して学会通説を確認する。また堀部情報法研究会でも問題提起し検討をお願いするつもり。JR東側も弁護士、研究者、社内法務部門を総動員しての反論を大いに期待したい。経営の自由を標榜するなら思想の自由市場も尊重されたい。

2013-07-21 18:48:15
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

JR東のSuica履歴販売を問題視することはビッグデータビジネスの障害となるという安易な論調には断固として反対する。議論を否定する自由社会はなく、そこに立脚する自由経済などむしろ邪悪な見えざる手の粉飾された利権構造にすぎない。日の光の下で堂々とやりあうのがあたりまえだろう。

2013-07-21 18:52:43
Joji Maeno @joji

歴史的に見てもビジネスのディスクロージャーは、自発的に行うものなのです。隠している=やましいと考えるのが基本です。 RT @suzukimasatomo 日の光の下で堂々とやりあうのがあたりまえだろう。

2013-07-21 18:57:04
瓢箪庵提督@横須賀鎮守府 @awapie

@suzukimasatomo パーソナルデータを利用したビッグデータビジネスを価値あるものにするためにもこうした議論をきっちり先行させるべきです。

2013-07-21 19:51:07
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

擁護論者がいるならやはり意見を表で表明すべきだ。わからないから語るべきではないとか、風評被害を助長するという主張はむしろ恫喝的にも感じるが。説明と反論はいつでもできる状況にある。説明をそこまで拒否する理由は何か。詰めているなら即日反論できるはず。時間がかかるのはなぜか。

2013-07-21 19:00:10
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

私は、企業の自己宣言でこれが可能となるルールを数百万社に適用することを合理化する説明をする自信がない。大企業特別ルールとか、正直認定企業ルールとか、何か法律には書いていない特別なアクロバットな理論を無理矢理考えてWスタンダードにするほかないのか。

2013-07-21 19:02:11
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

説明の有無の論点だけではなく、そもそも論として個人情報該当性判断、特に容易照合性判断の解釈が通説的理解と異なるのではないかという問題もある。まさにここは表でしっかり議論しておかねばならないところ。全事業者に関係するところだ。ここを逃げてはビジネスの法的基盤整備はできない。

2013-07-21 19:04:33
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

研究会前に当事者の反論を期待したが時間切れのようだ。ネット上の擁護論者の意見の趣旨はその片鱗であろうが多少なりとも見えたのは有意義だった。とりあえず私の理解した範囲で研究会で紹介してみたいが、報告者の精緻なレポートが出てきている。先方からも法的に精緻な反論があればかみ合った。

2013-07-21 19:19:44
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

本郷を借りて行う某研究会では法律系だけではなく技術系の研究者、それから弁護士、大手国内ベンダ、外資系ベンダ、技術者、情報学や経済学にも明るい若手研究者も参加する。忌憚なく率直に自由に検討したい。某経済団体の研究会でも報告して今後の立法政策について建設的な意見につなげたい。

2013-07-21 19:24:46
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

検討結果は報告書などにまとめて公開できれば、さらに次の意見を求めることができる。行政や各所に持っていくこともできる。

2013-07-21 19:26:06
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

大学の紀要に載せるのも重要だが、ネット等を活用して適時にアウトプットしながら小さく回していくという活動も今後の法学界のあり方として重要ではないか。社会科学の一分野にしては、少しばかり社会との接点が離れすぎているような気がしないでもない。

2013-07-21 19:30:10
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

住基ネットの数十倍の威力のなるマイナンバーの議論に憲法、行政法のプライバシー研究者や個人情報保護法研究者の意見表明が少なすぎた。住基ネット訴訟の判例評釈や論文の量に比べても。立憲主義の軽視については学界の枠を超えて活動してもいい問題だろう。戦前戦中における反省は過去のものか。

2013-07-21 19:33:16
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

考えてみれば、法解釈も起草者本や行政のガイドライン偏重傾向が顕著なような気もしないではない。

2013-07-21 19:34:22
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

Suica事例もガイドラインの文言や手続的な措置だけに依拠して、条文解釈の基本を欠いていたということはないか。(訂正再tweet)

2013-07-21 19:36:09


ちょっと、ゲノムの話

鈴木 正朝 @suzukimasatomo

ビッグデータ・ビジネス、ゲノム創薬等医療イノベーションのための法的環境整備としては、米国・EU等の市場に向けてサービス提供が可能であり、かつ他国のパーソナルデータを国内に収集可能なだけの法的保護水準を達成することが必要がある。自国にデータが存在してはじめて法の適用も可能となる。

2013-07-22 09:18:25
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

ゲノムは生来的識別子であるが、子、孫、血族全般にその分析結果の影響が及ぶという点でその利害関係者が多数となる。究極のデータ・プライバシーとも言えるが、個人の自己決定、プライバシーの権利を超えたものとも言え、新たな法理、新たな規律が絶対に必要である。「ゲノム法」制定は急務である。

2013-07-22 09:24:23
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

究極の識別子であるゲノムと一般の識別子が混入した個人に関する情報(例えばSuicaデータ事例)との相違、本質的違いは何か、同じ性質を持つものは何かを考える。その上でまた個別のSuica事案について考えてみるということが重要。Suicaで採用されたルールは一般の同種事案に及ぶ。

2013-07-22 09:28:04


「Suicaで採用されたルールは一般の同種事案に及ぶ。」
はい、ここ、試験に出ますよ!(本気にしないで下さい。)
でも、気をつけたほうがいいポイントですね。
マイナンバーに移ります。

鈴木 正朝 @suzukimasatomo

プライバシー権に影響のあるマイナンバーは社会保障と税の一体改革の中で構想導入された。社会保障制度の維持は生存権の問題でもある。中でも医療制度の維持は金の切れ目が命の切れ目に直結する分野でもある。成長戦略は財政再建に当然影響しそれはそのまま社会保障制度の維持の問題となる。

2013-07-22 09:32:21
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

人類未到の超高齢社会に一番のりした日本の失敗と経験はその後を追っている多くの国の参考となる。高齢化と医療費の増大は相関する。高齢者の病を減らし最期は長患いしない生活の質を向上させることは個人にとっても国家の財政にとっても若い衆の負担にとっても重要であり、政策の要とすべきところ。

2013-07-22 09:35:46
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

そのための創薬ビジネス、そのための医療ビッグデータについて種々の研究が行われている。さて、それを支えるための法的基盤はどうあるべきか。まさに立法政策の問題であるが、現行法解釈で可能なところはしっかりと可能な限り立法趣旨と法の理念に合致したものに解釈していく必要がある。

2013-07-22 09:40:56
鈴木 正朝 @suzukimasatomo

例外的に一定の情報処理と運用体制をもって規制対象情報から除外するのであれば行政の裁量の中でその判断基準をより詳細に告示すべきであり、また同時にそれが遵守されているか否かの主務大臣の確認が必要なことは当然である。密室処理と事業者宣言で足りるとする解釈は取り得ないのは当然である。

2013-07-22 09:49:54