宮崎駿のご託宣

ブーリキー @tincanscarecrow

【宮崎駿のご託宣00】選挙直前、著名なアニメ監督宮崎駿氏の、政局に絡む個人的意見がなぜか公表された。氏が私淑した手塚治虫氏同様、日本共産党の熱烈な支持者である事を知らぬ人は多い。その意図が、政治的ステマにある事は明らかだった。だが、問題はそれ以上にその内容にあった。

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【宮崎駿のご託宣01】そこには、人がサヨク思想に染まる典型的パターンが、余りにも明白に表れていたからだ。作家にとって思想とは何か？作品とは何か？我々はそれをどう捉えるべきか？宮﨑氏の小論の公開を機会として、少し考えてみたい。

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【宮崎駿のご託宣１】最初に読んで「？」と思ったのが、氏の終戦当時の年齢。４歳だ！だけど氏は、戦中戦後の社会生活を幅広く見聞きし、その中で何度となく聞いたのが、日本軍の残虐行為を伝える「大人たちの話」だったと書いている。だが、幾ら何でも４歳児にそれは無理だ。

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【宮崎駿のご託宣２】注目すべきは、幼い氏が少年雑誌等をかなり読んだ事、そしてそこに書かれた、日本政府や日本軍批判に接した事だ。敗戦直後は氏も４歳だし、物資がないからそんな真似ができる訳はない。やはりこれは氏に読書力が付いた十歳前後と考えて良いだろう。すると1951年辺りだ。

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【宮崎駿のご託宣３】1951年はＳＦ講和条約締結、マッカーサー解任の年だ。条約発効の翌52年までは、占領政策が実行されていたと考えられる。と言う事は、駿少年に入った情報は、Wor Guilt Information Programに沿ったものばかりだった可能性が高い。

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【宮崎駿のご託宣４】1951年は、NHKが第一回紅白歌合戦を放送。プロ野球も盛ん。プロレスで力道山がデビュー。花王が石鹸を、そして何とバヤリースまで発売されている。非常に景気が良く、情報メディアも爆発的に拡大していた筈だ。だが、その情報は全てGHQの統制下にあったのだ。

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【宮崎駿のご託宣５】つまり、最も多感な時期に駿少年はW.G.I.P（3R、5D、3S）の洗礼を受けている可能性が高いのだ。「3R」とは「Revenge＝復讐する、Reform＝改革する、Revive＝改革後、復活させる」である。これはGHQによる日本占領の基本方針であった。

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【宮崎駿のご託宣６】「5D」はDisarmament＝武装解除、Demilitalization＝軍国主義排除、Disindustrialization＝工業力破壊、Decentralization＝中心勢力（内務、警察、財閥）解体、Democratization＝民主化の事

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【宮崎駿のご託宣７】「3S」とは（Screen―映画　Sport―スポーツ　Sex―性産業）の拡大促進の事である。特に性産業の興隆は、三国人暴力団猖獗のキッカケにもなった。

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【宮崎駿のご託宣８】ロバート・ウェストール著『"機関銃要塞"の少年たち』への評価にも瞠目だ。男の子は、人でも虫でも兵器でも、強いモノなら何でも夢中になる。だが駿少年は、それを「危険だ！間違いだ！」と感じたのだ。『ナウシカ』マニアなら、きっとあのキャラを思い出すだろう。

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【宮崎駿のご託宣９】トルメキアのヴ王の長男と次男である。彼等は「庭の主（旧世界の科学が作り出した超絶人工知能）」の洗脳により、精神から攻撃的要因だけを削除され、音楽と詩だけに熱中する人間にされてしまった。駿少年の姿が、そこに重なるのは果たして錯覚か？

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【宮崎駿のご託宣10】氏は「1935年とか、世界恐慌で不景気だったと言っているけど、実はその時期が映画の全盛期だった…仕事があってお金を持っていれば、デフレだから楽しくやれたんです」と述べる。だが、事実は反対だ（グラフ参照） http://t.co/qINd9VujLU

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【宮崎駿のご託宣11】「戦前だから暗く不景気だったに決まっている」と言うのは、遠山茂樹著『昭和史』（岩波新書）を始めとする、戦後の自虐史観が作り上げた虚像だ。一事が万事、どうも宮崎駿氏の「歴史感覚」はあてにならない。余りにも自虐史観に毒されている。

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【宮崎駿のご託宣12】「満州に行った知人たちが、どういうことをやって、どういう風に威張りくさってたかという話もおふくろから随分聞きました。そういう話を聞く度に、本当に日本人はダメだと思いました」と言うが、満州の人口が建国僅かで十倍以上に増えたのは、平和で安全だったからである。

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【宮崎駿のご託宣13】「身近な人の話」と言えば、いかにもリアリティがありそうだが、芸能界スキャンダルと同じで、又聞き、与太話である可能性は高い。裁判での証言には到底使えないし、歴史史料とも言えない。氏の話はデマや噂を流すのには向いているが、信用はできないのである。

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【宮崎駿のご託宣14】こんな状態だから、宮崎駿少年は当然アノミーに陥る。「僕はあまりにも自分の中に何もないので、『自分よりも大切なものが何かあるんじゃないか』と思って」新たな祖国を捜したそうだ。しかし、この辺の感覚の鋭さ、率直さは、さすがに一流作家の素養であると言える気がする。

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【宮崎駿のご託宣15】後年、欧州旅行から帰国して宮崎駿氏はこう感慨した。 「人がいなければ日本はものすごくきれいな島だ」 これが、氏の言う郷土愛であり自然なのだ。何と寂しく、孤絶していて、異様な事か！正に『ナウシカ』に登場する腐海であり、『もののけ姫』の「凶暴な自然」だ。

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【宮崎駿のご託宣16】W.G.I.Pの洗礼を受け、更にロバート・ウェストールの本にショックを受けて以降、氏は 「日本人は本当は良い子です。本当なら悪い事などしません。騙されただけです」 と言いたくて、自他にこうも過酷に、自虐的に振る舞ってきたのではないだろうか？

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【宮崎駿のご託宣17】氏の憲法論は支離滅裂だ。「多数意見を反映しろ」と言った傍から「考えの足りない人間は黙ってろ！」と言う。いわば目の前で領土侵略や虐殺が起きたとしても、氏は「俺達は正しいのか正しくないのか」と言う疑問に拘ってしまうのだ。意識がそこに囚われ先へ進まないのだ。

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【宮崎駿のご託宣18】これではお父さんが「刹那主義」「プラグマチスト」に見えて当然だ。だが、明日の自分と家族の飯の、心配をするお父さんの方が、人としては自然である。政治家でもないのに、虚構の「戦争責任」に囚われ、自分の中の自然さまで殺そうとする、駿少年の方が異常なのである。

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【宮崎駿のご託宣19】駿少年がそこまで拘る理由は、「正しくなかったらどうしよう？」と不安だからだ。誰かを怒らせた気がして、不安になっているのだ。そして、それがここまで続いているのは、答えが存在しないからだ。現実には、日本の戦争に誰も怒って等いない。侵略された国もない。

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【宮崎駿のご託宣20】当然、遼東半島を返す必要も、朝鮮韓国に謝罪する必要もない。だが、それでは駿少年は不安になるのだ。「許してくれ！」と、正体不明の誰かに向かって叫び、答えを得たいのだ。その「誰か」は本当はGHQなんだけど、駿少年の中では「人類」になってしまっているようだ。

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【宮崎駿のご託宣21】氏の残りの主張は、人権概念への疑問こそ尤もであるが、追究が甘く空想と繰り言の域を出ない。ただ、思想のサヨク的な枠組みを壊したいという気持ちと、それを捨てきれない臆病さのアンチノミーが面白い。一度はマルクス主義を棄てたと宣言するだけの事はある。

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【宮崎駿のご託宣22】だが氏自身が、他の所で「やりにくい」と評した様に、勧善懲悪が魅力のアニメの世界では、マルクス主義の様な善悪二元論を棄てる事は、発想の源泉を失いかねず、不便な事なのであろう。それゆえ、アニメ屋としての氏は『紅の豚』で「アカに戻る」と宣言したのであろう。

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【宮崎駿のご託宣23】ただ次の事は言っておきたい。思想はどうであれ、氏の「この世に善を求める。人には善であれよと祈る」その気持ちに嘘はない。そうでなくて、あれほど沢山の傑作を生み出せる訳がないのだ。氏には独特の率直さがあり、それがあっという間に人の心をつかむのである。