
スタンドから客観的に見ることができていた私たちですら「次は何をするんだ?」と思っていたぐらいだから、ピッチで直接対峙した浦和の選手たちはより、そう感じていたはずだ。
2013-07-24 21:36:53
実際、立ち上がりは割と身体を寄せて守ろうとしていたとあるDFが、「寄せて外される」のを怖がったのか徐々に寄せきれなくなり、最終的には「待ちの守備」となったことで、より佐々木に自由を与えてしまったという流れがあったほど。 とにかく、誰がどう見ても「攻撃の中心」だった。
2013-07-24 21:37:33
同点弾は、奪ったボールを佐々木まで繋ぎ、前を向いた瞬間矢島と蓮川が即座に反応してフリーランを開始。佐々木にはその2つパスコースがあったが、DFを引き寄せる矢島のダイアゴナルランを囮にして、蓮川にスルーパスを選択。このパスを受けた蓮川が、左足で冷静にゴール右隅に流し込んだ。
2013-07-24 21:39:21
逆転弾も、この試合を象徴する形だった。中盤で輪笠がボールをもぎ取るとすかさず蓮川にパス。受けた蓮川は相手を抜ききることなく左足でクロス。低くて速い球足の素晴らしいクロスは、真ん中に走りこんでいた矢島にドンピシャリ。矢島は右足のインサイドで丁寧に押し込んでネットを揺らした。
2013-07-24 21:41:34
蓮川のクロスは練習でも出ないぐらい素晴らしいものだったが、このクロスには伏線があった。後半、蓮川がサイド深くに入り込んだのがこの場面で3度目だったが、1度目はエリア内にドリブルで侵入して、左足でシュート。2度目は縦に行くと見せかけて、切り返して中に持ち出してシュート。
2013-07-24 21:43:24
そして3度目のクロスの選択がゴールにつながった。対峙した細田はこの場面で完全に「受けの守備」をしてしまったが、そうさせたのは蓮川自身の前2つのプレーだったことは間違いないだろう。本人にどこまで意図があったかはわからないが、こういった駆け引きは見ていてゾクゾクさせられた。
2013-07-24 21:44:51
久々に全国クラブユース選手権へ出場する望みを絶たれた鹿島戦で、蓮川は一人気を吐いた。続く柏戦では、敵将に「あの子は早い早い」と言わしめた。更に大宮戦でも、サイドで度々仕掛けを見せてアシストをマークした。そして、この試合でも左サイドは蓮川のものだった。
2013-07-24 21:45:19
まだまだ荒削りなところがあるが、今がまさに覚醒の時であることは疑いようがないだろう。こういった成長を目の当たりに出来るのは、育成年代を見る上での1つの醍醐味だと思う。
2013-07-24 21:45:43
矢島の頑張りも見事だった。この日の逆転弾は練習でお互いが要求しあった形だったようだが、点で合わせた件のゴールシーンはかなりの興奮を覚えた。腰痛は依然爆弾として抱えているようだし、この日は右足太ももにテーピングが巻かれていた。
2013-07-24 21:46:32
後半何度か、ベンチから「キイチ、いけるか?」という声が飛んでいて、傍目からはもう無理させない方がいいのでは?と思って見ていたが、矢島はその度に大丈夫!というリアクションをし、ついには最後まで戦い抜いた。その熱い気持ちは間違いなくチームに届いていたし、スタンドに届いていた。
2013-07-24 21:46:52
全てが上手くいったわけではない。だけど、いわば前時代的な佐々木の「エンガンチェ」としての起用が、偶然・必然織り交ぜて、チームにいい意味のうねりをもたらした側面はあったと確信しているし、佐々木自身がこの旧式なスタイルをどこまで追い求めてくれるのか、無責任に期待したいところもある。
2013-07-24 21:56:44
というわけで、採点を書いたエントリのタイトルを「ターニングポイントたり得る勝利」としたその心を、短評を補足するような形も含めて、趣くままに書いてみました。浦和戦で見せた形が、この日限定となる可能性はあると思います。
2013-07-24 22:00:22
だけど、佐々木が持つ可能性、蓮川の覚醒、長澤の「江口・福森ライン」への継承、輪笠の進化、鴨池が持つべき責任感、チーム全体の守備意識の高まりなど、あまりにも見るべきところがあった試合でした。それをもたらした形に賭けてみる手は、あると思っています。
2013-07-24 22:03:04
ちょっと前のエントリで「今年のチームには色がない」なんて書きましたが、この日は極彩色でビッカビカでした。まだこの先に苦しいターンはあるかもしれませんが、年末に向けてこのチームが何かやらかしてくれそうな期待を、ひっそりと抱いていたいと思う夜でした。
2013-07-24 22:04:29