「風立ちぬ」についての雑想

宮崎駿監督の最新作「風立ちぬ」について。 あれこれ、とりとめもなく語ってます。 なんか色々不思議な作品だなあと。
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テリー・ライス @terry_rice88

風立ちぬってエヴァQみたいな見方をすればいいアニメなのかどうかを論じるべきなんだろうか。

2013-07-22 22:11:21
テリー・ライス @terry_rice88

風立ちぬのコピーである「生きねば。」って、対象者は一体、誰なんだろうなあと見た後、考えるわけですよ。少なくとも見終わった後、あのコピーが「映画を見に来た人々」に向けられてるわけじゃないと感じられる。

2013-07-22 22:16:20
テリー・ライス @terry_rice88

じゃあ、作中の堀越二郎なのかと言われると、そうでもない。あの激動の時代を駆け抜けていった彼を綴る物語のラストシーンは「紅の豚」の生と死の境界線である所の「夢の中」で終わるので、彼が「生きねば。」と感じるのも何か変な気がする。じゃあ、演じた庵野監督だろうか。それも違うんだろう。

2013-07-22 22:19:45
テリー・ライス @terry_rice88

まあ、順当に考えて、死を覚悟した宮崎監督が残り少ないだろう僅かな人生を真っ当に「生きねば。」と決意表明しているに過ぎないんだよね・・・。そこら辺に自分は割と距離感が遠い感じがしてしまって、素直にあの映画に入り込めないと言うか。

2013-07-22 22:23:15
テリー・ライス @terry_rice88

「風立ちぬ」っていろいろ不思議な作品だと思うんだ。

2013-07-24 20:48:00
テリー・ライス @terry_rice88

作品の構成が一本の映画としてなんか妙。 堀越二郎と飛行機の話かと思えば、菜穂子とのラブロマンスが中盤から顔を出してくる。それが結構、本筋の軸になってる。あとカットごとの時間経過が不思議と言うかシームレスなので作中での時間の概念がないような感覚。それこそ作中で繰り返される「夢」

2013-07-24 20:55:00
テリー・ライス @terry_rice88

そも全体が「夢」のようでもある。「光陰矢のごとし」という表現なのかもしれないけど、いつの間にか5年、10年とサインもなく経過してるのは不思議だなあと。それを行ってしまうとカプローニとの対話とかどうなってしまうんだけどね。この辺り、自分はポニョとの類似を見るんだけども。

2013-07-24 20:58:43
テリー・ライス @terry_rice88

堀越二郎という実在の人物を取り扱いながらも、「どこかの時代の、どこかの国の、どこかの町の、誰かの物語」に収めちゃってるのがすごく不思議だなあ。いや、二郎のキャラクター像も堀辰雄の「風立ちぬ」と混ぜてるから、「本当の」堀越二郎じゃないからこそ、その物語構造が非常に不思議。

2013-07-24 21:03:57
テリー・ライス @terry_rice88

不思議なんだよなあ、震災も戦争もあったようには描いてはいるんだけど、出来事以上の事象じゃなくて。特に震災なんかは二郎が身を持って経験してるんだけど、特に慌てる振りもなく、素直クールな面持ち。それがずっと本編を支配していると言う。

2013-07-24 21:11:16
テリー・ライス @terry_rice88

「風立ちぬ」の話に戻るけど、作品としては歴史的出来事を尻目に、美しい飛行機を作ろうとする堀越二郎に、労咳を患った菜穂子と彼のラブロマンスだと言える。んだけど、さっきも呟いたように作品構成として序盤から中盤が、結構どっちつかずの拙い構成している上、性質は「静」なのに動きまくっている

2013-07-24 21:49:58
テリー・ライス @terry_rice88

「風立ちぬ」の作品自体、淡々として、起伏に満ちた物語ではないんだけど、全体にせわしい構成なのが非常に不思議で、どこが原因なのかと言うと、やはり宮崎駿監督自体が不世出のアニメーターであるという一転以外にありえないんだろうなあと。

2013-07-24 21:53:46
テリー・ライス @terry_rice88

「風立ちぬ」全体から受ける「静」の印象を覆すような、実際の映像から受ける「動」の印象。パンフレットでも監督の抱える「飛行機」と「兵器」としての矛盾というのが書かれていたけど、映像的な矛盾もやっぱりあったんじゃないかなあとか、少し思うわけで。

2013-07-24 21:58:50
テリー・ライス @terry_rice88

然るべき映画の描かれ方というのがやはりあって、自分は「風立ちぬ」にその辺りの齟齬をどうしても感じてしまう。動きすぎて、メリハリがない。やっぱり「溜め」のカットなり、シーンが欲しかった。もちろん宮崎監督の描くアニメーションは一級品だと思う。しかし、そうだからこそだ。

2013-07-24 22:04:20
テリー・ライス @terry_rice88

映画館で「風立ちぬ」を見終えて数日、思い返して考えると自分は「映画」を見たんじゃなくて、「アニメーション」を見たんだなあと思う以外にないんだろうと思う。「常に動かなければならないアニメ」と「全体をコントロールし、時間を制御する映画」の差を見たような感じがするなあ・・・。

2013-07-24 22:10:36
テリー・ライス @terry_rice88

さっきも言ったように「風立ちぬ」は実在の時代、実在の人物を扱いながらも「どこかの時代の、どこかの国の、どこかの町の、誰かの物語」に仕立てている作品だ。時間の概念が非常に曖昧、かつ駄々漏れ。

2013-07-24 22:13:54
テリー・ライス @terry_rice88

だから「映画」として時間の制御が上手くない作品、なんだろうなあ。逆に「アニメーション作品」としては実在の人物や時代を「アニメート」することで「現実の空想化」に成功してる作品と言えなくもないんじゃなかろうか。それにしたって、監督の懐古主義が過ぎる部分があると思っちゃうんだけど…

2013-07-24 22:18:31
テリー・ライス @terry_rice88

ここで言う「時間の制御」ってのは、体感時間(例えば1時間を早く感じるか、遅く感じるか)の問題もそうだけど、作中の時の進ませ方の巧拙も含んでます。名作映画とかはこの辺りがすごく秀逸だと自分は思っています。まさしく「時を忘れる」と言うことにもなる。

2013-07-24 22:23:05
テリー・ライス @terry_rice88

振り返って、「風立ちぬ」はどうだろうか。作品全体において、あまり時の概念って重要視されてないと思うのは、「~年経ちました」と台詞が出てくるのにもかかわらず、かなりシームレスにシーンが繋げられているから、ちょっと「えっ」って思ってしまう。

2013-07-24 22:27:34
テリー・ライス @terry_rice88

また二郎たちを取り巻く周辺の事情(時代の情勢)は非常に状況的に流れていくので、国勢的な危機感とか苦境とかがあまりないまま、二郎主観の時間が流れているのが、やっぱり不思議に感じてしまう所ではあるんだよなあ。この辺りもまた作品、あるいは監督の矛盾を孕んでそう。

2013-07-24 22:37:10
テリー・ライス @terry_rice88

そういった「時間の使い方」が非常に不思議な作品だよなあ、「風立ちぬ」。作品の性質的に「静」の作品でもあるにもかかわらず、不世出のアニメーター、宮崎駿の「終の作品」になるかもしれないという問題と、「動いて何ぼのアニメーション」という矛盾が同居してるような作品だと思う。

2013-07-24 22:41:50
テリー・ライス @terry_rice88

物語的にはものすごくオーソドックスでもあるし、二郎が男の「仕事」としても、「人生」としても、両方から幸せ、というかかけがえのない大切なものを何一つ失わず得ている都合の良さはなんとなく感じてしまうけど、好きなものを揃えて、描けばそうなるよなと。ロマンが溢れているなあと思う。

2013-07-24 22:45:04
テリー・ライス @terry_rice88

ゆえん、物語の主軸として「メカと美少女」を老境の域から「生きねば。」と描いた、ノスタルジックでもありつつ現代に向けたアニメであると考えれば、一定の価値はあるだろうけど、それって「萌えアニメ」との差は?と考えもするわけで。ここもまた矛盾ではあるよなあ・・・。

2013-07-24 22:49:23
テリー・ライス @terry_rice88

イタリア人的家族(あるいは職人)主義は宮崎監督の理想とするところなのかなあとも感じる。ドイツ人については、民族性はともかく製造物の機能美を褒め称えている感があったけど、合理主義みたいのは嫌ってそうだよね・・・。

2013-07-24 22:51:47
テリー・ライス @terry_rice88

「風立ちぬ」の堀越二郎はストイックに理想の飛行機を求め続けた、同じようにストイックに妻とする女性に愛を注いだ。菜穂子もまた愛に生きた女性として幸せに生きたからこそ、ロマンティックに響くんだろうなあ。愚直、もしくは飄々としてるのかもしれないけど「風立ちぬ」においては二郎が全て。

2013-07-24 22:57:30
テリー・ライス @terry_rice88

二郎が感じたもの、経験したもの、得たものを観客が想像することによって、補完されるからロマンティックになる。そういう点ではやっぱり「映画」ではなく「アニメ」だよ、これ。何かしらの情熱を孕んで、命を創造しているからこそ。だから「現実を描いた」ファンタジーでもあるんだろう。

2013-07-24 23:10:32