イアン・ハッキングしてみた/(2007)「人々の種類」
本日の文献は「人々の種類」です。(Hacking, I., 2007, Kinds of people: Moving targets, Proceedings of the British Academy, vol.151, pp285-318.)
2013-07-24 23:13:59making up peopleとlooping effectについて一般理論は存在しない。だが「いくばくかの一般化は可能である」という衝撃発言をするイアン・ハッキング(p286)
2013-07-24 23:18:13「日常的にかかわってくる制度のほとんどはトップダウンで押しつけられたといえば正確さを欠いてしまうだろう。帝国がうまくいくのは、人々自身によっていとまれるローカルなレベルでの行政に準自治をもつよう促したときだけなのだから」イアン・ハッキング「人々の種類」(p289)
2013-07-24 23:39:56イアン・ハッキングはこんなことが一般にあるよと言っているようですね。(a)人々の分類がつくられる(b)人々が実際に分類される(c)人々の分類に基づいて行政が動き始める(d)分類内のそれぞれの人間カテゴリーについて知識が蓄積される(e)ある人間カテゴリーについての専門家が生まれる。
2013-07-24 23:43:11ここではある帝国の話がされているのですが、帝国によるカテゴリーの発明、そしてそれにもとづくコントロールという話がよく想定されると思うのですが、ここでハッキングは行政レベルでそこまでトップダウンに物事は進まないのではないかと述べているわけですね。
2013-07-24 23:46:18ループ効果がエスニシティについても見いだされることを予告したイアン・ハッキングはしかしただちにこの探究を行わないことを宣言します。(p290)
2013-07-24 23:56:14「エスニシティやそれに関連するものを私はここでトピックとしてとりあげない。帝国が人々の種類を組織するという事態は結局のところかなりの程度までむき出しの暴力の問題なのであり、それは現状では私にあまり関わりをもたない」イアン・ハッキング「人々の種類」p290
2013-07-25 00:01:58ここの訳はちょっとむつかしいですね。「a matter of brute power, which in the present context does not concern me」が原文ですね。
2013-07-25 00:02:58なのでそれは大いにbrute powerの問題なのだ。ところで、brute powerっていうのは私の問題ではないよねdoes not concern meという感じでしょうか。
2013-07-25 00:03:52「私が興味を持つ分類とは科学の領域で研究されているもんだ。そうした科学の領域では知識は単に道具的instrumentalなのではない。ミシェル・フーコーは無垢で、あるいは不可避にみえる科学的分類がもつ権力効果について考えるように多くの読者を導いた。」(続く)
2013-07-25 00:06:40「この講義で私はその[フーコーと同じ]道を進まない。もちろん、その道はすでにかなり踏みならされ[なじみ深いものになっ]ているので、読者たちは[この違いを]見落とすことはないだろうが。」イアン・ハッキング「人々の種類」(p290)
2013-07-25 00:09:13フーコーが科学において使われる分類の権力効果power-effectsに読者の関心を向けたとしたうえで、ハッキングは自分はその道をとらないとのべているようですね。
2013-07-25 00:10:23ここででてくる疑問は以下の二つですね。(1)イアン・ハッキングはなぜ[科学において使われる分類の権力効果に注意を向けるという]フーコーと同じ道をとらないのか(2)ハッキングがフーコーと同じ道をとらないとしたら、ハッキングは科学についての分類についてどのような道をとるのか。
2013-07-25 00:12:01使用文献は引き続き「人々の種類」です。(Hacking, I., 2007, Kinds of people: Moving targets, Proceedings of the British Academy, vol.151, pp285-318.)
2013-07-25 22:41:14人々を分類するために新しい人間についての種類をつくり出すというmaking up peopleという事態。さらに新しい人間の種類に人々を分類することで、そのように分類された人々へと変化が起き、その変化が分類そのものの変更を強いるというループ効果。この二つがテーマでした。
2013-07-25 22:45:02