FF6・流離う僧と見守る白い竜

セリスと合流前のマッシュの行動をSSにしたもの。ピクシブからこちらにライブツイートしたもの。オリキャラ注意。
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みなみ @minarudhia

だいぶ時間経っちゃいましたが、そろそろライブツイート始めたいと思います。TL荒らしになっちゃうかもしれませんので、スピードを調節しながらツイートしていきます。

2013-07-25 21:48:44
みなみ @minarudhia

SS・ジャンル:FF6 題:流離う僧と見守る白い竜

2013-07-25 21:52:36
みなみ @minarudhia

目を覚ましたと同時に体を襲ったのは、激しい痛みと重い倦怠感だった。一体自分がどこにいるのかさえわからない。半身をぬるい海水に浸した状態だと気づいたのは、視界がはっきりとしたその時である。

2013-07-25 21:53:09
みなみ @minarudhia

「……なんだ…?」 痛みの治まらない体をやっとの思いで起こし、マッシュは頭を巡らせた。 紅く濁ったような空に沈んだ色の海。 彼が落ちた場所は、深く切り立った崖に挟まれた海岸だった。

2013-07-25 21:56:25
みなみ @minarudhia

―――何が起こったのか、まるで覚えていない。 三闘神の暴走した力によって破壊された飛空挺と、次々に地上へ投げ出された兄と仲間。 意識を失う直前に見たのはそれだけだった。 長引く痛みをケアルで軽くしてから、改めて身の回りを改め始めた。

2013-07-25 21:58:17
みなみ @minarudhia

「えっと…財布はきちんとここにあって…武器と防具も壊れてない…。…あ!魔石がない…!他の誰かが持ってれば安心できるんだが」 細々と整理し、荷物を一つに纏め上げてから崖を登っていく。 食料は魔大陸に乗り込む前に調達していた分が残っていたので、町があれば問題ないと判断した。

2013-07-25 22:00:39
みなみ @minarudhia

その先は、まるで別世界だった。 三闘神の力は世界中の大陸をことごとく引き裂き、歪つに接ぎ合わせた形になっていた。 そのおかげで街や村に辿りつけないだけではない。 見慣れないモンスターも至る所に姿を見せていた。

2013-07-25 22:02:45
みなみ @minarudhia

「くそ!なんでここまでこうなっちまったんだ!?」 腕に装着した爪で眼前にいる敵をなぎ倒しながら焦りを覚えるマッシュ。 敵は手強く、複数に纏まって出てくる。 その上野宿のための道具もないので消耗は痛々しかった。

2013-07-25 22:05:35
みなみ @minarudhia

今彼が戦っている場所は深い森の中。 生きた人間とまともに出会えるはずもなく、魔物の巣窟となり果てている。 崩壊する以前は、穏やかで静かだったろう森の、見るに荒れ果てた顔。

2013-07-25 22:08:50
みなみ @minarudhia

彼を取り巻いているのは、巨大で鋭利な鎌を持つカマキリのモンスター・キラーマンティス。その鎌に囚われれば重傷は免れない。大きさに見合わぬスピードで振るわれる鎌をかいくぐり、二体倒したものの、残り数体が攻めてくる。火を纏う分身に焼かれて数体が怯む所へ、すかさず爪による殴打を叩きこむ。

2013-07-25 22:13:36
みなみ @minarudhia

このままじゃキリがない…!一旦撤退だ)

2013-07-25 22:18:06
みなみ @minarudhia

一体打ち倒すとすぐさま走り出した。 木々のざわめきとガシャガシャという巨蟲の迫る足音の他は、彼が走る時の風を切る音しか聞こえない。 木の根に足を引っ掛けるも、それでも構わず走った。 走った。 走った。 それでも、敵は諦めない。

2013-07-25 22:18:24
みなみ @minarudhia

「しつこい奴らめ―――げっ!?」 森を切り抜けた先でマッシュは青ざめた。 目の前で深く裂けた崖。 そして、その向かい側に、光り輝く何かがいた。

2013-07-25 22:22:53
みなみ @minarudhia

(挟み打ちか!?) 翼を持った四足獣のようなシルエットに、マッシュはとっさにそう思案した。 向かい側との距離はかなり離れているが、飛ぶことのできる翼を持っているとなれば話は別だ。 背後から迫る気配に、マッシュは舌打ちした

2013-07-25 22:24:58
みなみ @minarudhia

向き直った所へ素早い動きで飛びかかるキラーマンティスの群れ。 退くことが叶わない以上、やるしかない。 一方、向かい側にいるものは、微動だにしなかったが向こう側で起こっていることに気づいた様子で首を振り向けた。

2013-07-25 22:28:01
みなみ @minarudhia

「ファイラ!!」 迫ってくる鎌をかわしざま魔法を放つ。 キラーマンティスの足元から噴き出した炎が目標を焼きつくすも、まだ生き残ったものがいた。 ザシュッ

2013-07-25 22:30:14
みなみ @minarudhia

「く!」 剥きだしの肩を斬られ血が吹き出る。 反撃にと腕を振るおうとし、意識が一瞬だけ揺らいだ。

2013-07-25 22:32:46
みなみ @minarudhia

途端に、体のバランスが不安定になり、仰向けに倒れていく。 …が、背中を受け止めてくれる地面が、ない。 (しまっ―――) 気づいた時にはすでに遅い。 そのまま崖へと落ちていくマッシュは、ほんの一瞬だけ空が輝いたように見えた。

2013-07-25 22:35:15
みなみ @minarudhia

「――――っ」 目覚めた時、最初に感じたのは錆のような味。 そして、目を開けると暗い洞窟のような空間が目に入った。 「……?助かったのか、俺…?」

2013-07-25 22:39:21
みなみ @minarudhia

そして、心なしか暖かい。 肌を通して感じたのは鱗のような手応えと高級な厚手の布地が持つ柔らかな触感。 なんだか変だと思った時、突然頬を舐め上げられた。

2013-07-25 22:40:53
みなみ @minarudhia

「うわっっつ!?」 盛大に悲鳴を上げて起き上ったマッシュは、ようやく自分の状況を知った。 翼と光り輝く白銀の体を持ったあの生き物の腹を、枕のようにして横になっていたのだ。 翼で優しくマッシュを覆っていた生き物は、銀色の目を細めて見つめてきた。 「…お前が、助けてくれたのか?」

2013-07-25 22:44:30
みなみ @minarudhia

肩に斬られた痕さえないのを見て、マッシュは改めて座りなおした。 その返事なのか、頷かれた。 鱗に覆われた全身に細長い尾、後ろ向きに真っすぐ伸びた二本の角と鋭い大きな爪を持っている優美な生き物である。 その尾の先が、ほんの少しだけ切れて傷になっているのを認めた。

2013-07-25 22:48:43
みなみ @minarudhia

(ま、まさか、血ぃ飲まされたのか?俺) 「ありがとうな。てっきり、敵かと思ったんだ」 そう言うと、尻尾を大きめにバタンバタン振られた。 角も柔軟なのか、少し後ろ向きに傾く。

2013-07-25 22:50:58
みなみ @minarudhia

「そんなに怒るなよ…俺は仲間を探してるんだ。でも、誰も見つからないし、世界がこんなになって地形もわからない…。その上、あいつらに追われてたから……ああ、もう何言ってんだよ俺…」

2013-07-25 22:51:49
みなみ @minarudhia

弁解するも言い訳じみた答えに頭を抱えるしかない。 しかし、生き物は彼の身にあることを察した様子で、機嫌を直すや喉をクルルと鳴らした。 ゆっくりと起き上ってマッシュに擦り寄ってくる。 「わ!ちょ、ちょっと、力加減しろよ!」 軍馬のような体躯で擦り寄られて焦る。

2013-07-25 22:55:12