2013年7月30日

@nosuke_pooh 氏による東京国立博物館・特別展「和様の書」【書誌学・文献学に基づく古典文学研究の立場から】

@nosuke_pooh 氏による東京国立博物館・特別展「和様の書」解説です。「書誌学・文献学に基づく古典文学研究の立場から」。
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久保木秀夫 @nosuke_pooh

東京国立博物館・特別展「和様の書」http://t.co/xU8m7mghyA 圧倒的な質・量の、圧巻の展示でした。以下、展示品いくつかについて、気になった点などをつぶやいていきます。書誌学・文献学に基づく古典文学研究の立場からの見方です。

2013-07-28 21:35:01
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№24・伝道風筆継色紙。もと粘葉装(糊代痕あり)1紙4面分の表裏を剥いで、2面ひと続きとなった2点を1軸に軸装。うち1点目の右面(第1面)は部立「恋一」、左面(第2面)は歌の前半。2点目の右面(第3面)はそれに続く歌の後半、そしてその左面(第4面)が白紙。なぜ白紙?と思ったが、→

2013-07-28 22:04:53
久保木秀夫 @nosuke_pooh

この第4面は本来第1面のウラ面だったはずだから、要するに「恋一」の直前の部立が終わった、最後の余白1面分に該当しているものなのだろう(ややこしくて恐縮です)。言い換えれば、典籍時の順番としては、4→1→2→3、だったということ。分割以前の状態を考える上でのヒントになりそう。

2013-07-28 22:05:01
久保木秀夫 @nosuke_pooh

(継色紙だけでものすごく時間がかかってしまった。先が思いやられる…)

2013-07-28 22:05:23
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№25・伝行成筆升色紙『深養父集』断簡。歌頭の別筆「古」(古今集に入集の意)及び合点は、従来定家の加筆とされてきたが、果たして原表紙に該当するとおぼしき断簡が冷泉家時雨亭文庫から発見されたので、その可能性が一層高まった(よろこばしい)

2013-07-28 22:12:17
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№27・小倉色紙「百しきや」。やや申し上げにくいけれども、「伝」定家筆、としておくべきでは?

2013-07-28 22:14:04
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№34~37が国宝4大手鑑。今期はそのうち藻塩草と翰墨城の2点を展示。特に翰墨城がここまで拡げて一般公開されるのは、滅多にない機会では?かつて観たMOA美術館での展示でも、これ程までではなかった記憶が。藻塩草ともども、贅沢極まりありません。

2013-07-28 22:17:10
久保木秀夫 @nosuke_pooh

個人的にとても嬉しかったのは、藻塩草でも翰墨城でも、伝空海筆南院切の貼られている部分が開かれていたこと。国宝『新撰類林抄』残欠1巻の散佚部分の断簡。これでしか知られない唐詩もあります。

2013-07-28 22:23:15
久保木秀夫 @nosuke_pooh

ちなみに伝行俊筆長門切『源平盛衰記』断簡も、今なら両方の手鑑で観ることができます!(←特定の研究者向け情報)

2013-07-28 22:24:28
久保木秀夫 @nosuke_pooh

藻塩草ではほかに、道元自筆道正庵切『対大己五夏闍梨法』断簡も。これに直接連続する断簡と、あともう1葉とが、鶴見大学図書館に所蔵されております(ちょっと宣伝)

2013-07-28 22:28:24
久保木秀夫 @nosuke_pooh

藻塩草でもうひとつ。伝寂然筆村雲切『貫之集』断簡。銀砂子が酸化して、本文が、よ、読めない…。まあ各種影印・翻刻があるので、それを参考にすれば何とか。『貫之集』本文研究の最重要資料のひとつなのに、今ひとつ研究が進められていないのは非常にもったいない。

2013-07-28 22:33:11
久保木秀夫 @nosuke_pooh

翰墨城では、伝道風筆小島切『斎宮女御集』断簡。末尾1行のみ呼び継ぎ(内容が連続するかは未確認)。その1行の下端に、小さな朱割印2種がある模様。これは一体?

2013-07-28 22:36:26
久保木秀夫 @nosuke_pooh

翰墨城では、また伝行成筆『猿丸大夫集』断簡。料紙の上部破損箇所を丁寧に補修・補写。ちなみにこのツレがまた鶴見大学図書館にあって(重ねて宣伝)、同じように補修・補写されている。分割以前のとある段階で一括してなされた模様。

2013-07-28 22:38:31
久保木秀夫 @nosuke_pooh

翰墨城ではほかに、伝公任筆糟色紙(粽切)『後拾遺集(抄出)』断簡が観られたのも収穫。あと伝世尊寺行経筆屏風詩歌切「寛仁元年頼通任摂政大饗料屏風詩歌」断簡も、実物を観たのは初めてかも。詩歌それぞれ1首1行書き。

2013-07-28 22:46:03
久保木秀夫 @nosuke_pooh

と思っていたところ、ちょっと飛びますが、№56にも屏風詩歌切が。こちらは軸装で伝行成筆。ただこれまでの研究では先のツレと扱われてきて、ワタシもそう思い込んできたけれど、こちらは歌1首2行書き、行間・字間の取り方といった書式や、何より筆蹟がまったく違うような…→

2013-07-28 22:49:02
久保木秀夫 @nosuke_pooh

ええ、べ、別種の切だったんすか!?「寛仁元年頼通任摂政大饗料屏風詩歌」には、2種類の断簡があるの?そうなの?と、これが今回個人的に、いちばん驚いたことでした(^_^;) あとできちんと調べ直します(ちなみに図録にも両方載っていますので、ぜひご比較下さい)いやビックリしたなあもう。

2013-07-28 22:52:21
久保木秀夫 @nosuke_pooh

(ちなみに拙稿『散佚歌集切集成』http://t.co/iHSM40FWKa では、当然ながら、一括翻刻してしまってます…)

2013-07-28 22:53:43
久保木秀夫 @nosuke_pooh

気を取り直して№39・秋萩帖。影印類では気をつけてみないと気づきにくいが、実物を観ると、第1紙と第2紙以降とで、明らかに紙高が異なる=明らかに本来別種の作品だったことが一目で分かる。あと第2紙と第3紙との紙継ぎ上部に、伏見天皇(たぶん)の合縫の花押があるが、紙継ぎを境に→

2013-07-28 22:59:10
久保木秀夫 @nosuke_pooh

第2紙の方(花押の右半分)はウラに隠れ、第3紙(花押の左半分)はオモテに現れている、ように見える。どういうことでしょ?

2013-07-28 23:00:55
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№60・行成筆「後嵯峨院本白氏詩巻」及び№58のそのツレの断簡。恥ずかしながら初めて知った。図録解説によると「№60の巻末奥書」によって、後嵯峨天皇からその「第一皇子・円助親王に相伝されたものと知られる」由。その奥書部分こそ観たかった…。

2013-07-28 23:04:48
久保木秀夫 @nosuke_pooh

(だんだん息切れしてきました…)

2013-07-28 23:06:06
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№62・行成筆「白氏詩巻」。かの有名な定信識語を含め、全巻拡げてくれている。なお九枚目の料紙に「(九)牧」と墨書があるが、丸括弧を付したように「九」がかすれて読みにくい。でも数えてみると、確かに料紙は9枚あるので、枚数をごまかすためわざと削除したようなものでもないらしい。何?

2013-07-28 23:14:48
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№72・目無経。未詳物語の白描絵巻の反故料紙を用いた写経で、もう抜群に面白い資料。隠れ蓑かとも言われている異形の姿を、2ヶ所に確認できた、気がする。うち1ヶ所はケース内壁面に拡大図版で掲げられているが、何の説明書きもないので、知らない人にはちょっと伝わりにくいのでは?

2013-07-28 23:20:15
久保木秀夫 @nosuke_pooh

なおこの目無経の下絵、白描のため、文字に隠れて非常に判別しづらいが、最新のデジタル技術を活用すれば、けっこう新たに分かってくることもあるのでは?とも想像したり。

2013-07-28 23:29:09
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№80・87・88は、伝貫之筆高野切『古今集』完存3巻(順に巻20・5・8)。今期は巻5と20の2巻を展示。それだけでも、まあなんて贅沢な。ちなみに巻20の巻末にある識語とまったく同じものが、巻5の巻末にもあるはずであるが、巻5の方はおそらく模写。そこをぜひ観てみたかった…。

2013-07-28 23:35:48

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