@nosuke_pooh 氏による東京国立博物館・特別展「和様の書」【書誌学・文献学に基づく古典文学研究の立場から】

@nosuke_pooh 氏による東京国立博物館・特別展「和様の書」解説です。「書誌学・文献学に基づく古典文学研究の立場から」。
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久保木秀夫 @nosuke_pooh

№100・伝公任筆修学院切『古今集』断簡。先にツイッターでも、また研究者間でも話題になっていたとおり、1992年に出現した伝公任筆『古今集』の平安時代写の完本を分割してしまい、台紙装(?)としてしまったもの。分割行為自体が極めて残念であり、かつ分割後の現在のその姿も、→

2013-07-28 23:45:27
久保木秀夫 @nosuke_pooh

糊の付け方が悪かったのかどうか、表装等に詳しくないのでよくは分からないけれども、料紙中央に皺が大きく寄ってしまっており、とても可哀想、と言わざるを得ない状態。

2013-07-28 23:47:27
久保木秀夫 @nosuke_pooh

№107・伊房筆『十五番歌合』。これまで気にしたこともなかったが、継ぎ目から継ぎ目までの、料紙の横寸法や種類などがマチマチであるという、書誌的にやや不思議な典籍。切り接ぎの痕跡を留めるのかとも想像されるが、もうちょっとよく調べてみないと。

2013-07-28 23:51:14
久保木秀夫 @nosuke_pooh

特別展「和様の書」についてはひとまず以上にします。ちなみに平成館1階で開催中の「特集陳列 和様の書 近現代篇」では、古筆手鑑『月台』の、阪、正臣による奥書部分だけが開かれていました。確かに「近現代の書」ではあるけれども、その使われ方に、ちょっとビックリ(笑)

2013-07-28 23:54:22
久保木秀夫 @nosuke_pooh

あと本館1階で開催中の特集陳列「古文書に親しむ」では、秀吉の朝鮮出兵に対して「かたく此たひの事延引候やうにとおほしめし候」云々と、遠回しに諫めたという、後陽成天皇女房奉書1幅や、定家筆申文「転任所望事」1幅などが、さりげなく展示されています。

2013-07-28 23:58:56
久保木秀夫 @nosuke_pooh

また本館2階の特集陳列「断簡 掛軸になった絵巻」も、評判どおりの素晴らしい展示。絵巻とその断簡、模本との関係性は、そのまま古典籍と断簡、その摸写・模刻本との関係性に当てはまり、大変示唆的。ホントに研究者必見。

2013-07-29 00:02:51
久保木秀夫 @nosuke_pooh

なお『男衾三郎絵巻』の絵詞部分、一般的(というと語弊があるかもしれないが)な絵巻のそれとは異なり、文字も小粒で、行間・字間もかなり狭い。そうした点、その散佚部分の断簡などが、未詳物語断簡として紹介されている中に、あるいは含まれているのかも、とも想像したり。

2013-07-29 00:05:47
久保木秀夫 @nosuke_pooh

以上です。長々と失礼しました。

2013-07-29 00:06:22