- tsugumi_shinai
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ホントは昨晩やるはずだったんだけど、私の方からもイプシロン話を少し。以下、相模原特別公開での森田先生の講演と、前回宇宙酔に来てくださった河本さんを取材したときの話を織り交ぜながらになります。写真も同様。
2013-07-31 00:52:54まずはイプシロンのざっくりとした構成について。一段目はH-IIAの補助ロケットモーターであるSRB-Aをほぼそのまま、2,3段目はそれぞれM-Vの3段目とキックステージを改良したものに相当する。
2013-07-31 01:01:24森田先生の講演資料より、歴代のISASロケットとイプシロンの大きさ比較図。M-Vよりちょっと短くなってて、M-3SIIとほぼ同じくらい。でも直径はほぼ同じ(M-V:2.5m、イプシロン:2.6m) http://t.co/w7qnH8z1it
2013-07-31 01:06:55イプシロンの初号機は今年の8月22日に打ち上げ予定。ペイロードは惑星分光観測衛星 SPRINT-A 。宇宙望遠鏡は数あれど、惑星観測専用の物は世界初。
2013-07-31 01:10:36イプシロンは新型の固体ロケットだけど、ロケット開発そのもののテストヘッドでもある。世界一簡単に打てるロケットが目的なんだそうだ。従来のロケットは、打ち上げるのにえらい手間がかかった。これをさっくり、それこそボタン一つで飛ばせるようにしたい。
2013-07-31 01:14:51で、出てくるのが「モバイル管制」。従来はロケットの各センサーから直接取り出した信号を、人間が判断して点検していた。これを、ロケット自身にやらせる。具体的には ROSE というコンピューターが搭載されてて、こいつがたいがいの判断をする http://t.co/1EC6vR5qmK
2013-07-31 01:18:03M-Vまでは前述の通り各センサーからの信号を直接取り出していたので、センサーが増えるとそれだけ取り回しが大変なことになっていた。特にM-V初号機はいろいろと初めてのことを詰め込んだ(特に姿勢制御系)もんで、センサーも多くなって大変だったとは河本さんの談。
2013-07-31 01:20:42話それるけど、M-VはそれまでのM-3SIIとはホントに何もかも変わった。特に姿勢制御系の変更は大きく、それまでの「現代制御」から「ポスト現代制御理論」に切り替わり、従来は30以上のパラメーターが必要だったものが、6個から残りを推測するようになった。これには森田先生も関わっている
2013-07-31 01:27:29M-3SIIは翼が付いていて空力で姿勢を安定させてるけど、逆に姿勢を変更しにくいという問題も発生する。M-Vはこれを取り外して、姿勢の変更をしやすくした。方向(ピッチ/ヨー)はノズルの方向を変えて、回転(ロール)は脇に付いている通称「お弁当箱」という部品からのガスジェットで行う。
2013-07-31 01:33:25宇宙研のM-Vの一段目に付いている「お弁当箱」の写真。横に穴があいてるけど、ここからガスが出るわけ。中には固体燃料が入ってる。当初はかなり大きかったが意外とロール制御は必要なかったらしく、5号機から小型化されたらしい http://t.co/QNalZjGcMV
2013-07-31 01:38:17イプシロンに話を戻すと、ROSEによってロケットが自律判断できるようになり、管制コンピューターとの信号線も専用のものである必要がなくなった。てことで、構内LANを通してLAN接続したPCで制御する。だもんで管制室はえらくシンプルである http://t.co/eGKD7MhM4z
2013-07-31 01:42:21ホントに、ふつーのPC二台(ウチ一台はバックアップ)で管制する。この写真は今年の5月22日のもので、文句なしに世界最新のロケット管制室である。どう見てもただの会議室にしか見えないが。 http://t.co/9DMjJuY7Yj
2013-07-31 01:44:58従来はロケット射場の中にあった耐爆仕様の建物「ブロックハウス」で管制してたけど、モバイル管制によって遠く離れたところに管制室を作れるようになったため、イプシロンの管制センターは3km離れた宮原にある。建物もふつーのコンクリート造り。 http://t.co/FHcejULUbZ
2013-07-31 01:48:04さて、イプシロンはM-Vと違って段間部がメッシュになっていない。これは、イプシロンは2段目を切り離してからしばらく慣性飛行するため。M-Vでは Fire in the hole といって、切り離しと着火が同時なのでガス抜きのための穴が必要だから。
2013-07-31 01:57:09イプシロンの一段目はSRB-Aなんだけど、これはM-Vの一段目ほど最適化されていない。残存推力による追突事故が起こるのを防ぐために、しばらく離してから二段目に点火するそうだ。当然ロスが出るんだけど、これは二段目の高性能化でカバーする。
2013-07-31 02:02:24それに対して M-3SII の段間部。こちらは先頭側が爆破ボルトでつながっており、これを切ると後ろ側のスプリングによって花のように開く。 http://t.co/GI17QJD8Bw
2013-07-31 02:05:51あと、イプシロンは雨に強くなった。M-Vが雨に弱かったのはフェアリングがコルクだったからと言われているけど、これは迷信だそうな。実際にはコンセントが防水でなかったのが原因とのこと。イプシロンは一段目の下にコンセントがあるため、 8mm/h の雨でも打上可能。
2013-07-31 02:11:34M-Vのは撮り忘れたので、 M-3SII のフェアリング下にあるコンセントの写真。確かに、防水には見えない。打ち上げ前はきっちりくっついてて、リフトオフと同時に確実にぱっと離れるってのは、考えてみれば結構無茶な要求ではあるわな。 http://t.co/6N45ruFYQG
2013-07-31 02:14:31@guicheng 相模原のM-Vはコンセント関係は実装されていないので、たぶんめくら蓋か、そもそも再現されていないとおもわれます。
2013-07-31 02:19:31改めて、M-V段間部。上の方に割れ目が見えるけど、二段目切り離し時にはここからぱっくりと割れる。同じ割れ目が真下と向こう側にもあって、三分割になる。 http://t.co/s4zNhHK39t
2013-07-31 02:23:34M-V二段目ノズルの内側。奥に見える穴からは液体燃料が吹き出され、すると本流の燃焼ガスが押されて向きが変わるので、ピッチ・ヨー制御ができる。ちなみに、一段目は油圧によるノズルのジンバル制御。油圧の動力は別に搭載された固体燃料。 http://t.co/p31QFC6Hkc
2013-07-31 02:30:11