13フェイズとセイブ・ザ・キャットやヒーローズジャーニーとの違い

北米型作劇テンプレートと 13フェイズ構造の違い
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沼田やすひろ @numatayasuhiro

おとといの金子先生の基調セミナーでチラリと話した、従来テンプレートとカネコイズムの差異に関する連続ツイートを開始します。

2013-08-04 22:53:51
沼田やすひろ @numatayasuhiro

「映画脚本パラダイム」について 僕が筋立ての構造を語るとき、カネコイズムの「13フェイズ」パラダイムを基準に置いている。 これは最新というわけではなく普遍的な「納得できる」筋立ての構造だ。

2013-08-04 22:54:19
沼田やすひろ @numatayasuhiro

映画などの「売り」はこの筋立てにはなく、「映像表現」にあることは何度もツィートしている。だから、脚本における「売り」とは目に見えない「筋立て」構造ではなく、目に見える(耳に聞こえる)映像表現になる「セリフ」と「ト書き」にあるのだ。

2013-08-04 22:55:05
沼田やすひろ @numatayasuhiro

「売り」ではない反面、筋立てが「13フェイズ不全」だったり「論理骨折」だと、「満足できない」作品になる。

2013-08-04 22:55:28
沼田やすひろ @numatayasuhiro

筋立てというと、従来型の北米テンプレート「Save the cat(STC)」や「Hero’s Journey(HJ)」の亜流と誤解される方が多く、「役に立たない」と先入観で語られる方も多い。

2013-08-04 22:55:53
沼田やすひろ @numatayasuhiro

ここで明言しておきたいのは、「13フェイズ」はSTCやHJまで分析できてしまう普遍構造であり、複層掛け(2層以上)によりパターンは無数になるということ。

2013-08-04 22:56:47
沼田やすひろ @numatayasuhiro

先日の記事、 http://t.co/8xMTptm80i では、STCについて触れている。この記事は「3act(3幕)」を「3アクション(3動作)」と間違えている…ひどい内容なのだが、案の定、「13フェイズ」と混同している読者を見かけるので、たいへんに残念だ。

2013-08-04 22:57:13
沼田やすひろ @numatayasuhiro

「13フェイズ」は簡単に言うと「納得できる(エンタメ)ストーリー展開の流れ」だ。キャラクターは、「日常/事件/決意/苦境/助け/成長/達成/(助けのない)試練/破滅/契機/対決/排除/(視聴者の)満足」の13段階を経ることによって「納得のいく変化」をさせることができるというもの。

2013-08-04 22:59:14
沼田やすひろ @numatayasuhiro

SATは「オープニングイメージ/テーマの提示/きっかけ/悩みの時/第一ターニングポイント/サブプロット/おたのしみ/ミッドポイント/迫り来る敵/すべてを失って/心の暗闇/第二ターニングポイント/フィナーレ/ファイナルイメージ」の15段階をビートとして筋立てを構成するテンプレート。

2013-08-04 23:01:49
沼田やすひろ @numatayasuhiro

STCのキーワードを観察してみると、状況が羅列されていて、キャラクターと関連があるものは「きっかけ」「悩みの時」「迫り来る敵」「すべてを失って」「心の暗闇」であり、「13フェイズ」における「成長」や「対決」がないことがわかる。

2013-08-04 23:04:12
沼田やすひろ @numatayasuhiro

SATは「成長」せずにシチュエーションだけで状況が変化していくので、「シチュエーションコメディ」にとても有効なテンプレートなのだ。

2013-08-04 23:04:31
沼田やすひろ @numatayasuhiro

HJは一部の方が人生セミナーなどに応用して、とても胡散臭くなってしまっているが、「神話」や「英雄の叙事詩」を書く際にはとても有効だ。

2013-08-04 23:05:42
沼田やすひろ @numatayasuhiro

HJテンプレートで描かれる「変化」はキャラクターの内面ではなく、「偉大な存在に認められる」という「変化」。第一幕「旅立ち」を「天命」「旅立ち」「境界」、第二幕「通過儀礼」を「師」「悪魔」「変容」「課題完遂」、第三幕は「帰還」という8段階(派生研究では17段階)にしている。

2013-08-04 23:06:08
沼田やすひろ @numatayasuhiro

「スターウォーズEpisode4(SWEP4)」は、このHJを元にしてシナリオが作られている。 歴史的な名作だが、僕は中学生時代にこの作品に接してとても複雑な想いを抱いた。

2013-08-04 23:06:34
沼田やすひろ @numatayasuhiro

映像(売り)は驚くべきもので「とてもおもしろかった」が、筋立てが中途半端だと思ったのだ。序盤、大きな伏線だった「ジェダイの騎士」というのは結局語られずに、主人公は「戦闘機乗り」になり、その英雄への成長過程で悲劇が伴わなかったのだ(師のオビワンが死なずに消えるだけ)。

2013-08-04 23:06:53
沼田やすひろ @numatayasuhiro

実は「フォース教」という仮想宗教において、このHJ筋立て(17段階構造)は完成している。

2013-08-04 23:07:29
沼田やすひろ @numatayasuhiro

。「ジェダイの騎士」になりかけるのは、フォースの教えに接するという「女神との接触」に相当する部分であり、「戦闘機乗り」になるのは「神格化」に相当するからであり、オビワンが死なずに消えるのは、主人公が「父(の象徴)との一体化」を表現しているからだ。

2013-08-04 23:07:47
沼田やすひろ @numatayasuhiro

SWEP4の筋立てを「13フェイズ」で分析してみると「凡人が英雄になる」と「凡人がエースパイロットになる」の二つの筋立てが不完全な「13フェイズ」ではあるものの複層に重ねられていて説得力がある一方、不完全の理由である「破滅」局面の脆弱さで中途半端感が生まれてしまったことがわかる。

2013-08-04 23:09:25
沼田やすひろ @numatayasuhiro

このように「13フェイズ」構造は、STCやHJとはまったく異なるものであり、それらの問題点をも「分析」できるものであることを、ここに明言しておく。

2013-08-04 23:09:56
沼田やすひろ @numatayasuhiro

以上で、「従来テンプレートとカネコイズムの差異に関する連続ツイート」を終了します。

2013-08-04 23:11:03
沼田やすひろ @numatayasuhiro

あー、すいません。 先ほどの連投中で、 Save the catパラダイムの 略号STCをSATと 間違えているところがあります。 謹んで、修正いたします。

2013-08-04 23:25:23