【きみのもうひとつの星は】福間健二 2factory41
この地上の、ほとんど根拠のいいかげんな、おびただしい分割線を思いながら、朝食、昼食、そして夕食。「たいていのものは、おいしい気もしますが」と慎也は言う。でも、戻ってこない人たち。何を捏造するのか。罠にかかって。ないものねだりして。(きみのもうひとつの星は1)#2factory41
2013-07-28 08:59:00優柔不断。大雨の夜のあとに小雨の朝をおき、遠い町の洪水を気にしている。「お金がザクザク、空は青い」とうたった彼女の住む町。背後の、不能の山を、何組み目のボニーとクライドがのぼっているのか。ふりをする。この線を消して、その線の上に。(きみのもうひとつの星は2)#2factory41
2013-07-29 08:24:12くだもの、その可愛いおしりがならんで。なにかに負けていいはずはない。静かに帽子をとったきみの「実際に感じること」。でも、どうするのか。廊下、洗面所、時代の空気。事務所、公園、うっとおしい演技。目をあける。いやでもその言い分をきく。(きみのもうひとつの星は3)#2factory41
2013-07-30 09:51:42ゆっくり、ゆっくり、でも情熱的に。きみのしていることは。しようとしていることは。「現場」から駆け足で戻ってくる見知らぬ人たちとの、ふるえながらの会話。だれもまちがっていない。でも、見つからない抜け道。お昼ごはんは何を食べましたか?(きみのもうひとつの星は4)#2factory41
2013-07-31 09:08:17ある境地。深く眠って、たまっているもの、全部、きれいに出せよ。でも、まだ熱いフライパンが落ちてくる。この夏は、手すりのぐらつく狭い通路。あの夏は、ありあわせのものを炒めていた。挨拶なしに追い抜かれて。お昼は、食べないんだってさ。(きみのもうひとつの星は5)#2factory41
2013-08-01 10:17:28動いていく雲に偽りの深刻さを押しつけて、トンネルで拾った袋のなかにみだらな「二人」がいる。それが古い歌だ。でも、大事にとっているんだね。海と空、何世紀も変わらない風景の絵のなかに、その袋。入っているきみとぼくはケンカしてるけど。(きみのもうひとつの星は6)#2factory41
2013-08-02 09:39:08彼女たち、きれいだ。苛酷な労働が消えたそのヴィジョン、その図形的処理を認めて、ジャスティンのトンネルを抜けると、晴天の約束、守られている。おばあさんの手。見るだけのきみの「ホッとしたよ」は先週的でも、黒いアゲハがゆうゆうと飛ぶ。(きみのもうひとつの星は7)#2factory41
2013-08-03 11:13:34先週は、「さよならクロール」が落とし穴。それをよけて入った死体陳列室。入れかえ可能な断片が、遠い「いつか」のために泣いたり笑ったりした。今週は、一日一日の、下部からの消耗。わかった。決まった。破れている。鳴ってください、角笛さん。(きみのもうひとつの星は8)#2factory41
2013-08-04 13:48:21ハードボイルド、泣きたいのを我慢して気づかれずにいる花びらの水着。その上にコート、ザクッと、探偵のきみ。大学通り、角笛の死んでいるのを子どもたちと一緒に見つけた。谷保駅を抜け、甲州街道をわたり、月夜の、宝石。この線は自分で隠す。(きみのもうひとつの星は9)#2factory41
2013-08-05 09:06:25きみのもうひとつの星は、奔放な死体と交換された。でも、同種の二つが求めあうことの退屈さ。それがわかって、どんな陳列室に参加するのだ。今週のナンバーワン。お腹のすいた自分を生みだしている。だから「たいていのものは、おいしい」。(きみのもうひとつの星は10)#2factory41
2013-08-06 08:26:38