茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1003回「保守は、持続可能性」
- toshihiro36
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ほじ(1)木内孝胤さん @takatanekiuchi のいとこの方がプロデューサーをされた映画『終戦のエンペラー』(http://t.co/o22NHTgIZa)は、戦後の日本がたどった道を深く考えさせる傑作。昨日、野口美佳さん(@mikajohn )ともこの映画の話をした。
2013-08-08 08:23:27ほじ(2)いちばん難しいと懸念されたのは、昭和天皇の描き方だけれども、たいへん印象的なものであった。昭和天皇がお話になるのはほんの一言で、それが決定的な意味を持つ。マッカーサーとの歴史的会見。日本の命運が、昭和天皇のお人柄によって好転した、劇的瞬間であった。
2013-08-08 08:24:53ほじ(3)『終戦のエンペラー』は、日米合作だが、アメリカ市場向けの話作りと、日本人にとって納得のいく物語の間で、葛藤があったと聞く。結果として、画面全体から漂ってくる何とも言えぬ緊張感。終戦直後、日本がGHQによって支配されていた時代の「偶有性」が、今、よみがえる。
2013-08-08 08:26:45ほじ(4)「国体」という言葉がある。日本という国の基本的なあり方。天皇を中心として、伝統的に築き上げられてきた文化、伝統。この「国体」が、敗戦とGHQ支配の時代に、危うくなった。『終戦のエンペラー』(原題は、単に、"Emperor")は、日本の国体の危機を描いた作品でもある。
2013-08-08 08:28:49ほじ(5)ここで考えなければならないのは、第二次大戦で「国体」を危うくした根本原因は何か、ということ。世間では、「保守主義」(conservatism)ということがよく言われる。日本における保守主義とは、「国体」を維持するという意味であると考えて、まずよいだろう。
2013-08-08 08:29:55ほじ(6)保守主義とは、人間はそんなに簡単には変わらないという認識である。急進主義は、保守の真逆。たとえば、社会主義や共産主義の思想は、「イデオロギー」によって人間や社会が変えられると考える点において、「保守主義」の考え方とは異なる急進主義である。
2013-08-08 08:31:48ほじ(7)日本の敗戦に至り、GHQによって支配されるという日本の「国体」の危機を招いたものは何か? それは、社会主義や共産主義とは異なる意味での「急進主義」であった。日中戦争と、対米開戦に向けた、軍部の暴走。昭和天皇が、米国との戦争に反対でいらしたことは歴史上の事実だ。
2013-08-08 08:34:33ほじ(8)「保守」とは、「持続可能性」のこと。1300年にわたって遷宮を営んできた伊勢神宮のあり方は、まさに本来の意味において「保守」である。その時々の世俗的権力と距離を置いて続いてきた天皇家のあり方も、真正な「保守」である。一方、軍事的冒険主義は、急進であって保守ではない。
2013-08-08 08:36:31ほじ(9)日本の社会が保守化していると言われるが、それが、「持続可能性」を志向するものならば歓迎すべきだろう。一方、近隣諸国に対して威勢のいいことを言ったり、排外主義に走るのは、「急進」ではあっても、「保守」ではない。かつて急進主義が国体を危うくしたことを忘れてはならない。
2013-08-08 08:38:29