【著作権法】理解されない非親告罪化 #TPP #著作権

親告罪だから作者から告訴されない限り、警察は動けない? いいえ! 非親告罪になれば、無断転載も無許諾二次創作も、第三者が告発すればドンドン摘発される? いいえ!!
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非親告罪化で無断転載を取り締まってもらえる!?

水瀬秋【#反撃能力「保有」= #キシダ戦争法】 @biac_ac

親告罪のせいで無断転載を取り締まってもらえない …のではなく、たとえ作者が告訴しても「民事不介入」 https://t.co/ysFwARJsp9 で警察は動かないのです。 非親告罪化したって、民事不介入の基準が変わらなければ、やっぱり取り締まりは行われないことに。

2013-08-21 10:45:44
水瀬秋【#反撃能力「保有」= #キシダ戦争法】 @biac_ac

著作権侵害に似ている商標権侵害は、昔から非親告罪です。 が、何も言わなくても商標権侵害を警察が摘発してくれる… なんてことはありません。やっぱり通常は民事訴訟なんです。 例) 今年6月、IKEA http://t.co/ob1QK5ssB9 @biac_ac

2013-08-21 11:12:25
水瀬秋【#反撃能力「保有」= #キシダ戦争法】 @biac_ac

著作権侵害の非親告罪化によって ・無断転載とかが取り締まられることもなく、 ・海賊版摘発の効率が特に上がるわけでもなく、 しかしデメリットだけはあって、 ・二次創作は委縮し、 ・著作権者は黙認する/しないの権限を失い、 ・警察に別件逮捕の道具がまたひとつ増える @biac_ac

2013-08-21 11:27:37
水瀬秋【#反撃能力「保有」= #キシダ戦争法】 @biac_ac

著作権侵害で別件逮捕っていうのは、こんな感じ 「てなブックマーク - 個人ブログに市のHPをコピペ 著作権法違反容疑で無職男を逮捕」 http://t.co/VrPrYrf33q 「ようは、名誉毀損めんどくさいから著作権法違反の疑いで別件逮捕しました、と」 @biac_ac

2013-08-21 11:35:45

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ついでに。 「出所明示義務」と「著作者名詐称罪」

著作権法の第四十八条と第百二十一条の話。

著作権侵害の非親告罪として挙げられることがあるけど、なぜか範囲が過大に語られることが多い。

 

出所明示義務

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  • 第四十八条  次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。

一  第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合

二  第三十四条第一項、第三十七条第三項、第三十七条の二、第三十九条第一項、第四十条第一項若しくは第二項又は第四十七条の二の規定により著作物を利用する場合

三  第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。

  • 2  前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。

  • 3  第四十三条の規定により著作物を翻訳し、編曲し、変形し、又は翻案して利用する場合には、前二項の規定の例により、その著作物の出所を明示しなければならない。

第三十二条 引用
第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。) 教科用図書等への掲載
第三十三条の二第一項 教科用拡大図書等の作成のための複製等
第三十四条第一項 学校教育番組の放送等
第三十五条 学校その他の教育機関における複製等
第三十六条第一項 試験問題としての複製等
第三十七条第一項、第三項 視覚障害者等のための複製等
第三十七条の二 聴覚障害者等のための複製等
第三十八条第一項 営利を目的としない上演等
第三十九条第一項 時事問題に関する論説の転載等
第四十条第一項若しくは第二項 政治上の演説等の利用
第四十一条 時事の事件の報道のための利用
第四十二条 裁判手続等における複製
第四十三条 翻訳、翻案等による利用
第四十六条 公開の美術の著作物等の利用
第四十七条 美術の著作物等の展示に伴う複製
第四十七条の二 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等

以上の場合には、著作物の出所を表示しなければならない。

以上の場合とは、いずれも無許諾で著作物の利用が合法な場合である。
つまり、 出所明示義務を咎めるということは、 その利用行為自体は合法だと認めていることになる。

 

著作者名詐称罪

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第百二十一条  著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

===
(定義)
第二条 (…中略…)

九の四  自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。 (…中略…)

十五  複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること (…中略…)

十九  頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与すること (…後略…)

すなわち、複製物とは有形的に再製されたモノであり、それを頒布(=公衆に譲渡・貸与)する場合に限って、著作者名詐称罪が成立する。
複製物の譲渡・貸与を伴わない自動公衆送信(=ネット)での行為は対象外

水瀬秋【#反撃能力「保有」= #キシダ戦争法】 @biac_ac

出版権にも同じ話があって。 著作権法第八十条 出版権者は…頒布の目的をもって…文書又は図画として複製する権利を専有する 頒布(=実体のあるモノの配布)に限られてるので、電子出版(=公衆送信)には適用されない。 なので、新しく電子出版権を設けることになった。 @biac_ac

2013-09-15 11:45:55

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ベトナムの著作権法

[2013/12/29追記]
TPP12ヶ国のうち、親告罪制度を持つのは日本だけだと思っていましたが、不勉強でした。11月のリークで、ベトナムも非親告罪化に反対しているという話が出てきたので、調べてみました。

Ryutaro Nakagawa @NakagawaRyutaro

何とwikileaksが11/19からの #TPP 次回交渉@ユタ(主席交渉官レベル)での知財分野の交渉案をリーク。真偽不明だが必見か。|Secret Trans-Pacific Partnership Agreement (TPP) http://t.co/Dc1s3VlIhW

2013-11-14 01:07:54
Ryutaro Nakagawa @NakagawaRyutaro

#TPP のリーク文書。非親告罪化自体に反対なのは日本とベトナムのみで他の10ヶ国は賛成と残念ながら不利な情勢(7項(h))。しかし、「商業的規模」の細かい部分ではまだ戦いようがありそうか(2項)。 http://t.co/7NrP6pQ45N

2013-11-14 01:51:20
福井健策 FUKUI, Kensaku @fukuikensaku

他方、非親告罪化は、極めて導入可能性が高まっている。反対の日本が味方を増やせるか。RT @NakagawaRyutaro: #TPP のリーク文書。非親告罪化自体に反対なのは日本とベトナムのみ(7項(h))。しかし、「商業的規模」.. http://t.co/iehuh52pEc

2013-11-14 08:46:03

ベトナムにおける知的財産権のエンフォースメント措置(民事措置・刑事措置)について
http://www.globalipdb.jpo.go.jp/judgment/4265/

模倣対策マニュアル ベトナム編(2012年3月、日本貿易振興機構)第I章第4節4、5
http://www.globalipdb.jpo.go.jp/jpowp/wp-content/uploads/2013/09/39e39b52ec6b06bca9778fa38c09e4da.pdf

[p.48]
「刑事訴訟法(Code on Penal Proceedings)の規定によれば、著作権侵害罪(刑法第131 条)および産業財産権侵害罪(刑法第171 条)は被害者の申立がなければ起訴されない。」

上記のように、ベトナムでは著作権侵害は親告罪。
被害者の申立がなくても警察が動けるのは、日本と同様↓。

[p.49]
「知的財産権者の請求は、知的財産権侵害行為に対して刑事手続きを開始するための必要条件ではない。
現実に、知的財産権者は当局から支援や協力を求められることが多い。」

ただし、著作権侵害なら見境なく刑事罰対象となる日本とは違って、ベトナムでの刑事罰対象は限定されています。

[p.49]
「第131条には、
以下のいずれかの行為を行ったことにより重大または有害な影響を及ぼした者、
 または
第131条に規定されている行為のいずれか一つを行ったことに対して行政上の制裁措置を受けたことがある者、
 または
かかる犯罪の有罪判決を受け、犯罪歴抹消の権利を得ないうちに違反を繰り返した者
は、刑事罰で処罰される旨が規定されている。
・ 他人の著作権の盗用
・ 著者名の不正利用
・ 保護されている著作物の内容の違法な改変
・ 他人の著作物の違法な公表または頒布」

…すなわち、
行為の影響が軽微で、
行政上の制裁措置を受けたことがなく、
同様な犯罪の有罪判決を受けたことがない
のであれば、刑事罰の対象にならない。

[p.49]
「第 170a 条は、
著作権または著作隣接権の所有権者の同意なく、
商業規模で
著作物、レコードまたは、録画の複製を行いまたは著作物、レコード、ビデオ録画の公衆への配布を行った者は刑事責任を負うと規定している。」

…すなわち、
商業規模でなければ、コピーすることやコピーしたものの配布は、刑事罰の対象にならない。