岸田秀botまとめ/「ストックホルム症候群」と「精神分裂病」の発病のメカニズムとは?

岸田秀著『日本がアメリカを赦す日』/第三章ストックホルム症候群/精神分裂/64頁以降より抜粋引用
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岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

①この様なストックホルム症候群も…ある程の危機的状況におかれた人間に発生すると考えられます。その状況とは…不本意な事をしなければ生きのびられないという状況です。自尊心とか主義信念とか節操とかを守っていれば殺される、それを捨てれば生きられるという状況です<『日本がアメリカを赦す日』

2013-08-07 08:46:30
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

②それが軽い程度のものであれば、適当にあしらっていれば済むかもしれませんが、そうもゆかないときがあります。 生きるか死ぬかの重大な危機に直面すると、人間は、往々にして自己欺瞞に逃げ込みます。

2013-08-07 09:46:20
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

③精神分裂病というものはまだよく判っておらず、その原因については色々な説がありますが、幼児期の親子関係に原因があるとする説もあります。

2013-08-07 10:46:35
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

④幼児が、自分を愛してくれず、理解してもくれないで、勝手な要求を押しつけてくる親に育てられているとします。 幼児は、その要求に従いたくはないのですが、従わないと見捨てられる危険があります。 従っている限りは、親は一応、世話し保護してくれます。

2013-08-07 11:46:21
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

⑤こういう場合、親の要求はあくまで自分の意に反し、自分の内なる欲望、言わば内的自己と矛盾するものではあるが、親…には従わざるを得ないと判断し、親の要求と内的自己とが矛盾対立している事実を明確に認識したまま…不本意ながら親の要求に従うという事ができる為には…強靭な精神力が必要です。

2013-08-07 12:46:33
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

⑥そのような強靭な精神力をもっている幼児はまずいません。 幼児は、その緊張と葛藤と不安に耐えられず、親の要求と対立する自分の欲望を捨てようとします。 内的自己の存在を否認し、抑圧します。 そして、親の要求こそが自分の欲望であると思い込みます。 自己欺瞞するわけです。

2013-08-07 13:46:25
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

⑦親の要求に合わせた自分、それが外的自己です。 表面的には親と自分との対立は見えなくなります。 幼児はそのようにしてつくりあげた偽りの安定感に縋って何年か十何年かを過ごします。 しかし親の要求と対立する為に抑圧された内的自己は、勿論消滅する訳ではなく、無意識の中で存続します。

2013-08-07 14:46:29
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

⑧無意識のなかに閉じ込められたということは、すなわち外の世界、現実の世界から切り離されたということであり、そのため、そのまま無傷で健全な形では維持され得ず、無意識的なさまざまな空想と結びついたりして、いろいろと形を変え、歪み、言ってみれば妄想的になってきます。

2013-08-07 15:46:22
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

⑨あるとき、たいていは青年期ですが、それまで抑圧されていた内的自己が、ついに限界点に達し、抑圧の壁を破って噴き出してきます。

2013-08-07 16:46:49
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

⑩この噴き出してきた内的自己は、親をはじめとする周りの人たちの期待に反するもので、かつ、妄想的になっていますから、本人としては、長年がまんして抑えてきた本当の自分をついに表現して解放された気分ですが、周りの人たちには発狂したと見られるわけです。

2013-08-07 17:46:26
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

⑪これが精神分裂病の発病のメカニズムとされています。 ストックホルム症候群は、精神分裂病のように本人の幼児期や親子関係に関係づけられてはいませんが、それが発生する状況は同じようなものです。

2013-08-07 18:46:28
岸田秀bot(政治・歴史編) @kishidasyu_bot

⑫同じ現象を、精神分裂病と見る見方は、抑圧されていた内的自己が外的自己を突き破って噴出する時期に重点をおいており、ストックホルム症候群と見る見方は、外的自己が形成されて内的自己が抑圧される時期に重点をおいているという違いがあるに過ぎないと言えます。

2013-08-07 19:46:26