- Eric_Ridel
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凱風館日乗、AERAの原稿をばたばたと送稿。お盆でお休み気分なのに、どうしても「はっと気がつくと」仕事をしているウチダです。寝転んでフィリップ・K・ディックの『高い城の男』を読む。中学生のときにこれにインスパイアされて松下正己が『蝗身重く横たわる』を書いたのでした。
2013-08-14 18:10:36少なからぬアメリカの作家たちは自国が戦争に負けてドイツと日本がアメリカを占領したときに「どんな世界が到来するか」について奔放な空想をめぐらせましたが、日本がアメリカを占領したときにどういう政体を作り、どう支配したのかを想像した作家を僕は一人も知りません。
2013-08-14 18:13:31自分の国が戦争に負けた場合のシミュレーションを厭わない、むしろそれを細密に想像できる能力を高く評価するというのはたぶんアメリカ文化のもっとも良質な部分なのだろうと思います。同じことは原発事故や飛行機事故についても繰り返しやっているはずです。
2013-08-14 18:16:13翻って日本では、例えば飛行機がハイジャックされたときにどうやって生き延びるかといったタイプの「パニック映画」はまず作られることがありません。航空会社や空港のセキュリティチェックに配慮しているのでしょう。だから、あらゆる危機は日本では「想定外」のものになる。
2013-08-14 18:20:25津波で原発が電源喪失して、メルトダウンが起きた・・・という映画を企画した人はたぶんいたはずです。でも、誰もそんな映画に金を出さなかった。事故をどう防ぐか、起きたらどう制御するかについて考えることを組織的に忌避してきた。だから、事故が起きた。僕はそう思います。
2013-08-14 18:23:50戦争指導部は対米戦争を始めたときに「負けたとき」のことはおろか「勝った場合にアメリカをどう支配するか」についてさえ何も考えていなかった。参謀本部は「アメリカ占領要綱」を起草していたはずですけれど、それが「菊と刀」のように70年後もリーダブルであるという可能性を僕はゼロ査定します。
2013-08-14 18:28:35少なからぬアメリカの作家たちは自国が戦争に負けてドイツと日本がアメリカを占領したときに「どんな世界が到来するか」について奔放な空想をめぐらせましたが、日本がアメリカを占領したときにどういう政体を作り、どう支配したのかを想像した日本の作家を僕は一人も知りません。
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