恋愛体質の恋愛履歴 【clum】

早坂一頼/独白/ 46 tweets 早坂が自分の「恋愛体質」っぷりを語る話。 前回書いた http://togetter.com/li/2929 よりも詳しく。
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clum @clum_memo

んた “恋愛体質” なんじゃないの⁉ そんな縦続けに人を好きになれるなんて、私には信っじらんない! 空き時間を潰すために友人と入ったドーナツ屋で、隣のテーブルの女子学生の声に、僕は身を固くする。自分のことを言われた気がして。やっぱり僕は、そう、なのだろうか。 #twnovel

2010-02-04 00:33:48
clum @clum_memo

野瀬や先輩からも常日ごろ指摘されているように、僕は未練がましい。中学時代に初めて付き合った彼女を忘れられないせいだ。でも、別にそれ以外の恋をしていないわけじゃない。人には、言わないけれど。僕は、惚れっぽい。僕は、恋に陥りやすい。自分でも恥ずかしくなるほどに。 #twnovel

2010-02-04 00:35:00
clum @clum_memo

恋はそんなに早くない。小学5年生のとき、同じクラスの女の子に初めて恋を感じた。頭のいいしっかりした子で、彼女の話す言葉は人を動かす力を持っていた。一緒の係になって、仕事をするのが楽しかった。僕を含めた何人かの男子が彼女を好きで。憧れに限りなく近い恋だった。 #twnovel

2010-02-04 22:15:45
clum @clum_memo

想いを告げるなんて思いもつかないまま月日が過ぎた。その子が僕とは別の中学を受験をすると知ったときも、動揺すらしなかった。ただ、卒業式のとき。最後の会話を交わしていたとき。楽しくて、後悔した。もし、好きだと告げていたら。僕らは今、何を語り合えたのだろうか、と。 #twnovel

2010-02-04 22:37:16
clum @clum_memo

度目の恋は一目惚れに近かった。彼女と逢った瞬間、僕は頭に大きな衝撃を受けた。いや、正確にはまだ逢ってなかった。彼女を見たのは、僕が担ぎ込まれた保健室が最初だ。僕の頭にボールが命中したことを、ただひたすらに謝る彼女。涙さえ隠さずに。僕は、彼女_ 立夏に恋をした。 #twnovel

2010-02-06 02:59:26
clum @clum_memo

僕が立夏を忘れられないのは、付き合ったから、だ。好きな相手と望むときに会えて、手を伸ばせばその手や腕に触れられる。心にも触れられる。それが付き合うってことなんだと、立夏に教えられた。憧れで終わらない、生身の恋を教えてくれた。僕に、恋を教えてくれた。それが立夏だ。 #twnovel

2010-02-06 03:01:55
clum @clum_memo

2の夏、クラスの女の子を好きになった。元気でやさしくて素直な子。その子が抱えているものを知ったとき、友情が淡い恋に変わった。小さな体で必死に耐え続けるその子の、力になりたいと思った。付き合っている立夏以外に、そんな感情を抱いたことそのものが、後ろめたかった。 #twnovel

2010-02-07 00:13:55
clum @clum_memo

立夏と付き合って1年と少しが経った、中2の秋。立夏といることに、僕は少し疲れていた。立夏が大切なことに変わりはないのに。立夏といて楽しいことに変わりはないのに。付き合い始めと変わらないふたりの進度が、僕を疲弊させる。立夏は、僕を、「恋人」だとは思っていない。 #twnovel

2010-02-07 00:36:17
clum @clum_memo

その秋、立夏とキスをした。最初で最後になったキス。僕のファーストキス。くちびるが、触れたか触れてないかの微かな接触。立夏の怯えた目が、僕の喜びを一瞬で奪う。そして、その日から僕は避けられるようになった。気持ちが、立夏への想いが、一気に冷え込んでいくのを感じた。 #twnovel

2010-02-07 01:48:38
clum @clum_memo

より一つ上の、立夏の卒業が近付いたある冬の日。帰り道に寄った小さな公園で、僕は立夏に今の関係を終わらせたいと話した。好きな子がほかにできたことを話した。立夏への気持ちの変化は、上手く説明できなかったので話さなかった。立夏は僕を責めて罵って、ひどく泣いた。 #twnovel

2010-02-10 05:03:19
clum @clum_memo

僕は、立夏と一緒にいろんなことをしたかった。だから、たくさんデートをした。映画館、遊園地、動物園、水族館。カラオケ、ボウリングに喫茶店。ふたりでできる、全てのことを。彼氏彼女なんだから、手だって繋ぎたくなったし、キスだってしたくなった。できれば、その先も。 #twnovel

2010-02-10 05:09:38
clum @clum_memo

僕らが別れたのは、本当は、僕が他の子を好きになったからでも、二度目のキスを拒まれたからでもない。もうどうしようもないところまで来ていたからだ。求めているものが違う。僕と、立夏とでは。それを、感じてしまった。だから終わった。まるで、寿命が尽きるみたいに。 #twnovel

2010-02-10 05:16:15
clum @clum_memo

立夏と別れてからの一年間。僕の世界は真っ暗だった。好きになったクラスの子とは何もない友達のまま。初めての失恋に、新しい恋をする余裕も気力も奪われていた。身体の中に大きな穴が空いたまま、立夏との楽しかった日々を反芻していた。壊れたビデオテープみたいに。何度も。 #twnovel

2010-02-11 21:53:05
clum @clum_memo

校に入って落ち着いた頃、図書委員の子を好きになった。僕の知らない本をたくさん勧めてくれた。僕には思いもつかない視点で物事を考えている人だった。尊敬していた。だから、彼女の恋の相談にものった。だから、告白なんてできなかった。だけど…求められて応えた。一度だけ。 #twnovel

2010-02-12 01:58:48
clum @clum_memo

それは、付き合っていたとも言えるし、付き合ってなかったとも言える関係で。告白の言葉もなく、お互いに誰にも話さない関係だった。彼女が失恋を振り切るために僕を利用したように、母を病気で亡くしたばかりの僕も彼女を利用した。だからそんな関係は、すぐに終わりを迎えた。 #twnovel

2010-02-12 02:38:09
clum @clum_memo

校3年生の時、後輩の子に請われて勉強を教えたことがある。寄り添って教えるうちに、一生懸命なその子のことを好きになった。その子は、自分の夢を叶えるまでは恋愛なんてしたくないと周囲に宣言していた。当然好きだなんて言えなかった。ただ彼女の応援ができればいいと思った。 #twnovel

2010-02-12 21:13:04
clum @clum_memo

学に入ると、折館先輩と外で遊ぶことが増えた。必然的に先輩の彼女も一緒のことが多くて…。 僕は、先輩の彼女である、岡本玲さんのことを、好きになった。 #twnovel

2010-02-13 00:17:18
clum @clum_memo

悪い癖だ。こんな風に女の子との距離が近付くと、すぐに恋に落ちてしまう。それが例え、尊敬する先輩の大事な彼女であっても。岡本先輩に、僕が惹かれない理由なんてなかった。いけないと思えば思うほど惹かれていった。折館先輩より、岡本先輩と会うことが楽しみになっていった。 #twnovel

2010-02-17 01:19:58
clum @clum_memo

館先輩の部屋の台所で、一緒にご飯を作った。折館先輩の車で、一緒に海を見に行った。僕の部屋で、一緒に DVD 鑑賞会をした。三人で過ごす思い出が増えるたび、岡本先輩を好きな気持ちが大きくなっていく。この人のまとう、空気が好きだ。やさしくて、広くて、あたたかい。 #twnovel

2010-02-17 01:27:53
clum @clum_memo

岡本先輩と僕は同じ大学の同じ学部に所属しているから、構内で会うことが多い。空き時間や昼休みをいっしょに過ごすこともあった。友達にうらやましがられて、優越感に浸る。だけど、当然それより大きな罪悪感にも囚われる。こんな僕を、折館先輩が知ったらどう思うのだろう。 #twnovel

2010-02-17 18:18:38
clum @clum_memo

館先輩は嫉妬深い。そう言ったのは野瀬だった。「だってさー、この前一緒にラーメン屋行ったじゃん? カウンターで岡本先輩の隣に座ろうとしたらにらまれたよ? オレ。男の嫉妬ってこえーよなー」いや、それは壁際に追い詰めるような形でにじり寄りながら座った野瀬が悪いよ…。 #twnovel

2010-02-17 19:56:33
clum @clum_memo

館は玲を独占したがる。そう言ったのは、岡本先輩のお兄さんの樹さんだった。「もうね、独占欲強いよー、あいつは。オレ達がふたりで出かけようとしたら必ずついてくるもん」それは…「オレと玲がふたりきりになると異様に心配するしさー」何か違うところに理由がある気がします。 #twnovel

2010-02-17 20:00:55
clum @clum_memo

他の人の意見は、それはそれとして、折館先輩が僕を信用してくれてることはわかる。そして、何よりも岡本先輩のことを信用してる。だから、ふたりでいるときに僕を誘ってくれる。僕はその信頼を裏切ることはできない。この気持ちを、絶対に口にはしないと、僕は決めていた。 #twnovel

2010-02-17 20:27:46
clum @clum_memo

そう、決めていたんだ。信頼を裏切らないために。大事な人たちを傷つけないために。 僕は、この想いを口にはしないと決めていた。 それなのに。 #twnovel

2010-02-18 22:31:36
clum @clum_memo

が1年生の秋。大学生の長い夏休みの終盤。折館先輩の部屋の中、ソファで眠る岡本先輩とふたりきりになった。部屋の主はタバコを買いに行って、しばらくは戻らない。顔にかかる長い髪が気になって。迷った末に、そっと手ですくう。無警戒なその寝顔に、僕の手が止まる。 #twnovel

2010-02-18 22:32:03