ぼくは子供の頃から今までずっと先生や先輩にこっぴどく叱られて、その場では泣いたり嫌な気持ちになるのだが、「まあ、仕方がない。確かにこの人の言うとおりだ」と思った体験が結構多くある。そして、それはとても大切なことで、今でもぼくの財産であったりする。
2013-08-19 03:29:27学校のクラスの中では確実に怒られる回数が多い子どもであった。しょっちゅう問題行動を起こしていたのかもしれないし、先生からみて怒りやすいタイプだったのかもしれない。多分、両方だろう。
2013-08-19 03:34:05子供の頃も大人になってからも叱られる回数が多かった分、「叱られソムリエ」を名乗れるほどに様々な叱られ方をしてきた。たくさん叱られていると、同じ叱るにしても色々と種類があることがわかる。
2013-08-19 03:38:49しかし、叱る側がぼくのためにわざわざエネルギーを割き、こちらから嫌われるリスクを引き受けて叱るとき、その背後にある善意、ぼくのために叱っている、ということが意識されないレベルで伝わってくる。それでも叱られるのは嫌なものなのだが、そんなときは不思議とあとをひかない。
2013-08-19 03:44:52相手が純粋に自分のためにコストをかけ、リスクを引き受けて、わざわざ叱るという行為をしてくれるという体験を多く持っていると、プラネテスのフィーのような上司は素晴らしい存在であると感じられる。フィーがハチマキや愛を叱るとき、そこには「相手のために叱る」という覚悟がある。
2013-08-19 03:51:06実際、自分が叱る側に回ってみると叱るというのはなかなか大変なことだ。相手のために叱るからには、相手に正しく伝わるように叱るところまで責任を引き受ける覚悟が必要になるからだ。目の前の相手と正面切って衝突をすることもある。嫌われる可能性もある。まあだいたいいいことがない。
2013-08-19 03:54:42また自分の叱るという行為が、自分の気持ちをスッキリさせたり、自分の利益を単に増やすためであったり、自分の体面を保つためになっていないことをチェックし続けないといけない。これが難しいし怖い。
2013-08-19 03:58:37相手のために叱っていると思っていても、あとで振り返ってみると単に自分のために叱っていたということが多いのだ。そして、そういう叱り方は相手にとっても自分にとっても必ずマイナスになる。こんなリスクを背負うぐらいであれば、いっそ叱らないで放っておいたほうが短期的には楽なのだ。
2013-08-19 03:59:45初めて後輩を持って指導するハチマキは叱り初心者だ。ハチマキはしばしば自分の体面、自分の気分のために愛を怒鳴りつけ、嫌味を言ってしまう。吐き捨てるように言いたいことだけ言い、逃げてしまう。叱る覚悟が持てない。
2013-08-19 04:18:47一方、フィーは叱る内容も叱るタイミングも概ね適切だ。叱り方は、時にはかなりキレてて怖いけど。叱るときに決して腰が引けていない。腰が引けた状態で叱っても逆効果になることを身体が知っている叱り上級者だ。そのへんの描かれ方もプラネテスは見事だと思う。
2013-08-19 04:23:07