茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1012回「炎上と、バブル」
- toshihiro36
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連続ツイート第1012回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、さっき、自作のカフェオレを飲みながら考えていたこと。
2013-08-22 06:43:58えば(1)相変わらず、ツイッターは「炎上」が続いている。バイト店員の若者がおふざけ写真を撮ってツイートするネタがいくつか続いたと思ったら、昨日は某書店の景品偽装の件について、告発社員の解雇をめぐる炎上。炎上に接する度に思うことは、それが、一つの「学習」プロセスだということだ。
2013-08-22 06:45:34えば(2)何かが炎上する際の必要条件の一つは、それが「目新しい」ということである。私自身が経験した最大の炎上は、フジテレビの韓流ドラマ騒動の時だったが、あの頃、韓流ブームの中で、韓国の文化ばかり入れるのはよくない、という視点自体が、目新しかった。だから、炎上した。
2013-08-22 06:47:07えば(3)新大久保におけるヘイトスピーチも、そのようなことをやる人がいる、という事実自体が目新しかった。だから、炎上した。しかし、今ではそういう人たちがいるということがもう世界観として「折り込み」済みになってしまったので、それほど炎上しなくなってきている。
2013-08-22 06:47:59えば(4)炎上と似たような時間経過を辿るのが、「バブル」である。古典的なオランダにおけるチューリップ・バブルでは、チューリップの球根一個が家一軒の値段といっしょになり、それを知らずにイギリス人の船員がタマネギと間違えて食べて、騒動になったこともあると聞く。
2013-08-22 06:49:04えば(5)花の球根が、その品種によっては希少価値がある、という考え方自体が目新しかったから、人々の熱狂を呼び、そこに社会的資源が集中してバブルとなった。その考え方に慣れてしまえば、さほどのことでもなく、バブルが終息する。不動産バブル、インターネットバブルも同じ構造である。
2013-08-22 06:50:18えば(6)脳の神経活動を見ても、実質的な学習が起こるときには、炎上/バブルが現れる。一瞬にしてあることに気づく一発学習の際には、100ミリ秒程度の同期活動が起こる。特定の神経細胞が、バブルと同じ時間経過で起こり、消える。そのことによって、シナプス結合の変化が起こる。
2013-08-22 06:51:40えば(7)つまり、炎上/バブルは、そのプロセスを通して、人々が新しい世界観、価値観に接触して学習するきっかけなのであり、永続するものではない。また、炎上/バブルというと、あだ花というイメージもあるが、実際には、学習が進む貴重な機会だととらえるべきなのである。
2013-08-22 06:53:01えば(8)このような視点から、最近のネットの「右傾化」を見ると、それは一つの「炎上/バブル」だと評価できる。戦後、日本は、国益だとか、愛国心だとか、そのような概念に疎かった。だから、国益を考えるとか、愛国だとか、そういう考え方自体が新鮮で、バブルを引き起こしやすい状況にあった。
2013-08-22 06:54:17えば(9)もちろん、国を愛するとか、国益だとか、そういう考え方はある程度定着して行くだろうが、直近のような熱狂は去るだろう。若者たちが、自分の生き方を探る中で「ネトウヨ」に行く、というのも、一つの学習プロセスであった。生命は強靱であり、全ての炎上/バブルは吸収され、暗黙知となる。
2013-08-22 06:55:38