シリア内戦と化学兵器に関する内藤正典氏(同志社大大学院教授)の推論

「現段階(2013.08/23)での推論」とした上で。 内藤正典氏@masanorinaitoについては以下を参照。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E8%97%A4%E6%AD%A3%E5%85%B8 http://global-studies.doshisha.ac.jp/teach/teach1_g_naito.html
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masanorinaito @masanorinaito

シリアの化学兵器攻撃について、アサド政権側か、反体制側の自作自演か、の議論は国際社会でも続いている。少し論理的に整理してみる。 1.アサド政権側の攻撃だとした場合:アサド政権はここで自ら「最後の一線」を超える理由があるか?

2013-08-23 17:09:41
masanorinaito @masanorinaito

答: 「ある」の場合1→政権というより、軍部が強硬な策に出た。政策の問題ではなく「先軍政治」であることを示した。北朝鮮との緊密な関係を基にすれば、このような示唆を受けている可能性は否定できず

2013-08-23 17:13:46
masanorinaito @masanorinaito

「ある」の場合2→アサド政権が、強硬策によって国際社会で「ならず者」のレッテルを張られてもなお、反体制派弾圧の姿勢を崩さないことで、反体制派を支援するサウジやトルコに対して、反体制派への支援を続けることを「嫌気」させる効果をもたらす

2013-08-23 17:15:44
masanorinaito @masanorinaito

答 「ない」の場合1(アサド政権がここで一線を越える理由はない。従って、反体制派の自作自演の可能性がある、ということ)→国際社会をアサド政権への軍事介入に導くための作戦

2013-08-23 17:20:19
masanorinaito @masanorinaito

「ない」の場合2→ピンポイントでダマスカス近郊の村をミサイルで攻撃できるのか?戦闘機からの攻撃だとすると、1分もたたずに首都ダマスカスに達してしまう。そんなリスクの高いところで航空機から毒ガスミサイルを発射するだろうか。用意されていた毒ガスを地上で散布したと考える方が妥当。

2013-08-23 17:25:18
masanorinaito @masanorinaito

2.国際社会との関係で化学兵器による攻撃は合理性があるか? これは、様々な陰謀説と絡むが、双方にとって合理性はない。その理由は 1.アサド政権側によるものとした場合:支援するロシア、イラン、中国、北朝鮮にとってリスクが高い。証拠が出てしまうと激しい非難を浴びる。

2013-08-23 17:28:42
masanorinaito @masanorinaito

2.反体制側の自作自演とした場合:リスクが高すぎる。第一に、世界のムスリムから激しい非難を浴び、反体制派がイスラームとは無縁であることを印象付ける。反体制側を支援するトルコ、サウジなどが「世俗派のアサド(アラウィ派)vs.スンナ派」の対立構造をもとに反体制側を支援しているのに

2013-08-23 17:32:05
masanorinaito @masanorinaito

(承前)支援国の顔に泥を塗るようなもの。それに、反体制派には、ヌスラ戦線のようにイスラーム主義に立つ勢力があり、彼らは、もし反体制派が「子どもや女性を犠牲にする」暴挙に出たら、矛先をそちらに向ける。「反体制派」はスンナ派を装っているが世俗勢力でまとまりのない自由シリア軍である

2013-08-23 17:34:46
masanorinaito @masanorinaito

注意すべきは、過激派のヌスラ戦線(アル・カイダの一翼)は、このような化学兵器による攻撃はしないということ。彼らが過激な武装集団であることと、化学兵器による子どもと女性への無差別殺戮は別の話である。信仰心をもった勢力は、傍からみて「過激」でも、できることとできないことを峻別する

2013-08-23 17:38:24
masanorinaito @masanorinaito

従って、誰があの暴虐をもたらしたか、といえば、およそ子どもや女性を無差別に殺戮することに躊躇しない「世俗的な」勢力であることは確か。つまり、アサド政権(政府軍)、反体制派の自由シリア軍(ヌスラのような宗教勢力を除く呉越同舟の武装勢力)の双方とも可能性はある。

2013-08-23 17:40:50
masanorinaito @masanorinaito

アメリカとの関係でいえば:イスラエルにとってどの程度の脅威かによって、とる行動が異なる。イスラエルは、化学兵器攻撃が、自国に向かうことを警戒している。アサド政権であろうがなかろうが、攻撃されれば、シリアを壊滅させる攻撃に出る。この軍事行動には、アメリカの承認も支援も必要としない。

2013-08-23 17:43:21
masanorinaito @masanorinaito

アメリカがシリアに対して軍事介入するには、イスラエルに対する脅威が高まっている必要がある。それを受けて在米ユダヤロビーが「攻撃してくれ」と要請し、世論を操作すれば、可能性はある。しかし、現状ではイスラエルが単独で行動できるレベル。

2013-08-23 17:46:59
masanorinaito @masanorinaito

トルコ政府は激しくアサド政権を非難しているが、現状では国軍を送りこんで軍事行動にでる状況にはない。すでにシビリアンコントロールに置かれているトルコ国軍は、トルコ議会が「自国の安全保障にとってシリアが脅威である」ことを認定し、全権を政府に移譲する決議を通過させ、政府が国軍に出撃を

2013-08-23 17:49:13
masanorinaito @masanorinaito

要請するという手順をふまないと動けなくなっている。自国への脅威がないと、トルコ国軍を他国への攻撃に向かわせることはできない。今回の攻撃は首都ダマスカス近郊であり、トルコにとっての脅威というには遠すぎる。第二の都市アレッポで化学兵器による攻撃が大規模に起きれば、可能性はある。

2013-08-23 17:50:55
masanorinaito @masanorinaito

現段階での推論 化学兵器による攻撃は、アサド政権側によるものだが、政権側はそれを反体制派の自作自演によるものと再演出することをふくめて周到に用意したうえで攻撃を実行した。

2013-08-23 17:52:29
masanorinaito @masanorinaito

現段階での推論 化学兵器による攻撃は、アサド政権側によるものだが、政権側はそれを反体制派の自作自演によるものと再演出することをふくめて周到に用意したうえで攻撃を実行した。

2013-08-23 17:52:29
masanorinaito @masanorinaito

最後は、真相は闇の中、ということにして恐怖だけを増幅させるのがアサド政権側にとって最大のメリット。政権側は「反体制派による自作自演」の証拠をあらかじめ十分に用意して国連調査団に示す。反体制派に、これを緻密に計画し実行するだけの強固な組織と指揮命令系統はないというのが私の見解

2013-08-23 18:00:39
masanorinaito @masanorinaito

ところで、今日のアル・ジャジーラのメインニュースは、シリアの化学兵器攻撃、エジプトのムバラク釈放、ボウシーライの裁判、そして福島の汚染水大量流出

2013-08-23 18:03:04
masanorinaito @masanorinaito

オバマは「一線を越えた」と非難するも、シリアへの軍事攻撃については言及せず。それに言及しているのは共和党のマケイン。

2013-08-23 18:04:06

  付録/異なった立場から

Gryphon(INVISIBLE暫定的再起動 m-dojo) @gryphonjapan

togetter用資料 シリア政府の化学兵器不使用説の立場から「中東TODAY」。 NO・2926 『馬鹿げているシリア政府毒ガス兵器使用というニュース』 http://t.co/hfWtNCn7ps

2013-08-23 18:55:03