『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』(集英社文庫)刊行記念 千早茜・榎本正樹 往復書簡ツイート

千早茜『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』(集英社文庫)刊行記念の往復書簡ツイートのまとめです。
0
千早茜 @chihacenti

「おとぎのかけら」解説は榎本正樹さん。緻密で構造的な読みが大好きで、是非是非!とお願いしてしまいました。つむぎあげたものを解かれる、という快感を解説で味わえました。文庫用に作った篆刻印は「眼」。童話を一人称で語ることにこだわったからです。知り合いで欲しい方がいたら連絡下さいな。

2013-08-20 20:11:02
千早茜 @chihacenti

「おとぎのかけら」あとがきにも書きましたが、本作はかなり実験的に作った短編集です。そこで文庫発売にあたって榎本正樹さん(@enmt)と明日ツイッター対談をしようと思っています。時間はおって呟きます。読むラジオのような感覚で流していくつもりなので興味あられる方は覗いてやって下さい。

2013-08-20 20:20:31
千早茜 @chihacenti

明日から一日一往復を基本として榎本正樹さんとツイート対談を行います。「おとぎのかけら」と標題がついているツイートになります。基本的には夜に呟くと思います。どうぞよろしくお願いします。

2013-08-20 21:48:58
千早茜 @chihacenti

「おとぎのかけら 新釈西洋童話集」の文庫発売日です(未確認なので多分)!今夜から榎本正樹さんと本作についてツイッター上で語ります。基本は一日一往復なので、対談というよりはツイッター往復書簡ですね。今日は十時過ぎから呟く予定です。まずは創作秘話的なことと榎本解説について。

2013-08-21 18:01:45
千早茜 @chihacenti

@なしで「おとぎのかけら」と題をつけ、それぞれ呟きますので、読んでくださる方は榎本正樹さん(@enmt)もフォローしていただけるとありがたいです。逆もまた然りです。榎本さん、よろしくお願いします!

2013-08-21 18:04:41
千早茜 @chihacenti

「おとぎのかけら 新釈西洋童話集」榎本正樹さん(@enmt)との往復書簡ツイートはじめます~。

2013-08-21 22:10:57
千早茜 @chihacenti

[おとぎのかけら1-1] 本作はデビュー作「魚神」の次に刊行した本で、西洋童話を現代におきかえた短編集です。「魚神」は良くも悪くも趣味全開で書いたもので、次作は自分に負荷をかけようと決めていました。作品をつくる時はいつもテーマを決めます。本作は「見たくないものに向き合う」でした。

2013-08-21 22:13:13
千早茜 @chihacenti

[おとぎのかけら1-2] 詳しくは「あとがき」に書いていますが、徹底するために元となる童話は書く直前に編集さんに指定してもらい、自分が好きなものばかりを選んでしまうことを避けました。二か月毎の連載でしたが、原典を調べるところからはじまるので、なかなかにしんどいものでした。

2013-08-21 22:16:04
千早茜 @chihacenti

[おとぎのかけら1-3] 物語を作る時、私は心の中のざわめくものや尖ったもの、柔らかいものといった感情を曖昧なかたちのままストーリーに落とし込んで描こうとします。描かれたそれに何という名をつけ、どんな印象を持つかは読み手の自由だと思っています。全てを言葉で表すことは到底できない。

2013-08-21 22:18:49
千早茜 @chihacenti

[おとぎのかけら1-4] もちろん表そうという努力を怠ってはいけないけれど、伝えるには言葉で書かれていないところも大切になります。だから曖昧さは残します。今年の初め「桜の首飾り」で榎本正樹さんにお会いしました。鋭い分析力にたじたじとし、私とは全く違った言葉を使う人だと感じました。

2013-08-21 22:22:20
千早茜 @chihacenti

[おとぎのかけら1-5] 解説をお願いしたのは構造的な読み方をする榎本さんが、アレンジされた童話をどのように読み説くか見たかったからです。榎本さんは私が構築した物語世界をばらばらに分解し、ひとつひとつ明確な言葉に置き換えました。すると私自身も気付かなかったことが立ち現われてきた。

2013-08-21 22:25:20
千早茜 @chihacenti

[おとぎのかけら1-6] 解説されることによって、作者自身が自作を読み直すことが可能になったのです。これは私にとって、もう一度自分を見つめ直す機会に繋がりました。読者の方も解説を読んでから、もう一度本編を読むと新しい発見があると思います。違った視点に気付くことで二度楽しめます。

2013-08-21 22:28:17
千早茜 @chihacenti

[おとぎのかけら1-7] この作品は一人称にこだわって書きました。それは「人の数だけ見える世界は違う」ということを表したかったためで、榎本さんの解説がつくことにより確立した気がするほどです。榎本さんはいつもどのようなスタンスで物語を読んでいるのでしょうか?榎本さんお願いします。終

2013-08-21 22:31:47
千早茜 @chihacenti

「おとぎのかけら」往復書簡、榎本さんの返信は明日の午後以降になる模様。ゆるゆるやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。

2013-08-21 23:19:26
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-1] 今年の春、小説誌に連載しているインタビュー&レビューのコーナーの取材をさせていただくために京都を訪れ、初めて千早茜さんとお会いしました。通常、取材は東京とその近郊に限られますが、別件で京都を訪問する予定が入り、京都での取材が可能になりました。

2013-08-22 12:57:42
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-2] 僕の好きな京都で、京都の街をモデルに書かれた『桜の首飾り』について千早さんにお話を伺うことは、京都体験を含んだ文学的体験でした。京都に着いてまず、『桜の首飾り』所収短編のモデルになっている智積院を訪れました。ストーリー上重要な国宝の障壁画を見るためです。

2013-08-22 13:00:03
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-3] 作家さんにどのようなお話をお訊きすべきか、インタビュープロットを作成しながら構想するのが僕のやり方です。研究者的な、緻密な手順を踏んでいるという言い方もできますが、事前の下調べは、深いレベルのお話を伺うために必要なプロセスであると考えています。

2013-08-22 13:01:35
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-4] 印象批評を排することを自分に課しているので、インタビューの質問や解説の文章は自然と「分析的」になります。作品を一読者としてどのように読み、いかに解釈したか、可能な限り客観的なことばで語り、かつ書くように心がけています。

2013-08-22 13:05:48
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-5] それは千早さんが「1-7」のツイートで質問された、僕の物語の読み方にもつながります。物語=小説を読むときに留意するのは、「物語の構造」「人物の関係性」「語りの方法」の三つです。この中でも、「語りの方法」をもっとも重視しています。

2013-08-22 13:08:14
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-6] なぜなら、小説とは「どのような語り手を設定し、その語り手にいかに語らせるか」という仕掛けの先鋭化の表現にほからならない、と考えているからです。「物語内容」より「物語形式(表現)」が先行するのが、小説というメディアの特殊性ではないでしょうか。

2013-08-22 13:10:23
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-7] インタビューの場で、千早さんは手帳を開いて、僕の質問や、やりとりの中のキーワードをメモされていました。僕の作品解釈を、面白く受けとめていただいている印象がありました。インタビューが終わった後も、小説についていろいろと話をして、とても楽しかったです。

2013-08-22 13:11:35
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-8] その後、千早さんから『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』の文庫解説のオファーをいただきました。解説を書く側から言わせていただくと、作者本人から依頼を受けるのは、ちょっとした(というか、かなりの)プレッシャーです。特別な緊張感の中で原稿を執筆しました。

2013-08-22 13:13:38
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-9] ですから、解説で行った僕の作品の読み解きから、自作について新しい経験をしたという千早さんのツイートを読んで、嬉しく思いました。作者を嬉しがらせるために解説を書くわけではありませんが、「一読者」としてそのような感想をいただいたことが嬉しかったです。

2013-08-22 13:14:23
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-10] 千早さんは、「この作品は一人称にこだわって書きました。それは『人の数だけ見える世界は違う』ということを表したかった」とツイートされています。重要なポイントだと思いました。

2013-08-22 13:15:14
榎本正樹 @enmt

[おとぎのかけら2-11] 先ほどの小説の定義(のようなもの)に関連づければ、「どのような主人公を設定し、その主人公が眼前の世界をどのように認識し、その認識を一人称の語りにどのように落としこんでいくか」という問題設定が千早さんの中で行われていた、と考えることができそうです。

2013-08-22 13:15:57
1 ・・ 21 次へ