ジョンお姉さんの『かわいそうなりくぐん』

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

「かわいそうなぞう」という有名な話がある。太平洋戦争の戦局が悪化し、本土空襲が予想されるようになったころ、上野動物園の３頭のゾウをはじめとする動物が、空襲で檻が壊れて町中に逃げだして人に危害を加えるのを防止するため、殺される話。毒殺に失敗したゾウを餓死させるという悲しい話ですね。

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

あの話、テレビドラマとかで見ると、横暴な陸軍軍人が突然やってきて、あるいは突然一方的に通達のようなものを発して、「動物を殺せ」と命じ、躊躇する飼育員を初めとする動物を愛する皆さんを怒鳴りつけたり殴ったり、というイメージが確立していますね。（ ´Ｈ｀）y-~~

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

本土空襲が予想されるようになったころ、軍が「空襲の際に動物園の猛獣が町中に逃げ出して人を襲うと困る」という認識があったのは事実です。というか、本土空襲が予想される時に、市民の安全を守る立場としては当然と言えば当然の発想ですね。さて、そこで軍はどのような行動に出たでしょう？

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

ドラマやお話では、動物園に乗り込んでいって、いきなり命令。殴る蹴る、ですね。事実は、動物園を管理する自治体等に「空襲などの場合、猛獣が市街地に逃げだして人に危害を加えない処置をしてください」と要請しただけです。そもそも、軍には動物園に命令する何の法的権限もございません。

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

そこで、あちこちの自治体や動物園は色々な対策をとります。ライオンを空襲がない満州の動物園に譲渡する動物園もあり、これは戦局悪化のおりもあり、その輸送は軍の輸送船を使うなど、軍がライオンの輸送に便宜を図っています。

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

また、ある動物園では、鉄筋コンクリート製の頑丈な檻を造り、軍の担当者を呼んで「この檻が空襲で壊れる場合、中の動物は死にますから、空襲で猛獣が逃げ出す恐れはありません」と説明して、軍の担当者を納得させています。（ ´Ｈ｀）y-~~

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

問題の上野動物園はどうだったのでしょう。誰が「動物を殺せ」と言ったのか、といいますと。当時の東京市長。今で言えば東京都知事。軍に「猛獣殺しちゃいます」と報告しても、軍は「あ、そう」としか言いませんね。軍は「猛獣による被害が起きない処置」ができればその手段は問うていないのですから。

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

動物を殺す時には、処理が確実に行われているか確認するために、軍の担当者が立ち会ったと言いますが、これは担当者、業務の責任者として当然ですよね。ということで、「空襲で動物が逃げだして人を襲ったら困るから、なんとかしてよ」と言っただけの軍がいつの間にか悪者に。それも、なぜか陸軍ｗ

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

ということで、このお話で一番かわいそうなのは、みんなのためを思って仕事をして、動物を疎開させる手伝いとかまでしてあげていたのに、いつの間にか、動物をかわいがる人を殴りつけて強制的に殺させた悪役にされている陸軍。カワイソス。 実話をもとにしたお話『かわいそうなぐん』でした。

ジョンお姉さん @jpn1_rok0

このお話は、上野動物園の中にある、戦争中に殺された動物のお墓のそばの記念碑で読めます。（ ´Ｈ｀）y-~~