- IWJ_matome
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他の仕事に区切りをつけて、今、シリアので起きた虐殺(虐殺の事実まででっち上げとは今のところ考えにくい)事件の資料を読んでいる。体制側も反体制側も、お互いに化学兵器を使ったのは相手側だ、と非難している。しかし子供を含む千を超える犠牲者が出たのは、反体制側だ。
2013-08-26 03:49:39続き2 反体制側が行ったのだとすると、アサド大統領側が主張するように自作自演ということになる。あり得るだろうか? 子供まで犠牲にしてまで、そんな暴挙を行うだろうか? 普通に考えれば、まず考えにくい。
2013-08-26 03:55:54続き3 もっともこの内戦は、クルド人や外部からやってきたアルカイダら、三つ巴、四つ巴の混戦模様なので、反体制派組織「国民連合」以外の反体制派組織が実行し、アサド側に罪を転嫁することがまったくないとは言えない。本格的介入を目論む外国からの「挑発」的軍事行動の可能性もゼロではない。
2013-08-26 04:03:11続き4 言い換えるとそんな想定を捨てきれないところが、化学兵器の怖さでもある。オウム真理教のような一教団でもサリンを製造し、運搬し得た。ノウハウも材料も簡単に手に入り、金もかからない。同じ大量破壊兵器に数えられるとはいえ、核兵器とは比較にならない手軽さである。
2013-08-26 04:06:57続き5 現段階の情報では、化学兵器が使用されたとしたらシリア政府軍の可能性がもっとも高いが、小規模なテロ組織でも製造し、使用することができることは肝に命じる必要がある。また、「戦略的」な効果も微妙である。今回の事件について、もっとも強い非難声明を出したのはフランスである。
2013-08-26 04:19:50続き6 フランスのファビウス外相は、「シリア政府による化学兵器使用が確認されたら、武力で対応すべきだ」と語ったが、同時に「地上軍は派遣しない」とも。いうまでもなく、自軍の兵士に使用されるのを恐れてのことである。
2013-08-26 04:25:08続き7 地上軍を派遣しない、となるとやれることは空爆のみである。だが、核兵器ならば大規模施設であり、ピンポイント空爆も不可能ではないだろうが、サリンのような化学兵器は、どこにでも小分けにして分散できる。めったやたらな空爆によって破損、拡散したら、軍民区別なく被害者が出る。
2013-08-26 04:30:17続き8 シリアが支配地域全土に化学兵器を分散配置した、と宣言したら、たとえ国連で決議が出たとしても、誰が空爆できるだろうか? シリアのアサド体制は打倒すべき、と仮にしても、その支配下におかれている一般市民、とりわけ今回犠牲になった小さな子供を同じ目にあわせられるだろうか?
2013-08-26 04:34:23続き9 米中の反対は当然だが、米国もひるむだろう。だが、イスラエルはどう考えるか。シリア政府が今回、化学兵器を使ったのが間違いないとしたら、これまで指摘されてきた通り、シリアは化学兵器を大量保有し、しかもいざとなれば民間人に対してさえ、その使用をためらわない、ということになる。
2013-08-26 04:39:09続き10 イスラエルは戦慄したのではないか。弾頭に化学兵器を搭載したミサイルは、ニューヨークには届かないがエルサレムには届く。過激化しないように、シリア内戦の停止を求め、アサド派とも妥協の道を探るのか、それとも、だから言わんこっちゃないと、アサド討つべしとの持論を強めるのか。
2013-08-26 04:44:33続き12 ならばアサドを暗殺するとか、工作してクーデターを起こさせたらとか、そんな話も聞こえてくる。だがアサドさえ倒せばよいというものでもなく、少数派として差別されてきたアラウィー派への報復がないと約束されない限り、クーデターは起き得ないし、起きても繰り返しになりはしないか。
2013-08-26 05:18:45続き13 ここまで書いてきたのは、あくまで、入手可能な情報の限られる現時点での仮説の検討である。時が経てばもう少しシナリオが絞られるかもしれないし、あるいは一層混迷するかもしれない。
2013-08-26 05:22:43続き15 一番そうであって欲しくはないシナリオは、アサド政権を快く思っていない外国が、アサド政権の戦争犯罪をでっち上げたというシナリオである。これは最悪である。
2013-08-26 05:26:36続き16 その場合、アサド側は、化学兵器の実戦使用によって、子供まで殺すような残酷さは持ち合わせていなかった、ということになり、外国から攻撃されても自国の一般市民を巻き添えにする化学兵器を使用しないし、できない。外国軍は、そこまで見切った上で軍事介入できるだろう。
2013-08-26 05:30:32続き17 アサド政権は、これまで複数回、小規模な化学兵器使用を行った疑いがかけられている。彼らがまったくイノセントである可能性は高いとは言えない、かもしれない。だが、真に問題になるのは、今回の大量虐殺を行った真犯人は誰か、ということなのだ。
2013-08-26 05:35:14続き18 今回の事件によって軍事的冒険による「解決」には誰しもがためらい、躊躇し、政治的な話し合いで妥協を探る展開が、望ましい、とやはり思う。暴力ではなく話し合いで、という一般的な理想論の掲げたいからではなく(いや、その旗は掲げ続けたいが、ここでの強調点点はそこではなく)、
2013-08-26 05:41:39続き19 …大国がシリアへの武力攻撃に慎重だった場合、先に述べてきた理由によって、ああ、化学兵器を使った下手人はやはりアサドだったのだと信じることができる。だが、大国が、もし躊躇もなくどかどかとシリアに踏み入り、アサド側が反撃のために化学兵器も使うことなく敗れ去った場合には。。
2013-08-26 05:45:39続き20 被害者はもっとも少なく、陰鬱な内戦は終わり、めでたしめでたし、ということになるのかもしれない。しかし、開戦のための口実として、大国が事件をでっち上げたのかもしれない、子供達がそのために犠牲になったのかもしれない、という疑惑がやはり残る。
2013-08-26 05:51:42続き21 それはでっち上げの大量破壊兵器保有疑惑でイラクを滅ぼしたあと、この世界に残った最後のちっぽけな信頼までをも、根こそぎにしてしまうことになる。万が一にもそんな展開は勘弁してもらいたい。これ以上の大量の流血も、流血なき大量死も、世界への信頼の瓦解も願い下げである。
2013-08-26 05:57:40続き22 言い忘れていた。罪のない子供達が命を奪われた、その事件の下手人が誰であれ、もし集団的自衛権の行使容認を決めたら、米軍参戦の折には、自衛隊も出動しなくてはならなくなるかも、ということ。これは忘れるわけにはいかない。今ならまだ、日本政府は手を汚していないと信じられるが。
2013-08-26 06:09:20現時点でのメモです。でも、つまみ食いで批判するのでなく、一通り読んでみてからにしてください。考えるヒントですから。 RT @k15m: 「岩上安身氏 @iwakamiyasumi による『シリアに於ける虐殺』の現状分析と思考」。 http://t.co/AgJpVQUaq0
2013-08-26 11:52:11明後日28日、12時から『混迷するシリア』の著者・青山弘之東京外語大学准教授に、シリア情勢についてインタビューします。 RT @sasiro_t: 岩上安身氏による『シリアに於ける虐殺』の現状分析と思考 http://t.co/AgJpVQUaq0
2013-08-26 21:33:56