バター犬de名夏

いつからかどこから始まったかバター犬・・・。
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三色 @mokamisama

@kaya_miya 「夏目! 早く、早くしろ!」「先生、待てってば」同い年くらいの女の子に、先生と呼びかけるのも何か違和感がある。だけれど俺の数歩先ではしゃぎまわっているのは人の姿に化けたニャンコ先生なのだから仕方が無い。「イカ焼き!たこ焼き!お好み焼き! みんな食うぞ~!」

2013-08-27 00:17:03
三色 @mokamisama

@kaya_miya 「…ああ、まったく」これじゃあ、名取さんが来る前に小遣いがなくなってしまいそうだ。少なくなりつつある財布の中身を見て、俺はため息をついた。今日は夏祭りにやってきた。名取さんに誘われたのだ。「うちのほうで夏祭りをやっているんだ」

2013-08-27 00:17:32
三色 @mokamisama

@kaya_miya 仕事が夕方までには終わるから、その後で夏目と一緒に行きたいな、電話口から久々の声でそんな誘いの言葉を聞いた俺は、ウキウキと心弾んで、はい、と答えた。それを横で聞いていた先生も大はしゃぎで、一緒についていくと頑張った。もちろん、目当ては屋台の食べ物だが。

2013-08-27 00:17:55
三色 @mokamisama

@kaya_miya 「別にお前らの邪魔はせん、金さえくれれば一人で食っている」「じゃ、邪魔って──別に」どうせ、デートというやつだろう」「デ、デー…ち、違う、違うぞっ、先生」慌てふためく俺に、そんなことはどうでもいい、とニャンコ先生はそう言い捨てるとまたさっさと行ってしまった。

2013-08-27 00:18:28
三色 @mokamisama

@kaya_miya 俺は動揺をなんとか隠しながら、先生の後姿を追いかけた。「先生、そろそろ約束の時間だから、待ち合わせ場所に行くぞ」「その前に、じゃがバタ買ってくれ、じゃがバタ」「まだ食べるのか…」 半ば呆れつつも俺は財布から小銭を取り出し、目の前の屋台でそれを買った。

2013-08-27 00:18:53
三色 @mokamisama

@kaya_miya 先生の手は既に他の食べ物でふさがれているので、とりあえず俺が持つ。アツアツに蒸かしたジャガイモから立ち上る湯気とともに、美味しそうなバターの溶ける香りがした。待ち合わせ場所は、神社の境内の裏に広がる、人気のない森の中だった。

2013-08-27 00:19:19
三色 @mokamisama

@kaya_miya 少し奥に行くと祭の喧騒も微かに耳に届く程度で、だいぶ静かになった。賑やかな場所から離れ、少しホッとする。教えてもらった通りの大きな岩が目の前に見えた。「ここで、いいんだよな」この場所だけ少し開けていて、夕暮れの光がぼんやりと明るかった。

2013-08-27 00:19:48
三色 @mokamisama

@kaya_miya もうじき月の明かりに変わる。そんな薄暗さの中、俺は岩に寄りかかり、持っていたじゃがバタを口に運んだ。「なんでこんな場所で待ち合わせなんだろう」「人気の無いところで、イケナイ事でもするつもりだったのではないか」先生のセリフに思わずイモを吐き出した。

2013-08-27 00:20:17
三色 @mokamisama

@kaya_miya 「ぶっ…──な、何言ってるんだ、先生…っ」「名取の考えそうなことではないか、…ってこらっ、私のじゃがバタを食べるな!」「俺が買ったんだろう! わ、待て、せんせ…──うわあっ」

2013-08-27 00:20:43
三色 @mokamisama

@kaya_miya 先生が無理やりじゃがバタを奪い取ろうと掴みかかったせいで、容器の中でドロドロに溶けていたバターがドバッと体にかかった。飛んできたその液体は胸元から浴衣の襟に入り込み、とろとろと腹の方へ流れ落ちていく。

2013-08-27 00:21:01
三色 @mokamisama

@kaya_miya 俺が慌てている間に先生は残りのそれをさっさと奪うと、パクパクと旨そうに食べ始めた。「まったくもう──」せっかく塔子さんが用意してくれた浴衣がベタベタだ。そう悪態をつき、べたつく体をどうしようか考えていると、突然岩の裏側からガサガサと何かが動く音が聞こえた。

2013-08-27 00:21:25
三色 @mokamisama

@kaya_miya 「名取さん…?」暗がりに向かってそう呼びかける。茂みの向こうから人一人分くらいの気配が感じられる。そして、微かにだけれど、それは名取さんの気配に感じたのだ。岩の裏側に回り、辺りを見回した。すると突然、何者かが俺に襲い掛かってきた。「うわっ!──」

2013-08-27 00:22:04
三色 @mokamisama

@kaya_miya 茂みから何か大きなものが飛び掛かってきて、俺は地面へと押し倒された。ずしりとした重さが体に伸し掛かる。もふっとしたものが顔をくすぐった。べろんべろん、と濡れた感触が更に顔を襲う。「ふわ、っな、なん…や、やめ、ひゃあっ」「夏目、どうしたっ」

2013-08-27 00:23:15
三色 @mokamisama

@kaya_miya 先生が俺の悲鳴を聞いて飛んできた。「せんせ、た、助けて」「──い、犬ぅ?」大人の体ほどある大きな犬が俺を組み敷いているのを見て、先生がまぬけな声をあげた。「…何を犬とじゃれあっているんだ、夏目」「じゃ、じゃれてるわけじゃ…うわ、ま、待て、やめろ」

2013-08-27 00:23:48
三色 @mokamisama

@kaya_miya 舌で舐められる感触がくすぐったくて、身を捩る。しかしこの大きな体に押さえつけられてそれもままならない。「なんで、こんなところに、犬が」見えはしないが尻尾をわっさわっさと振っているのが感覚で分かる。危害を加えるつもりは無いらしい。

2013-08-27 00:24:26
三色 @mokamisama

@kaya_miya ただ、今の状態は俺にとってはかなりの危害と言える。襟の隙間に鼻先を突っ込み、べろべろと大きな舌で舐めてくる。「犬にとってもお前は旨そうなんだな」「せんせ、見ていないで──た、たすけ」舌で首筋をくすぐられながら、何とか必死に声を出す。

2013-08-27 00:25:07
三色 @mokamisama

@kaya_miya 「──なんだか名取みたいな犬だな」やっている行為がな、と先生がのんびりと傍観しながら言った。「もう、せんせ──」見ているだけの先生に苛立ちを覚え、睨み付けようとしたその時──俺は先生の言葉にハッとした。ま、待てよ、名取さんみたいなって──。

2013-08-27 00:25:30
三色 @mokamisama

@kaya_miya 「ま、まさか、この犬…名取さん!?」「はあっ? 夏目、お前突然何を言い出すんだ」「だ、だって」彼とはこの場所で待ち合わせていた。そして、ここにいたのはこの犬。「名取さんの気配がするんだ、この犬から」

2013-08-27 00:25:53
三色 @mokamisama

@kaya_miya そう、何故か解らないけれど、この犬から名取さんの気配が漂ってくる。はっきりとではないけれど、微かに、なんとなく。「しないか、先生?」「名取の気配……すると言われればするような」「だ、だろう?」「でも私にはただの犬にしか見えんが」じっと先生が覗き込む。

2013-08-27 00:26:10
三色 @mokamisama

@kaya_miya 俺は俺の上でハッハッと息を荒げじゃれついてくる犬に向かって、名取さん、と呼びかけてみた。わん、と元気に吼えられた。「な、名取さんなのか」わん、わん、と返してくる。「やっぱり名取さん…」「いやいやいやっ、待て夏目、例えこやつが名取だとしても、…何で犬なんだ?」

2013-08-27 00:26:47
三色 @mokamisama

@kaya_miya 「それは……、…あ、妖に呪いを掛けられたとか」「呪いぃ?」人を動物に変えるような力を持った妖なんぞ、この辺りにいたかなぁ、先生が頭を抱えながら考え込む。その間にも、名取さんらしきこの犬は、はだけた浴衣の中に顔をどんどんと突っ込んでくる。

2013-08-27 00:27:13
三色 @mokamisama

@kaya_miya 息が肌に掛かり、鼻先の湿った感触が肌をすべる。「ひゃっ、や、やめ…な、名取さん…なんですか、あっ…あ、あの」頭を押さえつけようとしても、肌の上で舌が動くたびに力が抜けてしまう。「はうっ」濡れた舌が胸の突起をべろんと舐め上げ、俺は悲鳴をあげた。

2013-08-27 00:27:36
三色 @mokamisama

@kaya_miya 「やっ…名取さんっ」やめてください、と首を振る。その頭上から先生の呆れたような声が降りてきた。「ふん、まあ──そやつが名取だというなら、私はもう用はないな。先に祭に戻っているぞ、夏目」

2013-08-27 00:28:00
三色 @mokamisama

@kaya_miya 乳繰り合いなんぞに付き合っていられるか、と先生は俺を残して神社の方へと姿を消してしまった。「ちょ、ちょっと先生っ、待…うあっ」先生の去った方に手を伸ばし叫ぼうとしたが、執拗に責められる舌の動きに言葉が続かない。「はぅ…はあっ、や、やめ…ああ」

2013-08-27 00:28:21
三色 @mokamisama

@kaya_miya 名取さん──らしきこのふさふさしたクリーム色の獣は、俺の乳首を散々舐め上げると、今度は脇腹を舐めだした。「や、やだ、やめ…」くすぐったくて、それなのに──今自分を舐めているのが名取さんなのではないかと思うと、体が別の方向に反応してしまって。

2013-08-27 00:28:50
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