unpeu_g #twnovel 2013/5-7 バベルの図書館で殴りあう 他

twnovelまとめ:その⑱(5-7月分)
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二月大笑 @unpeu_G

母親は娘の部屋にいた妙な蛇を殺してしまう。まだまだ手のかかる歳だけど娘は最近きれいになった。恋人ができたに違いない。 #twnovel その妙な蛇こそが実は娘の恋人だったのだが。気づいた娘は青くなり初めてその事実を告げる。しかし母親は取り合わない。いつまでも子供のようなことを。

2013-05-11 10:12:26
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel エビ食べれるなら虫もいけるよ、と言われてエビがダメになった。鳥がかわいいなら爬虫類もかわいいでしょ、と言われた時から鳥も嫌いになってしまった。垣根を押し寄せてきた世界に押しつぶされてしまいそう。実態もなくて頼りない私の中だけのあの線は私を守ってくれてもいたのだ。

2013-05-15 22:34:48
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel DRINK MEと書かれた小瓶は真夏の暗い図書館のかすかな光にもきらめいた。皆に合わせるのが苦しいのはあなたが特別だからなのよ、と囁く小瓶の甘い香り。皆にそう言っているのなら合わせるべきみんなとは誰。頭をかすめたその考えを手放すほどの味と陶酔。

2013-07-05 00:50:08
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 「爺ちゃん怖い話して」「昔うなぎという魚がおっての」「本当は冬がおいしいんじゃが夏に食べるのが流行っての」「痩せたのをわざわざ夏に食っての」「その謎の流行りが終わらんうちに捕り尽くされてしまっての」「とうとうおらんくなってしまった」「何それものすごく怖い」

2013-07-05 21:12:40
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 「鼻先ニンジンなんて言うけど」彼女はライターを灯す。「すぐ先に光が見えるってすごく大事だと思わない?」暗闇に赤い光が残る。「どんなに小さな光でも灯せば闇に勝つんだよ。」その光は私に届くのだろうか。「ちょっと吸ってくる」と言ったきりわたしを闇に残すくせに。

2013-07-06 04:35:08
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 捌いたら卵を持っていた。そういえばそんな季節なのだ。じゃらじゃらと中身を全部出す。生まれていれば大きくなって帰ってきたのかもしれない。アルミは銅に銅はニッケルにもっと生き残れば紙にだって。このまま食べるのもおいしいし産卵の季節だからこそ脂がのっていて良いのだが。

2013-07-07 13:43:32
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 本は本を呼び増えるというのは本好きの中では常識だが、本と本は喰い合うという。バリバリと貪り合って後にはカバーしか残らない。中身はどこへ行くのだろう。食べかけを見ないのも謎だ。そして記憶にしか残っていないこの話がどの本のものだか、確かめるすべはもうないのだ。

2013-07-09 00:22:16
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 優勝者インタビューを受ける。とはいえゲームのこの世界で一定レベルに達しただけだ。「頂点となり久しいですが次なる目標は何でしょう?」マイクの束を向けられる。「そうですね人と戦いたいです。」辺りが一気に静かになる。インタビュアーとカメラマンの電源が一斉に落ちたのだ。

2013-07-09 22:51:11
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 「こんなのインクの染みだから。」現れた悪魔がページをむしる。どういうことだ。願っただけだ。「一番面白い本を」と。「こんなのを見て面白がるあなたの頭が面白いの。」のぞき込んでくるその瞳に、しかし私は写っていない。私が目にしたすべての文字で出来た世界が見えるだけだ。

2013-07-23 09:44:32
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 48面体のサイコロ。出た目の文字を繋ぐことで世界は正しく文になる。起こる確率が0で無い事は必ず現実になる。文が私の中の世界と一致する時が必ず来る。起こるまで続けるだけだ。私の中だけの世界を世界の一部にする作業。たとえサイコロを振るたびに世界が増えて行くとしても。

2013-07-23 18:16:27
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 金泥装飾した羊皮紙に石板の攻撃がのめり込む。そんじょそこらの思想なら取り込めてしまうのだけれど。確かにしぶとさでは及ばない。何しろ大理石は残るから。そして脆い物も弱くない。紙に墨字は軽くて伸びる。バベルの塔は崩れたが戦いはまだ続いている。上へ。どこまでも上へ。

2013-07-23 20:34:14
二月大笑 @unpeu_G

#twnovel 私の方が泣きそうだった。傷つけているのは私なのに。どうしてあの人がいいの。ボロボロになるだけなのに。グラグラしつつ彼は答える。「あの人はもう全てなんだ。つまりお前もあの人で…」多分最低の説明だが私には通じてしまう。その先の彼が見ている物は私も見ている物だから。

2013-07-24 23:48:45