2010/10/01 ツイッター小説 お気に入りセレクト

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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@_140

#twnovel のタグ」を遡った。アイコン目視で読まないと判定済は端から飛ばす。掴みが弱いのも飛ばす。フリックするたびに流れ去り新しいのが出現。おや?さっきこれは読んだ。あれ?これもだ。時間を遡ると次第に既読の割合は増加する。割合が100%のところで本日の遡行は終了とした。

2010-10-01 00:05:15
TAG @bttftag

#twnovel 「シュレディンガーの禁煙」について語ろう。方法は簡単。禁煙のという事実を誰にも宣言しないのだ。こうすることによって、貴方が禁煙したか否かは誰にも観測されず、結果として禁煙に成功する。煙草を吸うことはやめられないかも知れないが、それは当方の感知するところではない。

2010-10-01 00:38:09
そら(創作の愚痴を零したり、日常の話中心) @iotu

#twnovel お腹の中にぎっしりと詰まった金平糖のような悪口、妬み、嫉妬は、いがいがとしてお腹の中を行ったり来たりするのです。とげが溶けて丸いキャンディになるまで私の大釜上のお腹の中でゆるりゆるりと解けていくのです。それまで私のお腹は他人への悪口でちくちくと痛み続けるのです。

2010-10-01 03:17:57
糖類の上 @tinouye

#twnovel 音楽10:その地で今は滅多に演奏しない伝説的なな奏者が音楽会を開くと聞いた。舞台の彼は徐に調律を始めた。えらく調律に時間がかかっていたがその時に弾く弦の音も魅力的だった。暫くしてようやく調律が終わり彼は舞台から下がった。その一曲だけだった。今のが演奏だったのだ。

2010-10-01 04:29:56
浅葉積木 @tsumiki_a

「狼が出たぞー!」少年の叫び声が、退屈しのぎの密会の合図。少女はひと気の絶えた村の道を誰にも見咎められずに約束の場所へ。しかしその日にそこで目にしたものは、食い散らかされた少年の死体と、本物の狼。少女は両手を広げて言う。「ああ! 私を連れて行って!」 #twnovel

2010-10-01 06:21:14
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 隔壁を開いて天使を世界に放つのがぼくの役目だ。指示通りスイッチを押すだけだったが。割れた青空から地表に降り注ぐ百万の天使。カーボンナノチューブで編まれた骨格に肢体を引き裂かれる、その最期の瞬間に人々は何を思うのだろう。ぼくはモニターを眺めながら昼食をとった。

2010-10-01 06:52:27
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 小さな子が商品棚にちょこんと座っている。「わたしは人形なの。怖い人たちがいなくなるまでこうしていなさいっておばあちゃんが言ったの」百年前とまったく同じ口上だった。カウンターに目を向けると首のない老婆が闇に震えている。ぼくは風呂敷から頭を取り出しそっと戻した。

2010-10-01 07:18:23
ぼたゆき @botayuqui

驚き半分、納得半分の気持ちだ。引越初日のアパート。初めて浴槽にお湯をためるため、蛇口を大きくひねった。すると、大量の蛇が蛇口から出てきた。すぐ蛇口を閉じ、シャワーで洗い流そうと別の蛇口をひねった。シャワーの小さな穴から、無数の小さな蛇が出てきた。 #twnovel

2010-10-01 08:21:06
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 生きてるものはいないのか、生き残っているものは、と叫びながら焼け跡を彷徨う。時折手が上がる、声が起こる。駆け付けて行ってとどめを刺してやる。金目の物があれば頂いておく。次第に残り火のチリチリという音しか聞こえなくなる。それでも繰り返し叫ぶ。何故まだ生きている。

2010-10-01 08:24:44
@mahrkw

「ああ又フリーズしちゃったよ」と主任は言いながら再起動のボタンを押すが全く反応しないので本体の電源を切って再起動をかけた。「これもう何回目よ。夏も強制修理させちまってるしそろそろ寿命か?」主任は地球の季節を管理している年代物の機械を見やり深い溜息をついた。 #twnovel

2010-10-01 08:36:09
土岐 @t_ineka

#twnovel 矛盾してるよ。永遠の眠りにつくなんて婉曲表現を可能にしているのは、結局いつか目覚めることを願う思いがあるからだ――彼とそう話した日は遠く、霧は穏やかに緑の丘を覆う。失われた都市の輪郭を探しながら、私は鳥の羽音ばかりを聞いた。いるのか、そこに。目覚めを待ちながら。

2010-10-01 08:39:07
料理組合 @nikuhennokoi

#twnovel 彼女はまるでバイオリンを弾くように手首を切る。昔バイオリンを習っていたそうで今は手首が楽器なのだ。机の角に肘をぶつけて手首をチューニングする

2010-10-01 11:56:42
激走くじゃわさん🍀 @Qjawa_san

一番目の子豚は藁葺きの家を建てました。二番目の子豚は木造の家を建てました。三番目の子豚は煉瓦造りの家を建てています。お腹を空かせた狼が山から下りてきました。狼は外で作業中の三番目の子豚をひと飲みにすると、満足して山に帰って行きました。 #twnovel

2010-10-01 17:48:18
八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物は大人数で活躍中のアイドル・グループの一人だった。「あたしの名前をちゃんと言えたら食べられてもいいニャン」と言われて、知っている限りのアイドルの名前を挙げて行ったが、ついに正解にたどり着けない人間豹であった。 #twnovel

2010-10-01 18:17:50
@K_Ichida

#twnovel 隣の家のおばさんは出かける時、大きなゴミ箱に裸の女の子を押し込む。僕の部屋からその様子がよく見える。女の子は時々ゴミ箱のフタを開けて外の様子を見たりする。大人に知らせた方がいいかもしれないと僕は思ったけど言えなかった。隣が引越す時、女の子の姿はなかった。

2010-10-01 18:40:01
伊万里 純 @verselet

朝、目が覚めると君はもう出掛けていて、テーブルには急いで食べたであろうトーストが少しだけ残されていた。時計は11時を過ぎていた。食べかけのトーストをかじる。僕だけが世間から取り残されているような気がして惨めな気持ちで一杯になった。窓の外を見る。空白の青さだった。 #twnovel

2010-10-01 19:15:42
@K_Ichida

#twnovel 昔好きだった同窓生のA君が離婚したという。しかも私に会いたいと連絡してきた。今の私には夫も子供もいる。どうしよう。迷いながら待ち合わせ場所に行くと彼が正装して待っていた。本気だ。でもなぜ私の娘がいるの?「同窓生に言うのは恥ずかしいけど、お嬢さんを僕にください」

2010-10-01 19:29:50
みなせみずき(仮) @MinaseMizukiR

珠玉のトリックを読み終え、私は満足の息を吐く。極上のコニャックをグラスに注ぎ、葉巻をくゆらす。至福の一時。と、部屋の戸が開く。「さっさとゴミ出しなさい!何その高そうな酒。ひきこもりが小遣いでカッコつけてどうするの。早く仕事見つけないと小遣い抜きだからね!」 #twnovel

2010-10-01 20:57:48
ひなたま @hinata_ma01

中学の頃、「俺、動物とかに好かれるタイプなんだぜ」と自慢した直後、額にハエが止まった。 これは #twnovel であり事実ではないので悲しくとも何ともない。ふと思い出して泣いてなどいないし、ただホコリが目に入っただけである。

2010-10-01 21:46:18
スコール @Schole

Aは一度ゆっくり目を閉じた。目を開けるまでの僅かな時間、耳にまだ残っている音を確かめながら、先ほどの一瞬を彼の引き出しにしまった。あっという間の出来事だったが、管理人は逃さなかった。引き出しに収まる前に一つの星をつけた。「これでよし。」 #twnovel

2010-10-01 22:19:47
水木ナオ @nayotaf

雄々しき彼の君に相応しい御召し物を。大役を任された仕立屋は、悩んだ末に網で太陽の光を捕まえようとした。だが光は網を突き抜け、美しく輝く金の糸となって力強く真っ直ぐ伸びていく。ああその姿こそ、求めてやまないもの。仕立屋は何度でも網を振るう。何度でも、何度でも。 #twnovel

2010-10-01 22:21:24
すわぞ @suwazo

#twnovel 人魚姫は恋をした。空をわたる美しい鳥たちに。魔女と契約し、声と引き換えに翼を貰った。鱗はすべて羽になった。ほの暗い海底から弾丸のようにまっすぐに空を目指して飛んでゆく。翼を広げ、全身に太陽の光を浴びる。人魚姫はもう人魚ではない。泡になる何の理由も必要もない。

2010-10-01 22:34:04
藍 真史 @shin1960

#twnovel 地上では人類が滅亡したらしい。各地で核兵器が使用され地球の約60%が汚染されているらしい。らしいというのはここが海底作業基地で全ての通信が途絶えてしまっているからだ。さて、食料は数年分は備蓄されている。いずれ次の地球を支配するのはここの数人の作業員なのだろう。

2010-10-01 23:08:29
ておまさお @teomasao

親父はリストラされた挙げ句に自殺。残されたお袋は懸命に働くも暮らしはドン底。そして俺は今、インフルエンザの高熱に魘されながら『38度なう』とツイートしようとしている。 #twnovel ……ん? 知らぬ間に死神と貧乏神と疫病神がフォロワーになっていた。

2010-10-01 23:26:04
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

毎朝近所の神社にお参りをするのが日課だった。境内へと続く長い石段をゆっくり歩く。視線はいつも足元だ。石段も半ば上った辺りでいつも軽快に駆け下りてゆく青い運動靴とすれ違う。おはよう。その声音に顔を上げる時にはもう相手は遠い。ああ、今日も彼の顔を見そびれてしまった。 #twnovel

2010-10-01 23:27:32