東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会の報告内容を考える(2013.8.29)

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林 衛 @SciCom_hayashi

東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会 http://t.co/3kcnKIvbta 報告から引用します。論理がぐちゃぐちゃです。 (続く)

2013-08-29 19:20:41
林 衛 @SciCom_hayashi

引用1:これまで、我が国の過去数百年間に経験してきた最大級の地震のうち切迫性の高いと考えられる地震を対象に、これまで記録されている震度と津波高などを再現することのできる震源モデルを考え、これを次に起きる最大級の地震として想定してきた。

2013-08-29 19:21:04
林 衛 @SciCom_hayashi

引用2:その結果、過去に発生した可能性のある地震であっても、震度と津波高などを再現できなかった地震は地震発生の確度が低いとみなし、想定の対象外にしてきた。 == モデルを構築できないなら確度が低いとできるという判断は傲慢そのもの。モデルどおりであとは知らないという傲慢もあるけど。

2013-08-29 19:22:48
林 衛 @SciCom_hayashi

引用3:今回の災害に関連していえば、過去に発生したと考えられる869年貞観三陸沖地震、1611年慶長三陸沖地震、1677年延宝房総沖地震などを考慮の外においてきたことは、十分反省する必要がある。 === の段落にだけ,869 年貞観三陸沖地震とある。三陸沖としたのはなぜ?

2013-08-29 19:24:23
林 衛 @SciCom_hayashi

いずれにしろ, 「我が国の過去数百年間に経験してきた最大級の地震」として,それ以前のものをカット。さらに,「震度と津波高などを再現できなかった地震は…想定の対象外にしてきた」わけだ。

2013-08-29 19:26:20
林 衛 @SciCom_hayashi

引用4:過去に発生したことがわかっていながら当時の知見で想定の対象外としたことの理由の一つは、具体的な防災対策の検討のもとになる震度と津波高など地震像全体の再現が困難であったことによる。 ===== ?大きすぎたので対応に困り,モデルによる再現性ができないのをいいことに無視した?

2013-08-29 19:30:34
林 衛 @SciCom_hayashi

引用5:確からしさが低くても、 地震・津波被害が圧倒的に大きかったと考えられる歴史地震については、 十分考慮する必要があるからである。 == と書いてあるから「圧倒的に大きい」のがモデルで再現できない理由かつ想定外にしてしまった理由。モデルの不完全さにだって気づいていただろうに。

2013-08-29 19:33:29
林 衛 @SciCom_hayashi

津波を想定した地震よりも,はるかに大きな地震であると気づいていた人も多かった。石巻市立大川小学校でも,子どもたちが尋常でない揺れの長さに気付き,津波もすごいと想像し,「山さ逃げよ」と先生たちに提案した。ところが,先生たちが「冷静に」「落ち着いて」と諫めてしまった。

2013-08-29 19:36:18
林 衛 @SciCom_hayashi

引用6:想定浸水域はハザードマップなどの防災対策資料のベースになっているが、今回の津波が想定を上回る浸水域や津波高などであったことが、 被害の拡大につながったことも否めない。 ==== と,想定の甘さを認めている。

2013-08-29 19:38:24
林 衛 @SciCom_hayashi

引用7:従前の想定によるハザードマップが安心材料となり、それを超えた今回の津波が被害を拡大させた可能性がある。 ==== 「安心材料」となった可能性にも言及している。想定というのは仮定,前提にすぎない。被害想定の前提を越えた地震,津波の可能性に気付き,行動できたかどうか。

2013-08-29 19:40:56
林 衛 @SciCom_hayashi

引用8:数千年単位での巨大な津波の発生を確認するためには、陸上及び海底の津波堆積物調査や海岸段丘等の地質調査、生物化石の調査など、地震学だけでなく地質学、考古学、歴史学等の統合的研究の充実が重要 === とあるけれど,モデルにあわないとしてこれらを排除してきた理由の分析は甘い。

2013-08-29 19:44:43
林 衛 @SciCom_hayashi

以上まとめると, 1)想定の前提となった地震,津波の内容と,そこから落としたもっと大きな危険性の記述,説明が不十分だった(この報告でもしかり)。 2)想定の甘さだけでなく,切り落としの説明不足にも問題があった(指摘されず)。 3)そこから落とした理由の分析がいまだに不十分。

2013-08-29 19:50:11
林 衛 @SciCom_hayashi

自然災害がなぜおこるのか。地震や台風,津波そのものは制御できないにしても,災害そのものは人間がもたらす結果である,すなわち人災側面が大きい。その人災的側面を照らし出すために,自然科学の知見がとても役に立つはず。

2013-08-29 19:51:50
林 衛 @SciCom_hayashi

自然科学がそのときどきの文明の特性,問題点を照らし出し,それを支える人びとの意識や広い意味での政治制度に修正を求めるという構図がある。これは,対決の構図といってもよいでしょう。

2013-08-29 19:52:37
林 衛 @SciCom_hayashi

阪神・淡路大震災は,世界でいちばん活断層について研究が進んでいたにもかかわらず,「震災の備えをしなくてよい」としていた自治体で生じたた。東日本大震災・原発震災には,その教訓はまったくいきていなかった。反対に限られた知見にもとづく地球物理・津波工学のモデルが大被害を生んだ。

2013-08-29 19:55:12
林 衛 @SciCom_hayashi

防災研究者はある種の焼け太り,御用学者化の機会を得たものの,科学(者)の思考パターンの多くは,自然災害の人災側面の全貌までには届いていない。

2013-08-29 19:56:18
林 衛 @SciCom_hayashi

飯沼勇義氏,箕浦幸治氏らによって,仙台平野を襲う巨大地震津波の存在が明らかにされてきていたにもかからわらず,東北大学の地球物理学者らは彼らの指摘,その根拠を無視して,被害想定や地震発生モデルを打ち立ててきたこと。津波被災地の住民,遺族が抱く,東北大学への不信感はじつに根深い。

2013-08-29 19:58:14
林 衛 @SciCom_hayashi

津波被害の歴史的究明も,低線量被曝による健康影響の解明も,調べれば調べるほどより多くの被害の事実,被害をもたらすメカニズムの存在が明らかになっていくという性質をもっている点で共通。

2013-08-29 19:58:57
林 衛 @SciCom_hayashi

詳細な実証,解明は途上であるが,研究が進んでいく方向性はわかっている。すなわち,地球や生命に関する自分たちの理解の不足がどこにありそうかわかっている。そんなときに,予防原則や推定無罪をどちらに向けて,誰のため何のために使おうとするのか。問われているな。

2013-08-29 20:01:05
林 衛 @SciCom_hayashi

ただし,福島原発震災の原因として,地震の揺れの効果も大きい。国会事故調も,冷却剤消失事故の可能性が大きいことを指摘している。廃炉作業が進んでも,みつかる証拠は限られるかもしれない。だからといって,津波ばかりを強調するは「想定外」の教訓の悪用です!

2013-08-29 20:05:06
まとめ 岩波新書「原発と大津波」について 著者 添田孝史さん 関連ツイートまとめ(2014.11.20) まとめ後半部に、講演会資料へのリンクが入ったツイートがあります。 13366 pv 314 7 users 42