牧眞司の文学あれこれ その5

牧眞司の文学あれこれ その4牧眞司の文学あれこれ その4 http://togetter.com/li/496165 からの続きです。
書籍 SF ファンタジー 文学
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牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
リュドミラ・ペトルシェフスカヤ『私のいた場所』(河出書房新社)読了。独特な味わいの幻想短篇集。死者が語りかけたり、異形の存在との関わりがあったりとファンタスティックな要素もあるが、それよりも語りかたが独特で面白い。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
たとえばある作品では、物語が先へ先へと進み、それを追いかけて登場人物の素性や呼び名がついていく。語られないでいたことが明かされるというよりも、物語のその段階で人物にすうっと陰影がつくような、語りゆくなかで小説世界がかたどられていく感じ。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
ケリー・リンクにちょっと似ているところもあるけれど、もっと抑制されているというか、いっけん素朴だけどより底味があるというか。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
栗原裕一郎・豊﨑由美『石原慎太郎を読んでみた』(原書房)読了。しゃぶるように石原作品を読みこんだ好著。これだけ読んでもらえれば石原さんも本望だろう。また、そうやって読むだけの価値のある作家なのだ、実は(ってロクに読んでいないぼくが言うのもなんだが)。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
とにかくこの本を読んでいると、どんどん石原慎太郎が凄い作家に思えてきて(たとえばセリーヌのような)、その作品への期待がとめどなく膨らんでいく。悪文の見本として引用されているものまで、ある種の魔力をまとっている気がするのだ。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
ゲスト参加の中森明夫さんの指摘「慎太郎は正真正銘のアナーキストだ」には膝を打った。作家としての魅力も、人間としての無茶さも、そこから来ているのか!
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
すでにどなたかが提唱しているとは思いますが、『石原慎太郎を読んでみた』と『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』を併せて読むとよいかと。ふたりの作家には似ているところもあり、くっきりと対照的なところもある。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
スティーヴン・キング『11/22/63』(文藝春秋)読了。基本的には「歴史の過ちを訂正する」時間テーマのサスペンスSFなのだけど、微妙な偏差(アイデアの捻りというよりも、アンチミステリ的な世界の歪み)によって、キング一流の不穏な空気が立ちこめる。これは面白い。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
『11/22/63』について。ネタバレ常套のぼくだがスティーヴン・キング作品で禁忌を犯すほど無謀じゃない。本筋とは関係のないところで「へえ」と思ったのは、これが2010年中に書きあがっていたこと。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
原発事故にふれたくだりがあり、その発電施設は「大地震が起こらない」と主張して建てられたものだという。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
あと、これも自身がらみで「日本では四つの島が沈んだ」というのも。三つは小さな島だが、北海道も消えてなくなった。地球のいちばん外側の殻と関係していると説明があって、まさに日本沈没ですね。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
以上はあくまで野次馬的な興味での読みかたにすぎず、そういう時事的なことは作品の評価とはまったく関係がない。ただし、もっと深い意味での「歴史」や「時代性」は、この作品の大きな読みどころであって、ディテールを読みこむといっそう凄みが増す。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
コーンブルースと伊藤計劃の共通性とは興味深い着眼ですね。独特なシニカルさ、社会への関心の向けかたなど、そう言われればと思います。 RT @orionaveugle 『シンディック』は以前、感想をつぶやいたことがあります。https://t.co/iZw5BSo12o … 
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
ウラジーミル・ソローキン『親衛隊士の日』(河出書房新社)読了。どひゃーナンデスカこの世界この主人公。近未来のグロテスク社会、独特な新語・俗語の感覚、暴力的人物の視点による一人称……バージェス『時計じかけのオレンジ』を髣髴とさせる。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
『時計じかけ』のアレックスはアウトサイダーだったが、『親衛隊士の日』の主人公は体制側の人間であり、その権力意識とか親衛隊の結束(ヤクザ的連帯)とか、意識も語りもいっそう歪んでいる。ビョーキというかリョーキ。ぞぞっ。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
パトリック・ネス『人という怪物』(東京創元社)読了。途中までは緊迫してなかなか面白い。大きな状況としては権力・反体制・原住民の三つ巴の衝突があり、そのいっぽうで本書最大の敵役とも言える首長の両義的な性格(冷徹な策謀者と後継者への父性的な愛情)が危ういバランスを見せる。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
しかし後半に入って、物語は一気にだれる。ページ数あわせのように不要なドラマを投入して、かたちばかり派手で感動的なクライマックスへ突入。あげく異なる文化の葛藤も、人間の複雑な心情も矮小化されてしまう。それともヤングアダルト小説なので、こういうわかりやすさが必要だったのか。残念。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
チャールズ・ボーモント『予期せぬ結末2 トロイメライ』 (扶桑社ミステリー)読了。早川書房の《異色作家短篇集》をむさぼり読んだ身としては嬉しい一冊。13篇が収録されている。珠玉揃いというのはさすがに褒めすぎだが、最後期の作品「とむらいの唄」は奇妙な味の奇貨だ。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
谷甲州『星を創る者たち』(河出書房新社)読了。書き下ろしの結末篇に吃驚。既発表分は工学SFの最高峰(いたずらな物語化を抑えて技術者の本分に迫っている)だが、結末篇はまったく別の展開となる。工学SFは工学SFなのだけど、地球規範の工学ではなくて……おっとこれ以上はネタばれ。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
ええと、これはWAPテーマと言えるかな。それにしても凄いね。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
『星を創る者たち』、おそらく人類進化テーマとして新機軸だと思う。メーター振りきった発想とでも言おうか。言いふらしたいけれど言ったら怒られる。p.356の3行目。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
NEWS本の雑誌「今週はこれを読め! SF編」更新されました。こんかいはウラジーミル・ソローキン『親衛隊士の日』(河出書房新社)を取りあげています。 http://t.co/71mOHnrRHM
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
金井美恵子『目白雑録5 小さいもの、大きいこと』(朝日新聞出版)読了。東日本大震災のあとメディアにあふれた紋切り型の表現に対する違和感を書き綴ったエッセイ。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
おそらく金井さんにとっては有象無象の紋切り型表現などどうでもよいことであって、べつに批判とか窘めではなく、呆れ半分皮肉半分といったかんじだ。
牧眞司(shinji maki) @ShindyMonkey
金井さんはそういう言いかたをしていないが、これはクリシェは恥ずかしいという話だろう。
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コメント

伊藤正一 @awaroba 2013年11月7日
まとめを更新しました。
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