ハサン中田考(HASSANKONAKATA)先生による解説:「過激派」概念の再考,並びイスラーム法学における「背教」概念と法判断の実例について

カワユイ(^◇^)イスラーム学者,カワユイ(^◇^)カリフラノベ作家である中田考先生による一連のツイートです.非常に勉強になるので私用もあって纏めました.知識不足故纏め方に不備等散見されることと思われますが,適宜修正していきますのでご勘弁願います.
人文 イスラム 信教の自由 中田考 テロ シリア 中東 宗教 人権 イスラーム
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中田考 @HASSANKONAKATA
これは自由シリア軍。アルカーイダは顔を写真で撮させません。私はシリアで彼らから直接確認しています。→ @FIFI_Egypt: ◻NYタイムズ紙が、シリア反政府派が行っている政府軍捕虜に対する処刑映像を配信 ※閲覧注意 http://t.co/kLDBk1EM6p
中田考 @HASSANKONAKATA
勿論、ヌスラがシリア政府軍の捕虜を処刑しないと言っているわけではない。むしろ逆で、ヌスラはアサド政権がアラウィーの異端性に加えてイスラーム法に反した世俗主義の統治を行う背教者であると考えるが故に戦っているのであり、政府軍の捕虜は基本的に背教者なので処刑しても少しもおかしくない。
中田考 @HASSANKONAKATA
アルカーイダに欧米が武器提供をしているというのも嘘。武器提供を受けているのは自由シリア軍。→ @FIFI_Egypt: 反政府派にアルカイダなどの武装勢力を送り込み、武器提供など支援を続けている欧米は、どう説明するのか… http://t.co/kLDBk1EM6p
中田考 @HASSANKONAKATA
イスラーム法に反した世俗主義の統治を背教とみなす理論的根拠については拙稿「ジハード(聖戦)論再考 https://t.co/bIxR4o0JOK 」 参照  → ヌスラはアサド政権が…イスラーム法に反した世俗主義の統治を行う背教者であると考えるが故に戦っている…
中田考 @HASSANKONAKATA
(承前)アルカーイダ系のイスラーム主義武装闘争派はイスラーム法に反した世俗主義の統治を行う政権全てを武力闘争で打倒すべき背教者とみなす。シリアのアサド政権でもエジプトの軍事政権もアルジェリアの世俗主義政権もチュニジアの同胞団政権もサウジ王家もヨルダン王家もカタル王家も全て同じ。
中田考 @HASSANKONAKATA
(承前)しかし、西欧の国際法上認められた主権国家の合法政権であったアサド政権への武装闘争を西欧諸国が認めている以上、他の非「民主的」アラブの政権の打倒を目指すアルカーイダ系のイスラーム主義反体制武装闘争派を、世俗主義政権との武装闘争故に過激派呼ばわりするのは適切ではない。
中田考 @HASSANKONAKATA
(承前)過激か否かのメルクマールは、「イスラーム法に反した世俗主義の統治による背教」の判断を、自分たちを除く政権協力者全員に無制限に適用するか否か。何故ならイスラーム法は背教の判断を下すと死刑以外に選択肢がないので、出来る限り背教の判断の回避に努めるのが伝統だから。
中田考 @HASSANKONAKATA
(承前)背教の世俗主義政権の積極的、及び消極的協力者を背教者と判断しない理論的根拠が「無知による免責(عذر بجهل)」論。つまりイスラーム行政法を学んでいない無学な一般信徒は、背教の大罪を犯していても無知故に免責される、との法理論。
中田考 @HASSANKONAKATA
繰り返すが、この無知による「免責」論を採らない限り、イスラーム主義反体制武装闘争派は、イスラーム法に反した世俗主義政権のみならず、その積極的協力者である兵士を初めとする公務員のみならず、消極的協力者である一般民衆の全てを、背教者として処刑せざるを得ない。これが過激派なのである。
中田考 @HASSANKONAKATA
ところが、ヌスラ戦線などのイスラーム主義への誹謗中傷に終始する@SyriaArabSpring: 【シリア情勢】のようなサイトの記事ですら、ヌスラ戦線が武力制圧した町の住民全て(責任能力の無い子供を除く)を背教の政権の消極的協力者として同罪の背教者として処刑した例は皆無である。
中田考 @HASSANKONAKATA
(承前)以下の記事を読むとヌスラは戦闘中のクルド民主連合党人民保護部隊とも捕虜交換を行っている。 http://t.co/U9FSsmpJhoシャームの民のヌスラ戦線が、ラアス・アイン市で身柄拘束していたクルド人男性10人、女性2人を「捕虜交換」の一環として釈放
中田考 @HASSANKONAKATA
(承前)イスラーム法では、異教徒の捕虜は、人質交換、身の代金、ああるいは無償で釈放するか、処刑するかが選べるが、背教者は釈放が許されず処刑するしかない。
中田考 @HASSANKONAKATA
つまりヌスラが交戦中のクルド人との捕虜交換に応じたとのこの記事はヌスラが「無知による免責」論を採用しており、一般民衆はもとより敵対勢力の積極的協力者でさえ、背教者ではなく捕虜交換が可能な同じムスリムとして扱っている証拠となっている。
中田考 @HASSANKONAKATA
(承前)こうした公開情報から読み取れるヌスラの柔軟性、「無知による免責」論を採用する穏健性は、私自身がシリアでヌスラに同行して議論を重ねたヌスラの考え方と完全に一致。結論としては、ヌスラを過激派と呼ぶのは事実に反し、彼らの実像を歪めその柔軟性と穏健性を見逃させるだけで有害無益。
中田考 @HASSANKONAKATA
イスラーム法の背教罪は死刑で厳しく思われるが、その適用例はカリフ制の消滅した現在のみならず、歴史資料を紐解いても極めて少ない。その理由は実際に背教者が少ないこともあるが、そもそも他人の内心に干渉しない(背教したかどうかを問わない)というイスラームの特徴によるところが大きい。
中田考 @HASSANKONAKATA
(承前)裁判になり、愈々背教罪の構成要件に該当するとなっても、大抵の場合は狂人とされ責任能力がないということで免責されるからである。創造主の使徒の教えであるイスラームの信仰は、健全な理性を持つなら否定するわけがない、背教するなど狂気の沙汰に他ならない、と考えるわけである。

コメント

がるん @gratiadeiest 2013年9月6日
中田先生への@を外させていただきました.
gryphon(まとめ用RT多) @gryphonjapan 2013年9月6日
「背教は死刑だが、この最高の教えを棄てるというのは狂人だろうから許してやる」を知恵ある寛容だととるか、いや根本的にその死刑規定がおかしい、とするかで評価が変わりそうだ
Halfricesetitsmore @Halfriceset 2013年9月6日
これでは「自由シリア軍」と「ヌスラ」と、一般に報道されてる「反政府派」との違いが判らないですね。ヌスラとしての評価だけで反政府派を扱っていいものかが判らない。
れぐに @LE__GU__NI 2015年9月11日
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れぐに @LE__GU__NI 2015年9月11日
よろしくお願いします
Munchkin @Munchkin_Cat_JP- 2016年4月20日
>政府軍の捕虜は基本的に背教者なので処刑しても少しもおかしくない。
新CMTC @MontyGlycon1 2019年3月13日
無神論者vsイスラム教徒:エジプトのトークショーで大波乱 http://www.iiyamaakari.com/2018/03/vs.html "マフムード・アシュール師は「ムハンマドよ、君には精神科の治療が必要だ」と述べ、司会者も「私は君に、このスタジオから直ちに立ち去り、その足で精神科に直行することをおすすめする」と述べます。" 「大抵の場合は狂人とされ責任能力がないということで免責される」の例ですね。
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