周辺線量当量:H*(10)と、個人線量当量:Hp(10)って何のこと?

・必要な資料等がありましたら追加する予定です。 ・壽藤紀道氏 "今こそ復習!”主任者の基礎知識 第11回 様々な線量   http://www.jrias.or.jp/books/201304_SYUNINSYA_SUDO.pdf
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1048 @tos_1048

Svで表記される線量には実効線量だの等価線量だの線量当量、預託実効線量・・・、確かに複雑。ただ、3・11前はこの手の知識など殆どの方が無縁であったので、複雑で判りにくかったとしても当事者同士で何とか判っていればコト足りたので、そのままにしておいたのかな。

2013-09-07 18:14:04
1048 @tos_1048

ただ、ここに来て多くの方の目に触れるようになり、判りにくさが露呈してしまった、という事か。ただ、今更引き返せないと言う事情もあるのかもしれない。これを意図的に判りにくくしている、とか、意図的に低く出るような操作をしている、というのは当てはならない、と思う。

2013-09-07 18:16:09
1048 @tos_1048

自分なりに気になっているポイントを纏めてみる。備忘録として。参考としたのは長瀬ランダウアの壽藤氏のIsotope News 708, 90, (2013)の記事と今年6月のJRSMでの同氏の発表を聴講した時の私的メモ。

2013-09-07 18:19:57
  • 上図の個人線量計(またはガラズバッジ)には、さらに生活パターンによる減衰量が加わり各人で異なる。
      (一般的には、屋外8h+屋内16h×遮へい効果0.4=0.6)
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)①> 防護量である実効線量や等価線量は直接計測出来ないので放射線防護のためには実用量を代替として用いている。この実用量は外部からの放射線による被曝に対して防護量を超えず、かつ簡単に測定できるように以下の2つ(方向性線量当量は割愛)を定義。

2013-09-07 18:26:29
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)②> 周辺線量当量:ある放射線場に対応する整列・拡張場においてICRU球内の整列場に対向する半径上の深さdにおける線量当量個人線量当量:人体上のある決められた点における深さdでの線量当量。 一般にはd=10mmとしてそれぞれH*(10)、Hp(10)

2013-09-07 18:31:38
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)③> H*(10)はサーベイメータ、Hp(10)は個人線量計にてそれぞれ測定される。測定器の校正方法も異なり前者は空中で(in air)、後者は人体模型に装着して(on phantom)実施。このため後者はファントムの遮蔽やら散乱やらの影響がある。 

2013-09-07 18:35:29
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)④>サーベイメータにしろ個人線量計にしろ、校正時に測定器に照射される量は基準となる線源(137Csのγ線等)からの空気カーマ(Gy単位)。これにGy→Svに変換する換算係数を乗じたものが校正の基準線量。また照射条件はAP。 

2013-09-07 18:40:19
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑤>校正基準場においては(137Csγ線を測定器にAP照射)基準線量をA(mGy)として換算係数を参考(ICRP74)に実効線量、周辺線量当量、個人線量当量はそれぞれ以下の通り(AP照射条件)。 

2013-09-07 18:44:42
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑥> E(AP)=1.017A(mSv)、H*(10)(AP)=1.20A(mSv)、Hp(10)(AP)=1.215A(mSv)。これより実効線量Eに対して、実用量であるHp(10)とH*(10)はいずれも20%程度大きくなっている。 

2013-09-07 18:48:39
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑦> 以上のようにAP照射条件では実用量>防護量が成立しており、実用量で管理する限り防護量を超えないので問題ないのだが、現在の環境のように様々な角度から照射される場合はどうなるのか、これにはROTやISOといった照射条件を考える必要がある。 

2013-09-07 18:52:35
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑧>これらの照射条件においてもICRP74にてSvへの換算係数が示されており、その数値を使うと以下のようになる。E(ROT)=0.816A(mSv)、H*(10)(ROT)=1.20Afs(ROT)(mSv)

2013-09-07 18:58:35
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑨> Hp(10)(ROT)=1.215Afp(ROT)(mSv)。ここでfs(ROT)は基準校正場で校正されたサーベイメータに対してROT場での相対感度。fp(ROT)は同様に基準校正場で校正された個人線量計のROT場での相対感度。

2013-09-07 19:02:33
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑩>相対感度とは結局AP照射条件で校正された測定器がROT場、つまり周囲ぐるりから照射された場合、 にどれくらいの数値を示すか、という比率のこと。ISO照射条件においても同様に考えることが出来て、E(ISO)=0.69A(mSv)、

2013-09-07 19:05:24
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑪> H*(10)(ISO)=1.20Afs(ISO)(mSv)、Hp(10)(ISO)=1.215Afp(ISO)(mSv)。ここでのfs(ISO)やfp(ISO)も先のROTと同様に考えられた相対感度。ここで相対感度をどう見積もれば良いのか。

2013-09-07 19:09:54
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑫> H*(10)測定用のサーベイメータは空気中で校正され、周囲から照射される場での使用を想定しているため、ROTやISOでもAP条件と同じと考えられる。そのためfs(ROT)≒ fs(ISO)≒1とする。この場合、方向による感度差を考慮していない。

2013-09-07 19:41:42
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑬>一方Hp(10)測定用の個人線量計はファントムに装着して校正されるため、ファントム自身の遮蔽効果により、背面からの照射分については低い感度となる。この低減程度について壽藤氏は過去の実測データを基に30%程度としている。つまりAP条件での70%。 

2013-09-07 19:45:07
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑭>以上からfp(ROT)≒ fp(ISO)≒0.7。これらの値を使って先の式を変形すると、H*(10)(ROT)/E(ROT)=1.47、H*(10)(ISO)/E(ISO)=1.74となり、サーベイメータの値はいずれの照射条件においても実用量が大

2013-09-07 19:49:16
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑮>個人線量当量においてもHp(10)(ROT)/E(ROT)=1.04、H*(10)(ISO)/E(ISO)=1.23 となりやはり防護量よりも大きいHp(10)もH*(10)も共に、AP,ISO,ROIいずれの照射条件下でも実効線量よりも大きい

2013-09-07 19:55:40
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑯>但し、ROT場でのHp(10)(ROT)はE(ROT)の4%増しとなり、これらの例の中で最も実効線量との差が小さい。また、ROT、ISOいずれの場においてもH*(10)/Hp(10)=1.41となり、押しなべてサーベイメータの方が高い数値となる。

2013-09-07 19:59:02
1048 @tos_1048

<Hp(10)とH*(10)⑮>以上より大小関係を纏めると照射条件によらず、H*(10)>Hp(10)>Eとなる。但しROT場においてはHp(10)はややEを上回る程度。コトバで表記すると 周辺線量当量個人線量当量実効線量(但し最後の=はROT場)と言えるかな。

2013-09-07 20:03:15