茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1031回「説得と、攻撃」

脳科学者・茂木健一郎さんの9月11日の連続ツイート。 本日は、今朝起きて一番のニュースで思ったこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1031回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝起きて一番のニュースで思ったこと。

2013-09-11 08:00:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(1)今朝起きたら、iPhone 5Sの指紋認証のニュースと並んで、シリアが、大量破壊兵器の放棄などの外交的な交渉の用意があることを表明したというニュースが出ていた。いろいろなことを思い出した。シリア攻撃の裏側だが、ある国際事情通によるとイスラエル・ロビーの存在があるという。

2013-09-11 08:02:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(2)シリア政府が転覆する、というよりも国内が混乱して弱体化することが、なぜイスラエルの利益になるのか。その方によれば、パレスチナ側に支援をしているのがシリアであり、シリアが混乱することでパレスチナも力が弱まり、結果としてイスラエルの利益になるのだという。

2013-09-11 08:03:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(3)しかも、イスラエルには、現在トルコに流入しているような大量の難民が押し寄せるというリスクも、社会的、歴史的要因もあって少ないということで、米国がシリアを攻撃することによって得られるメリットはあっても、比較的リスクはない、というのがその方の見立てであった。

2013-09-11 08:04:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(4)人道的な視点から、という大義名分とは裏腹に、冷徹な戦略性によって動くのが国際政治。いずれにせよ、シリア側に軟化の兆しが出てきたことで、戦争回避の可能性が生まれてきたことは良かったと思う。それにしても、改めて思うことがある。なぜ説得ではなく戦争だったのかということ。

2013-09-11 08:06:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(5)思い起こすのは、イラク戦争。サダム・フセインが大量破壊兵器を持っているという名分で攻撃した。結果として大量破壊兵器はなかったわけだが、その際、なぜ説得、話し合いをしなかったのか。フセイン氏は辣腕な相手だったが、話せばいろいろな譲歩を引き出せたかもしれない。

2013-09-11 08:08:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(6)自分と価値観の違う人間に対して、話し合って意を通じる、というのではなく、最初から話が通じないと決めつけて攻撃する。その文化が、根強くあると思う。映画『The Cove』に抱いた強い違和感も、そこにあった。イルカ漁をする漁師さんたちを、最初から敵だと決めつけて撮っている。

2013-09-11 08:09:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(7)イルカ漁について、ぼくは個人的には反対だし、自分で関わろうとは思わない。一方で、世の中に、それをやりたい、という方がいらした時に、禁止したり反対したりする、という行動までとるかは別である。もし、反対運動をしたいのなら、漁師さんたちと話すのが筋だろう。

2013-09-11 08:11:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(8)The Coveでは、イルカの漁師さんたちはまるで悪魔のように描かれていた。それが、制作者側の認識だったのだろう。間違っている。海岸に座って一緒に酒でも飲めば、子どもや孫を大切にする、気のいい人たちだとわかったはずだ。だから、あの映画は人間的に駄作だと思う。

2013-09-11 08:12:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

せこ(9)問題は、The Coveのような様式化、決めつけが、国際的な舞台では常に起こることだ。シリアのアサド氏を、話の通じない悪魔だと最初から決めつけ、攻撃する。その方が利益になる人たちがいるのだろう。しかしそれは偽善の問題であって、人間の真実はそこにはない。

2013-09-11 08:13:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1031回「説得と、攻撃」でした。

2013-09-11 08:14:03