アンセルム・ライラ『INTO THE VOID』

takashi murakami @takashipom

# Anselm：1 ９月１７日に、今週末から始まるアンセルム・ライ=Anselm Reyle のショウについて 連続ツィートしましたが、思うところがあって、一度削除しました。 今日、彼がはるばるベルリンから来日したので、改めてで、推敲しアップし直します。

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# Anselm：2 いろいろ付け加えたりして長くなりすぎたので、一気に連ツイは無理かもですが、半分ぐらいまで来たので連ツイスタートします。http://t.co/R222kU1uOA まずは、アンセルム本人のステイトメントを読んでください。

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# Anselm：3 アンセルム・ライラのステートメント ＜INTO THE VOIDは、私の日本での初めての展覧会です。これは、村上隆との密なコラボレーションにより作り上げられたものです＞

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# Anselm：4 隆は、私の作品をいくつか所有して くれており、それは私の作品をとても評価しているからだと話してくれました。しかし、残念なことに、私の作品が何であるのかをわかっていない、で きるならば、それを説明してくれないかと言いました。

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# Anselm：5 私はこの単刀直入な質問に動揺し、口ごもってしまいました。驚いたことに、隆はその様子から何かを悟ったようでした。そして、私の作品をとても気 に入っている理由がようやくわかったのだと言いました。

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# Anselm：6 隆の作品と同じように、結局のところ作品の本質は何も無い、「無（Nothingness）」、「空（Void）」というのが作品の意味なのだと 言って、隆はそのことに胸を躍らせていました。

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# Anselm：7 隆は困惑している私に、次の日、是非、伊勢と京都に行き、神社仏閣を訪れるべきだと言いました。そ うすれば、もっとよく理解できるだろう、と＞←引用、ココマデ。

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# Anselm：8 僕は彼の作品のカタログを見た時にピンときたのです。彼は僕の次の世代で、ARTの文脈をもう一レベル軽やかに進化させてくれるだろう、と。

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# Anselm：9 アンセルムライラはドイツ人のコンセプチュアルペインターにして彫刻家。リーマンショック前の90年代後半から湧き上がったARTバブル時末期の若きプリンスでした。

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# Anselm：10 歳は僕より１２歳若い。彼の作品を僕の所属画廊ガゴシアンで観て一目惚れ。紫色のホイルの作品。シリーズの中でも最大級の大きさのものです。

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# Anselm：11 僕が口をぽかんと開けてその作品を見ていると、ガゴシアンのアンセルムの担当者、サム、オロツキーがニコニコしてやってきて「すげえだろ。もう完璧に新しいぜ。捨てるもんは全部捨てて、必要な物は最低限だ。すげえよ、まったく。そうおもわん？」とまくし立ててきました。

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# Anselm：12 24丁目の例の一番有名なチェルシーにある、ガゴシアンギャラリーの入って右手奥。コレクターのヴューイングルームでの会話です。「もう世界中がフリーク・アウトさ。新作の彫刻なんて、もうやばすぎるぜ。頭がバーンアウトだよ」サムは目をくるくる回し絶好調。

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# Anselm：13 そのプレゼンを聞いてたら作家当人にスグにでも会いたくなって、サムにアンセルムの連絡先を聞きました。｢会うのかい？スタジオもクレージーだぜ」ひょえ〜！待てねぇ〜。妄想がグングン膨らみ、頭のなかで爆発してしまい、速攻でベルリンに飛びました。

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# Anselm：14 生まれて初めてのベルリンに到着。古びたビル街。どういうエリアかはわかりませんが、雑然としたレンガ造りの町並みは懐かしい雰囲気のエリア。その一角のビルの２階に彼のスタジオはありました。

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# Anselm：15 入って直ぐに事務所が。雑然としたビルの外観とは打って変わって、整備された大学の教室の様な空間に、真新しいマックのフラットモニターが８〜１０台、整然と並び、スタッフはキッチンのようなところでワイワイ一緒にランチしていました。

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# Anselm：16 入り口の脇には大きい水槽が目線の高さでセッティングされ、淡水の熱帯魚がフワフワと泳ぎ、「うわ、さすが新世代。僕らカイカイキキより先行ってるよ！」それが最初の印象でした。

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# Anselm：17 僕は既にスーパーフラット展で欧米では認知され、ルイヴィトンとのコラボも終え、埼玉県朝霞のプレハブ小屋の中には２０台ほどの最新鋭のコンピューターをセットし、５０人ほどのスタッフと働いていて、そのアンバランスな出で立ちには自信を持っていた時期でした。

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# Anselm：18 「たかし！よく来てくれたね。NYからかい？乗り換え大変だったろう！わざわざ来てくれてありがとう！」掛け値なしの笑顔が緊張をほぐしてくれ、続けざま、スタジオ内のツアーを始めてくれました。

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# Anselm：19 「ココがペィントの実験部屋、ココは素材をプールしてる部屋、ココは素材をアッセンブルする部屋、さっき来た事務所に、みんなでご飯を食べるスペースこれで全部だよ。ははは。狭いだろ」

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# Anselm：20 NYのアーティストのスタジオのように、真っ白な壁があるわけでもなく、作品の完成は平置きのまま、完成像はコンピューターで確認、という無駄のないスタジオの構造。

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#Anselm：21 見たこともないような若者がたむろしているその空間と、製作プロセスへの美学を見て、クラクラと感動してしまいました。凄い、完全なニュースクールだ。全部をコンピューターでシミュレートできている。しかも効率の良さを最優先しているところも素晴らしい。

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#Anselm：22 僕が現代美術の世界に入った頃は、アメリカNYのニューペィンティングが華やかな時期で、SOHOにどでかいスタジオを構えるのがアーティストの象徴のような、そういう時代でした。

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#Anselm：23 なので日本の様な不動産事情で小さな空間しか確保できない若い作家にはデヴューの可能性さえ無いと思っていたところへ、コンピューターの一般社会への流布がスタートし、そこに活路を見出したはじめの世代が僕らでした。

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#Anselm：24 なので、大勢のアシスタント、コンピュータでの作業がメイン、白い壁がない、へのシンパシーが半端無く、共に未来のアートシーンを牽引して行こうぜ、と、なんとなく勇気を共有した気持ちになった。

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アンセルム・ライラ 個展 INTO THE VOID - Kaikai Kiki Gallery - Time Out Tokyo (タイムアウト東京) http://t.co/fN7sHTsnli