「ピクサーが作品を作る際に大事にしているルール」とプロの編集者の解説
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2013-09-19 00:11:01ピクサーが作品を作る際に大事にしている22のルール
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1:キャラクターの成功ではなく試練に立ち向かう心に敬意を払おう
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2:書き手としてではなく観客として面白いものが何かを心がけよう。この二つは違っている可能性がある
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3:テーマを掴むことは大切。けれど一度書き終わらないと本当のテーマは見えない。いったん書き終えてからまた書き直そう。
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4:昔々あるところに○○がありました。日々○○で、ある日○○に、○○によってこうなり、○○によってこうなった。そして最終的に○○となった。
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5:シンプルに、焦点を狭めて、キャラクターを結び付けよう。話は簡潔に。こうすると何か大切なものを見落としてる気持ちに駆られるかもしれないけど束縛からは解放される。
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6:君のキャラクターが得意なことは?心が落ち着くことは?それらと真反対の物をキャラクターに試練として与えて挑戦させよう。キャラクターはそれに対してどう動くだろうか?
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7:物語は中盤より結末を先に考えよう。物語を終わらせるのは骨が折れるから先に片付けてしまおう。
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8:物語を完成させたら完璧でなくともそれで終わらせよう。理想の世界では「完成」と「完璧」を両立できるかもしれないが、それで完成とし次に良いものを作ろう。
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9:スランプに陥ったら次の展開に相応しくない物を箇条書きしたリストを作ろう。大抵の場合はそのリストがきっかけで光が見えてくる。
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10:好きな物語から一歩引こう。好きな物語は自分の血肉となっているのだから、そういう物語にする時は事前にそのことをちゃんと意識しよう。
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11:整理するためにはまず紙に書いてみよう。頭の中に詰まったままでは完璧なアイデアだったとしても他の人と分かち合う事は出来ない。
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12:最初に思いついたものは捨てよう。2番目、3番目、4番目、5番目に思いついたことも。そうすれば進む道がはっきり見えてくる。自分を驚かせよう。
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13:キャラクターに意見を言わせよう。受動的、従順なキャラクターは書き手にとってはありがたいかもしれないが観客はそっぽを向く。
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14:君はなぜ「この」物語を観客に見せたいのか?君の中で燃え盛っている信念は物語にどう生きる?それがこの物語の要だ。
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15:もし自分がそのキャラクターならその状況でどう感じる?正直になることで非現実的な状況に説得力が出てくる。
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16:何が賭けになるのか?そのキャラクターを応援したくなる理由を組み込もう。もしキャラクターが失敗したらどうなるのか?メリットとデメリットを列挙しよう。
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17:無駄な作業は一つもない。上手くいかないのなら次に進もう。それは後々の糧になる。
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18:絶好調の時とスランプの時の自分の違いを理解しなければならない。物語は試行錯誤であり、改善していくことではない。
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19:偶然キャラクターがトラブルに巻き込まれるのは素晴らしい事だが、偶然キャラクターがトラブルを何とかするのはただのご都合主義。
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20:嫌いな映画の構成要素を抜き出そう。それをどう組みかえれば好きな映画になるだろうか?それが練習になる。
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21:状況やキャラクターに感情移入しよう。ただ「すごい」と記述してはならない。そんなとき君はどうする?
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22:君の物語の根幹は何なのか?それを伝える一番簡潔な方法は?これが分かれば物語を構成できる。
ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『1:キャラクターの成功ではなく試練に立ち向かう心に敬意を払おう』 近年の作品に多いのが、主人公が事件に巻き込まれる型。これって、連載物とかだと推理小説の名探偵みたいなもので、話が作りやすい。
2013-09-19 00:23:18ところが、構造的な欠点として、主人公が自分の失敗とか傷とかに立ち向かわないパターンの作品って、熱量不足になりがち。推理小説の場合はそこに知的なゲームとしての謎解き要素が入るので問題ないが、普通の投稿策でコレをやると、ページ数の短さもあって主人公への共感が薄くなってしまいがち。
2013-09-19 00:25:14先のネーム大賞の講評でもしゃべった気がするけれど、自分の過失・罪に対して決着をつける、少なくともケツを拭く覚悟がない主人公が多くて、技術的には高くても評価しづらい作品が多かったです。一話完結のレギュラードラマシリーズならともかく、主人公が立ち向かう話に、作者も立ち向かいましょう。
2013-09-19 00:28:17ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『2:書き手としてではなく観客として面白いものが何かを心がけよう。この二つは違っている可能性がある』 これは一足飛びにやってもダメ。相手が喜ぶだろうと意味不明のプレゼントするキモヲタみたいになる。
2013-09-19 00:30:13まずは自分の好きなモノや面白いと思うモノを軸足とし、人の反応とかを見て感じて、徐々に照準を合わせる訓練が必要。意見をくれる友人は貴重。また、今コレが受けてるからといった発想で、流行を追っても失敗しがち。追ってもいいけれど、その中に自分が面白がれるものを見つけないと、上滑りしがち。
2013-09-19 00:32:57ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『3:テーマを掴むことは大切。けれど一度書き終わらないと本当のテーマは見えない。いったん書き終えてからまた書き直そう。』 テーマは作家自身も気づかない事が多いし、そのほうが面白いことも多いので。
2013-09-19 00:35:24作品作りって、努力したぶん上手くなるわけではなく、ある瞬間に会談のようにポンと上がって、そのまま平衡状態がまた続くってことが多い。尊敬する某先生が新人に贈った言葉「未完の大作をいくら描いても実力は上がらない。失敗作と解っていてもエンドマークを打ちなさい。それが糧になる」は金言。
2013-09-19 00:37:39ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『4:昔々あるところに○○がありました。日々○○で、ある日○○に、○○によってこうなり、○○によってこうなった。そして最終的に○○となった。』 これ、バカにされがちだけど物語の型は大事ですから。
2013-09-19 00:38:48投稿者の作品で、一次審査で落とされるのは、だいたいがこの展開から途中で迷子になってしまって、最後の帰着点がわからなくなってしまうこと。もちろんコレは業界の方にも問題があって、そりゃ何十巻もズルズル続く超長期連載を手本にしたら、一部の才能ある人間以外はそうなってしまうのは確実。
2013-09-19 00:40:25逆に、自分がネーム大賞でこの作品 http://t.co/2Xg31ywFp0 を高く評価したのは、何も起こっていないようで、やっぱりちゃんと作品としての流れができていること。こういうのはセンスで、ハッキリ言えば教えられないタイプの才能だとおもいますよ?
2013-09-19 00:46:34沙村広明先生の『おひっこし』や、石川雅之先生の『週刊石川雅之』に収録されている『フランスの国鳥』とか、ああいう作品は、漫画原作に出来ないんですよ。雰囲気とコマ割りの演出が、作家の内側から出てきたリズムだから、文字でやっても無味乾燥になるので。
2013-09-19 00:51:32ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『5:シンプルに、焦点を狭めて、キャラクターを結び付けよう。話は簡潔に。こうすると何か大切なものを見落としてる気持ちに駆られるかもしれないけど束縛からは解放される。』 これは、トトロが参考になる。
2013-09-19 00:53:09例えば、本来のトトロは、少女たちが不思議な生き物に出会って終わりだったはずの話が、尺の関係でもうちょっと注ぎ足す必要が出てきて、メイの家出が付け加わったとか。つまり、母親というあのままなら影の薄い存在と、主人公の少女二人の気持ちをぶつけることで、話に厚みがましているわけです。
2013-09-19 00:55:49本来、トトロはパンダコパンダと同じ、主人公が異物(マレビト)と出会って楽しかった、という構造の話だけれど、そこにキャラクターを結びつける行為で厚みがました。またこれは、1のルールともけっこう重なる形になっているのに注意しましょう。
2013-09-19 00:57:52ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『6:君のキャラクターが得意なことは?心が落ち着くことは?それらと真反対の物をキャラクターに試練として与えて挑戦させよう。キャラクターはそれに対してどう動くだろうか?』 これは1のルールの具体化。
2013-09-19 00:58:57PIXARの作話法として、主人公の好きなモノを作って、そのリバースとして弱点をつくる、という手法があります。典型例が、ファインディング・ニモ。あの作品の主人公はお父さん。奥さんを失い、他の卵も失ったパパは、ニモが可愛くて可愛くてたまらない。だから同時に、ニモは弱点にもなる。
2013-09-19 01:00:47その大地なニモがさらわれるから、物語になるわけで。そこでお父さんが、「ま、しょうがないか。次の彼女見つけて、新しい卵産ませるぞ!」では、話しにならないわけで。お父さんが困難に立ち向かうからこそ、物語になるのです。トイ・ストーリーのウッディとアンディとバズの関係性も、基本はコレ。
2013-09-19 01:03:08ピクサーが作品を作る時の22のルール http://t.co/eKdfReysNB 『7:物語は中盤より結末を先に考えよう。物語を終わらせるのは骨が折れるから先に片付けてしまおう。』 これは、映画の作話方では、という注釈がつきます。映画は、基本的に結末に向かって集約される構造。
2013-09-19 01:04:23映画評論家の町山智浩さんが指摘されているように、アメリカのソープオペラ(昼メロ)は、物語の結末を決めずに、その場その場の思いつきで展開していく手法。『ツイン・ピークス』とかもこの展開もこのパターン。週刊ジャンプの長期連載にはこのパターンが多いけれど、これはシュルレアリスムの手法。
2013-09-19 01:08:13ある程度、物語をいかようにでも・強引にでも完結される地力がある人間がやる分にはいいけれど、渡航者がやっても才能がないと無理。少なくとも作品作りの鍛錬という側面で言うなら、オーソドックスに完結した作品作りをする、その過程で結末から逆算した作り方をすれば、構成力が付くことも多いです。
2013-09-19 01:11:27ちなみに、小林まこと先生のデビュー投稿作『闘魂三兄弟』も、柔道なのにブレーンバスターで一本勝ちする、というオチから先に浮かんだとか。このアイデアは、代表作『1・2の三四郎』でも使われていますね。落語でも、落ちが重視されるのは、落ちが決まればそれまでが退屈でも、ギュっと締まるので。
2013-09-19 01:13:25