【実話怪談】話の構成がよく練れた怪談は、それが実話であったとしても怖く思えないのはなぜ?【創作怪談】

@azukiglg 以前から疑問に思っていて、最近K(怪談)-1GPを観ていて更に思ったことがあります。わたしなんかだと、変なのが見えても、そこから人に話をするのに物語性(山谷落ち)は全然無いんですよね。話を創る(でっちあげる)のはお手の物ですが、それは実話ではありません。つづく
2010-10-05 13:10:20
@azukiglg (つづき)なので、実話物の怪談を見聞きしたり、K-1などを観ていると、「ああ、(話の構成や演出が)巧いなぁ」と思えば思うほど、実話っぽく思えないって反作用を覚えるんです。「事実は小説より奇なり」なんでしょうけれど、その確率って非常に稀ですし(続く)
2010-10-05 13:14:38
@azukiglg (続き)『怖がらせ屋さん』は、そのあたりどのようにバランスを取っているんでしょうね。あ、K-1って実話系じゃなく創作系や都市伝説系でしたっけ?
2010-10-05 13:17:14
@azukiglg BBゴローさん、初めて観たのは『あらびき団』かなぁ。そろそろ巷の人は「あー、怖い話じゃなくってグルメ紹介だ」とタカをくくっているので、ごくたまに、斬れ味の鋭い怖い話を放り込むとインパクト大でしょうねー。それ(「えっ!?」ってお客さんの反応)がまた笑えると思う♪
2010-10-05 13:20:43
物語に真実味を与えるためだけに「誰か不幸な目に遭って。もしくは誰か死んで」と考えるわたしもいたり。そんなわたしを「ひどーい」と見つめるわたしもいるわけで。誰かが不幸になるのは流石に筋違いなので、思うのなら自分がなればいいと考えるわたしとの三すくみ(笑)。
2010-10-05 13:24:37
@shianmor 僕はあまりテレビ見ない人なのでK-1(怪談のほう)は知らないんですが、「良くできた(構成が練れて、理解しやすい)怪談が実話っぽく聞こえない」というのは理解できます。
2010-10-05 13:39:38
@shianmor 実話怪談については過去にも拙著でちょこちょこ触れてますが、創作怪談、ホラー小説などは「何が前提で何が起きてどういう結末でどういう因果があってどういう後日談がある」というところまで、最初からきっちり設計されています。
2010-10-05 13:40:52
@shianmor 作者の脳内にある着地点に、全ての読者が作者の意図通りに着地するように細かく配慮されているわけですね。一言で言えば「分かりやすい」「誤解の余地がない」という。繰り返し語られた実話怪談は、それが実話であっても創作怪談と同様に「必ず同じところに着地する」ので、
2010-10-05 13:42:04
@shianmor 安全というか安心というか、間違いがない。不安がない。そもそも怪談というのは、読む聞く側が不安を感じる、疑いを感じて確信が揺るぐというところに醍醐味を感じる読み物でもあるので、よくできている=確実に誰もが同じ理解を得るという親切が逆効果になってしまう場合がある。
2010-10-05 13:43:22
@shianmor このへん、文章というものの本来の目的は「誰もが著者と同じ考えを抱くようにする」というものなので、創作怪談こそがその目的に忠実なんですが、それだと実話怪談としての醍醐味とは反発し合ってしまうので、怖さを感じられない人が出てくる。
2010-10-05 13:44:29
@shianmor 僕の解釈では、創作怪談は写実的かつ隙のない写真だとした場合に、実話怪談(の構造)というのは「あちこち足りないピースがある未完成で不完全なパズル」である、と言えると思っています。
2010-10-05 13:45:50
@shianmor 完全な写真はそこに何があるかについて、撮影者がそこにいなくても見る者は理解できます。不完全なパズルはまずバラバラになっているピースを組み立てるところから始めなければならず、しかもピースが足りなかったりします。
2010-10-05 13:46:43
@shianmor その足りない部分をして「完成しないから失敗作」とか「わからないところがあるから失敗作」とは言われないのが実話怪談の不思議なところで、「ここにあるはずだったパーツは何か?」「何がここにあったら怖いか?」を、パズルを組み立てる人や、パズルを見る人が考えるわけです
2010-10-05 13:47:50
@shianmor そこで、パズルを組み立てる人=怪談著者が足りないパーツを自作して埋めれば、パズルは写真と同じように完璧に完成しますけど、不足部分がなくなるということは読者・視聴者は不足部分について自分で想像しなくてもいい、ということになります。
2010-10-05 13:49:08
@shianmor もしくは、足りないピースについて読者が想像していた内容が、作者の想像力を上回った場合、「予想通り、予想を超えないのでつまらない」となってしまいます。足りないピースを足りないままにすることで、読者はそこに「自分が想像しうる最悪」を自由に埋め込めることになります
2010-10-05 13:50:04
@shianmor なので、実話怪談はオチがない、不明瞭なところがあるという、本来の文章作品としては禁じ手な状態、荒削りな状態で、読者に想像の自由度が委ねられるほうが、怖さが増す、怖さを読者が自由に調整できる、ということになります。
2010-10-05 13:51:13
@shianmor 「わからないところをわからないままに残す」つまりオチがなかったり原因がわからないものを解明しなかったり、という【遊び】【隙】を残す、突っ込みどころを敢えて弄らずに放置する、というほうが、読者の疑心暗鬼を助長するので実話怪談読み物としては正しい、ということに。
2010-10-05 13:53:10
@shianmor この場合、実は文章巧者よりも文章が不得手、書き慣れていない人、または語り慣れていない門外漢の話のほうが、怖さが増強されたりします。もちろん、著述語りの素人の話はわかりにくい、読みにくいというデメリットはあります。
2010-10-05 13:55:08
@shianmor が、そのたどたどしさ隙の多さが読み手の想像の余地を増やすことになるわけです。90年代以降の怪談はインタビュアーだけでなくインタビューイをそのまま登場させるスタイルが増えていますが、これも「素人が記憶を辿る様」に、読者毎の解釈の余地を作っているわけですね
2010-10-05 13:56:27
@shianmor 本職ではない語り部に怪談を語って貰うと、本職の人以上に怖く感じられたりすることがあるのも、それと通じるところかもしれません。
2010-10-05 13:56:51
@shianmor また、完成した怪談というのは完成品を手渡して「これを読め」で話が終わってしまいます。「自分も作者と同意見だ」となれば、語り直して劣化させる必要はないからですね。
2010-10-05 13:57:42
@shianmor 一方、実話怪談はピースが足りない状態で商品化され、読んだ人間、聞いた人間が「自分なりの解釈で、足りないピースを埋める」という余地があります。そのため、読んだ人間は自分なりの解釈で足りない部分を補った話を、それを知らない次の人に向かって語り直すわけです。
2010-10-05 13:58:40
@shianmor 「俺はこう思うんだけど、どう思う?」という感じで。そうすると、語られた人もやはり欠損部分に自分の解釈を入れて「自分はこうだと思う」と次の人に回す。でも、原書に回答は載ってないわけですから、正解はどこにもない。そうやって、設問だけが流布していくわけですね。
2010-10-05 13:59:52
@shianmor 完成しきった話より未完成な話のほうが広まりやすいのは、そういう「隙があり、解釈の余地がある」というあたりに真理があるんじゃないかな、とは思います。
2010-10-05 14:00:32
@shianmor ほんで怖い話が求められるのは「自分より不幸な人」という気の毒な人を捜して、自分はまだマシと安堵したいか、自分が酷い目に遭ってるのでもっと酷い目に遭ってる巻き添えを捜したいとか、そういう心理が広まってるときだと思うんですね。平たく言えば不景気なときは怪談が流行る
2010-10-05 14:02:09