大学教員の任期制に関する denzaemon 先生のツイート

日経学会のO先生のプレゼン(下リンク参照)に対しての、denzaemon 先生の大学教員の任期制に関するツイートを中心にまとめました。若手の研究者には非常に参考になると思います。 参考URL:http://www.jeaweb.org/jpn/wp.htm
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伝左衛門 @yumiharizuki12

年俸制って、退職金の積立をやめその分給与として払ってしまうということだよね。退職金を優遇する様々な税措置を考慮すれば、老後、日本で暮らしたいと考える研究者にとってメリットがあるとは思えない。一方、外国人には社会保険料も含めて選択権を与えれば、人材確保の観点から意味があると思う。

2013-09-20 17:27:33
伝左衛門 @yumiharizuki12

日経学会で、討論者なしでエライ先生だけしゃべるセッションで、「大学教員の任期制について」というテーマがあり、質問タイムで、とある国立大無期雇用の女性研究者が彼女の同級生の窮状を(涙ながらに)切々と訴えた。任期付を繰り返すと色がついてしまって、無期雇用されにくくなるとのこと。

2013-09-20 17:53:44
伝左衛門 @yumiharizuki12

国立大学の場合、「全学管理人員」という名の固定的な任期付ポストがあり、無期雇用に戻せない。若手の研究者がすべて任期付で、例えば40歳前には無期雇用されないというルールならよいが、一方、30歳ぐらいで(能力も)運もあって無期雇用されてしまう若手がいるから格差や偏見が生まれる。

2013-09-20 18:01:03
伝左衛門 @yumiharizuki12

一つの案としては、逆年齢制限が考えられる。40歳未満はすべて任期付だが、無期雇用のポストはすべて40歳以上しか応募できないことにすれば、格差は生じない。問題は、こんなことを私学に強制できないことだ。教育重視の私学にとって、このような人事管理は何のメリットもないからだ。

2013-09-20 18:05:02
伝左衛門 @yumiharizuki12

任期制の意味をまじめに考えれば、30代の教員をより競争的な環境に置き研究させることにあるだろう。無期雇用は40歳以上としても30代の研究業績で公正に評価すれば制度として問題はない。しかし、こんな制度、私学は採用しないでしょうね。

2013-09-20 18:13:03
伝左衛門 @yumiharizuki12

40歳以上はつぶしが効きにくいから、40歳以上は無期雇用になって雇用保障もつくというのは理にかなった制度ではないか。最近(?)話題になった「40歳定年制」はこれとは反対の提案であり、あまり合理的でない。

2013-09-20 18:18:05
伝左衛門 @yumiharizuki12

多くの国立大学教員も、30代は私学を中心に転々としていた人が多いと思う。その場合、大学を移るたびに積み立てていた退職金が支払われる。つまり、年俸制は毎年、退職金が支払われるという制度であり、これに対してこれまでの制度は数年分まとめて支払われる、というだけの違いの気がするのだが。

2013-09-20 18:24:47
伝左衛門 @yumiharizuki12

大企業中心に、未だに「40歳ぐらいまでは会社に縛り付け、こき使いたいが、40歳を越えたら使えない社員は捨てたい」という声が強いのでしょう。「40歳定年制」はそういう声を代弁している気がしなくもない。

2013-09-20 18:39:17
KK @hypergiac

@yumiharizuki12 「教育重視の私学にとって、このような人事管理は何のメリットもないからだ。」←もし、宜しければ理由をご教示下さい。

2013-09-20 18:40:51
伝左衛門 @yumiharizuki12

@hypergiac 私学には、国際競争力とか研究業績のプレッシャーが小さいからですよ。それより学生への教育サービスの提供がもっと大事、というのが、自身の経験も踏まえた私学の印象です。

2013-09-20 18:49:19
伝左衛門 @yumiharizuki12

様々な校務(雑用)に献身させるためには、雇用保障が重要なことは言うまでもない。任期付の場合、外で売れるために研究が必要なので、無期雇用に比べて校務へのインセンティブが低下することは言うまでもない。

2013-09-20 18:55:52
伝左衛門 @yumiharizuki12

企業が、有期雇用を無期雇用へのステップストーンとして使うかどうか、定説はない。むしろ、有期雇用から無期雇用への切替はない方がよいという考え方があり、国立大学はだいたいそういう制度。すべて有期で打ち切ることによって、「この人は無期雇用になれなかった人」という逆選択を避けている。

2013-09-20 19:18:43
伝左衛門 @yumiharizuki12

「大学教員の任期制」について学会で話した先生は、有期雇用は無期雇用に転換せずすべて有期で切った方が、切られた人に色が付かず平等に職探しできるからよい、という考え方を説明した。これが「逆選択を防げる」という意味。

2013-09-20 19:21:45
伝左衛門 @yumiharizuki12

アメリカでは、テニュア審査の前に、より上位の大学からテニュア付きオファーをもらうのがいちばん格好よいとみなされますな。まあ、そんなのは限られたごく一部のエリートですが。

2013-09-20 19:25:59
伝左衛門 @yumiharizuki12

アメリカのトップ校の場合、大物がテニュアをもらえないなんてことはざら。昔から挙げられる有名例は、ハーヴァードでMankiwとAbelが争って、Mankiwが残り、Abelは去ったという例。

2013-09-20 19:34:15
伝左衛門 @yumiharizuki12

企業が、有期雇用を無期雇用へのステップストーンとして使うのは、有期から無期へ転換することによっていっそうの献身を引き出せると考えるからである。大学教員の場合、研究能力と、校務や教育への献身はちょっと違う能力なのではないか。

2013-09-20 19:50:04
伝左衛門 @yumiharizuki12

アメリカの場合、一部の研究能力が高い人を高給で雇う一方、教育専門の講師を大量に雇っている。後者も無期雇用だがアメリカは解雇自由なので授業評価によっては解雇されることもある。この構造が大学教育の高コスト化に拍車をかけているという批判があると聞く。

2013-09-20 19:57:14
伝左衛門 @yumiharizuki12

アメリカでは、テニュアを持っている人やテニュア・トラックの人は「ファカルティ」の一員だが、教育専門の講師はそうではない。この階級(差別)構造は、「教育能力と研究能力は違うものである」という考え方に根差しているとは言えないだろうか。

2013-09-20 20:01:56
伝左衛門 @yumiharizuki12

私が昔留学していたところでは、長らく教育専門講師が学部の基本科目のミクロやマクロを教えていたが、「なぜファカルティは教えないんだ?高い授業料払っているのに」という不満が学生と親から出て、4人のファカルティ教員がリレー式に大教室で講義する形式が取り入れられた。結果は惨憺たるもの。

2013-09-20 20:06:42
匿名希望bot @karl_r_popper

@yumiharizuki12 その後、結局どうなったかご存知でしょうか?w

2013-09-20 20:10:57
伝左衛門 @yumiharizuki12

「複数のファカルティ教員がリレー式に大教室で講義する形式」がなぜダメかというと、個性の強いファカルティ教員がそれぞれ好き勝手に自分の担当パートを教えるので、学生が混乱したのである。どうせ大教室なら、一人で教えた方がマシだったろう。いまどういうやり方かは知らない。

2013-09-20 20:11:40
伝左衛門 @yumiharizuki12

@karl_r_popper あなたの方が最近の事情は御存じではないですか。

2013-09-20 20:13:03
伝左衛門 @yumiharizuki12

研究能力の高い教員の方が講義が面白いのは確かだろう。しかし、そういう教員の人数は限られており、大教室の講義にならざるを得ない。それが広く見られるマスプロの背景である。「研究能力の高い教員が少人数講義で」なんてことにしたら大学教育はもっと高コストになる。

2013-09-20 20:18:10
hideshi @go2hitoh

もちろん全部有期で切ることで発生するコストもある.現実的なセカンドベストの解.

2013-09-20 20:35:20
伝左衛門 @yumiharizuki12

「大学教員の任期制」について話した先生は、「なぜ大学教員に無期雇用が必要か」についても説明した。答えは「もし優秀な若手を取るためにベテランがリストラされるとなると、そもそも優秀な若手を取らなくなるから」。これはCarmichael (1988, JPE)という有名論文の結果。

2013-09-20 20:52:10