ネットにはびこる「右翼」と「左翼」の正体

ネットにはびこる「右翼」と「左翼」の正体について論じました。以前に書いた「はだしのゲン」問題の続編ですが、単独でも読めるよう独立して完結しています。
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@yukokumusume

(1)「はだしのゲン」問題は、先の大戦を「日本は悪いことをした」と総括する団体が学校に持ち込んだ本を「日本は良いことをした」と総括する団体が排除しようと試みた政治運動に過ぎず、そこで語られる言論の自由は政治運動の方便に過ぎぬ事を以前に述べた。この「政治運動」の正体を明らかにする。

2013-09-26 20:32:29
@yukokumusume

(2)あらゆる政治問題を「右翼」と「左翼」に分けて敵か味方かで判断し党派的結論に持ち込む為の綱引きを始めるこの政治運動の正体は「閥」である。派閥、閨閥、門閥、学閥の「閥」である。「閥」とはなにか。 それはなんらかの既得の属性によって結合して相互に保護・援助しあう集団のことである。

2013-09-26 20:34:35
@yukokumusume

(3)閥は公的な主義・主張、あるいは目的をもって結合した集団ではなく、私的な利益を優先させるために結ばれた集団である。したがって、閥は外部に対しては閉鎖的・排他的であり、内部的には強固な結合を求められ、親分子分関係的な位階秩序を形成しがちである。

2013-09-26 20:36:28
@yukokumusume

(4)閥は私的集団にもかかわらず、公的な場においてその利益を優先的に拡張しようとして社会的な弊害を引き起こす。(「世界大百科辞典」第二版)

2013-09-26 20:36:53
@yukokumusume

(5)「閥」の思考は通常の思考とは逆の順序でなされる。閥はまず最初に結論を決める。自分たちにより有利でより利益をもたらす結論をまず最初に決めるのである。結論を決めたら次にその結論を導き出す為の論理を思考し、そして最後にその論理に合わせて論拠となる事実を取捨選択するのである。

2013-09-26 20:42:39
@yukokumusume

(6)これは閥に見られる共通の特徴である。例えば企業の派閥も同じ思考をする。日本の家電メーカーは伝統的にテレビ事業部出身者が派閥を形成して経営を支配する傾向がある。本来は全事業を司る立場の経営層が「21世紀もテレビは家電の花形商品」という結論を望む。これが家電敗退の深因となった。

2013-09-26 21:06:20
@yukokumusume

(7)複数の日本メーカーが薄型テレビに巨額の投資を続け、地デジ特需終了と同時に経営危機に陥った。端から見れば「なぜこんな当たり前のことが予想できなかったのか。馬鹿なのか」と不思議に思う話である。しかしテレビ事業の派閥にとっては不要な投資も撤退の判断遅れも甘い蜜の味わいとなる。

2013-09-26 21:15:36
@yukokumusume

(8)このように「閥」の論理で物事が決まる世界では一握りの者が僅かな利益を得ることと引き換えに組織全体が遥かに大きな代償を支払うことが起きる。その代償は時には組織全体の命さえ奪う。しかしながら、「閥」が支配する世界には、それよりもさらに恐ろしいことが待ちかまえているのだ。

2013-09-26 21:18:53
@yukokumusume

(9)「閥」が支配する世界は「閥にとって有利か不利か」で物事が決まる世界である。同じ出来事でも「味方か敵か」で結論が変わる世界であり、その時々の結論に応じて理屈が後からついてくる。拠り所にすべき不変の判断基準、価値観、哲学が意味を失い最後は消失する。これが閥の本当の怖さである。

2013-09-26 21:27:15
@yukokumusume

(10)それがどれほど恐ろしいことかといえば「鳩山首相や菅首相や安倍首相を駅頭で射殺すればテロリストですが、それはあくまで一面的なモノの見方です。世の中には英雄や義士として尊敬する立場もあることを学びましょう」と公立中学校で教えることに恐怖感を感じなくなるほど恐ろしいことなのだ。

2013-09-26 21:53:28
@yukokumusume

(11)安重根を「日本の侵略に対するわが民族の強い独立精神をよく表した」という韓国側の解説を添えて日本の歴史教科書に載せて「日本では暗殺者とされているが韓国では民族的英雄」と書いた出版社がある。「立場が変われば物の見方も変わるということを考えてもらいたかった」のだと出版社はいう。

2013-09-26 22:21:33
@yukokumusume

(12)「テロであっても立場が変われば評価は変わる」。この教科書でそれを学んだ中学生はいずれ『赤報隊』に関しても同じ論理で「反日朝日の売国奴に対する日本民族の強い抗議の意思をよく表した」と言い出したり「朝日にとっては言論テロでも愛国者にとっては民族的英雄だ」と言い出すことだろう。

2013-09-26 22:22:15
@yukokumusume

(13)安重根を日本の歴史教科書で肯定的に取り上げることの是非は、他の類似のテーマ、例えば朝鮮通信使の絵巻を載せるべきかという類の話とは、まったくもつ意味が異なる。それは、政治目的達成のためには総理大臣を暗殺する行為も価値相対主義の名の下に肯定するという重大な決断を含むからだ。

2013-09-26 22:39:33
@yukokumusume

(14)日本の歴史教科書に安重根を肯定的に掲載する問題は、近代国家日本が、たとえ間接的な方法であれ、政治目的での総理大臣暗殺をひとつの選択肢として国民に示唆すべきかという、極めて重大な問題なのである。にもかかわらず、そのことに気付けないのが「閥」の思考方法の真の恐怖なのである。

2013-09-26 22:52:27
@yukokumusume

(15)「閥」の思考は実にお気楽にこの問題を解決する。まず「安重根は義士。二・二六事件や五・一五事件は民主主義を脅かすテロ。赤報隊は言論の自由を脅かすテロ」という結論を決める。あとは「安重根とその他は違う」と主張するための論理、例えば「時代背景も首謀者も異なる」を唱えて終了だ。

2013-09-26 23:14:00
@yukokumusume

(16)そもそも安重根がこれだけ日本の教科書に登場するようになったのも、韓国が安重根を推し始めたからである。韓国が推せば推し、韓国が敲けば敲く月下の門。仮に韓国の歴史観がさらに北朝鮮化して安重根は英雄ではなく金日成こそ英雄ということになれば日本だけ安重根にこだわる理由は無かろう。

2013-09-26 23:29:04
@yukokumusume

(17)日本の歴史教科書に安重根のカラー写真を掲載しても、義士だ志士だと褒め称えても、アジアに平和は訪れない。実際に訪れるのは「テロリストも立場が変われば英雄だ」と叫ぶ日本人がマジョリティと化した日本である。それはそうだろう。閥の屁理屈は教科書を読む中学生には届かないのだから。

2013-09-26 23:49:25