@HASSANKONAKATA 先生によるイラン大勝利の解説

イランが粘り腰外交の末に手に入れた物とは?同時にスンナ派がなぜ伸びなかったのかについて先生の解説。
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中田考 @HASSANKONAKATA

【イランの一人勝ち】過去30年の中東情勢を大局的に振り返ると、イラン(シーア派)の一人勝ち、とも言いいうる状況に収斂しつつあるように見える @i_jijicom_inp 核問題の外交解決で一致=米、イラン首脳が電話会談−1979年以来初http://t.co/JlzqAu6t0P

2013-09-28 09:02:03
中田考 @HASSANKONAKATA

過去40年の中東情勢の最大の変化は(1)イスラーム革命によるイランの世俗ペルシャ国家からのシーア派宗教国家への転換、(2)米侵攻による「棚ぼた」のイラクの世俗バアス国家からのシーア派主導国家への転換、(3)世俗主義の牙城トルコの漸進的(スンナ派)イスラーム化であろう。

2013-09-28 09:12:38
中田考 @HASSANKONAKATA

イラン・イスラーム共和国の成立は、シーア派イスラームが、領域国民国家システムの中で認知された聖域「領域国民国家・イラン」を手に入れた、という意味で画期的な出来事であった。

2013-09-28 09:19:19
中田考 @HASSANKONAKATA

イランは、自国内の大使館の占領(の黙認)という、領域国民国家システムの外交のタブーを犯しながら、驚異的な粘り腰外交で国際社会からの認知を取り付け、領域国民国家システムの基軸米国に対し謝罪せず、国交断絶のまま突っ張り続けて、遂に米国との対等なオバマーローハニ会談にこぎつけた。

2013-09-28 09:26:40
中田考 @HASSANKONAKATA

(イランにおいては大統領は元首ではなく、元首は最高指導者であり、大統領は「強い」大統領制をとる国の首相クラスでしかないプロトコルオーダーを考え合わせると、副大統領や国務長官でなく、いきなりオバマが登場したオバマーローハニ会談は、信じ難いイランの外交的大勝利)

2013-09-28 09:34:23
中田考 @HASSANKONAKATA

しかもイランはその間に、ブッシュ親子の愚行により、政治軍事的に最大の敵、脅威であった隣国のスンナ派世俗主義のサダム・フセイン政権を自ら戦わずして取り除き、棚ぼたでイラクを手に入れシーア派の棚ぼた「傀儡政権」を樹立し「属国化」した。米は利権も殆ど得られず軍の撤退を余儀なくされた。

2013-09-28 09:44:14
中田考 @HASSANKONAKATA

(残ったのは巨大大使館だけである。但しイスラエルはクルド自治区に強固な橋頭堡を築き、アケメネス朝ペルシャ以来のバビロン・コネクションを再興し、エジプトの大河からユーフラテスまでの大イスラエルへの足掛かりを得た)

2013-09-28 09:48:21
中田考 @HASSANKONAKATA

イラン・イラク戦争時には、イランとシリアは共通の敵イラクのサダム・フセイン政権と戦うため戦略的互恵的同盟を結んでいたが、したたかな父ハーフィズの死後バッシャールの下で力のバランスがイランに大きく傾いていたのがシリア内戦で決定的になり、イランはヒズブラを使いシリアを保護国化した。

2013-09-28 09:55:42
中田考 @HASSANKONAKATA

一方で「国際社会」が気づかない間にイランはアフガニスタンにも浸透しつつある。イランはシーア派ペルシャ語話者のハザラとペルシャ語話者タジク(スンナ派)を介してシーア派だけでなく、教育、マスメディア(新聞、テレビ)に圧倒的影響力を確立している。

2013-09-28 10:23:34
中田考 @HASSANKONAKATA

注目すべきは、イランがリークしたイランで開催されたイスラーム連帯国際会議へのタリバンの参加である。これは、パキスタンによる虐待、サウジアラビアなどスンナ派アラブ諸国(カタルを唯一の例外とする)による冷遇に失望したタリバンがイランに接近しつつある兆候とも介しうる。

2013-09-28 10:29:37
中田考 @HASSANKONAKATA

(米国はイラクと同様に巨大大使館だけを得、アフガニスタンはイランのヘゲモニーの下に、中国、ロシア、インドの草刈り場になる。なぜ、米国がそんな愚考を、と訝しむとすればブッシュが米国の国益の為に侵攻したとの誤解があるから。彼は自己の取り巻き企業の私益の為侵攻しもう十分儲けたのだ。)

2013-09-28 10:43:14
中田考 @HASSANKONAKATA

以上の概観からも、この40年の中東情勢の変化の中で、シーア派イランの影響力の伸張が如何に巨大なものであったかが、理解できよう。一方でスンナ派世界で目に付く動きは、オスマン朝カリフ制を滅ぼしたスンナ派イスラームの敵世俗主義ケマリストの牙城トルコのイスラーム回帰潮流ぐらいしかない。

2013-09-28 10:51:53
中田考 @HASSANKONAKATA

スンナ派がシーア派の伸張にヒステリックな反応を示すのは筋違い。それは、手に入れた「領域国民国家・イラン」を「手段」としてシーア派が領域国民国家の枠組みを超えてシーア派の考えるイスラームの発展のため努力してきたのに対してスンナ派が国別の私益利権の維持に汲々とし統一努力を怠ったから。

2013-09-28 11:15:05
中田考 @HASSANKONAKATA

つまりは、スンナ派がカリフ制再興のために闘ってこなかったからであり、自業自得に他ならない。

2013-09-28 11:16:55