彼女はAC(アダルトチルドレン) 人格はどう形成されるのか

アダルトチルドレン(AC)を自認していた「彼女」について。
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倉沢 繭樹 @mayuqix
 僕は大学時代、授業には出ず、アルバイトだけしていた時期があった。一昔前なら「スチューデント・アパシー(学生無気力症)」と呼ばれたような状態だ。その経験から、ひきこもり問題に関心を持ち、いくつかの支援団体に関わり、支援者や専門家の講演会やイベントにも参加するようになった。
倉沢 繭樹 @mayuqix
精神科医の斎藤環先生の講演会に行ったこともあった。より専門的な知識を身につけて支援をしたい、と思い、心理学も勉強し始めた。NPOが開く心理学の講座にも通った。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 その講座で、ある女性に出会った。僕より年上だが、話してみると、幼い印象を受けるひとだった。座学だけではなく、ワークショップも行う講座だったが、彼女(以下、Sさん)は講師の先生に、自分で自分の感情がよくわからない、と訴えていた。あるとき、僕はSさんに声をかけ、映画を観に行った。
倉沢 繭樹 @mayuqix
それから、時々彼女と会うようになった。Sさんの家庭環境を聞いてみると、なぜ彼女は自分の感情がわからないのか、幼い印象を与えるのかがわかった。Sさんの父親はアルコール依存症だった。しかし、祖父母も母親も、父親を強く責めたり、積極的に治したりしようとはせず、
倉沢 繭樹 @mayuqix
波風立てずに耐えることで「普通の生活」を維持しようとした。父親を刺激しないように、張り詰めた生活が続いた。父親が粗暴な振る舞いをすると、彼女が祖父母や母親から叱責されることもあった。彼女は自分の思っていることを、家族に言えなくなっていった。
倉沢 繭樹 @mayuqix
彼女がある程度成長した後、母親は離婚し、彼女とふたりで暮らすようになった。僕はSさんからその話を打ち明けられたとき、泣いた。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 Sさんは、父親、そしてその父親を抱え込んだ家族システムの影響を受けていた。Sさんは神経質だった。食事に行ったとき、店内の煙草の臭いがイヤだ、といって、店を変えたことがあった。僕も煙草を吸わないので、臭いは気になる方だが、やや首をかしげた。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 Sさんの誕生日に、ペンダントを贈ったことがあった。つけてあげようとすると、彼女はひどく嫌がった。彼女は手をつなぐことも嫌がった。身体的接触を忌避しているようだった。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 Sさんは小動物が好きだった。特にウサギが好きだった。友達が飼っているウサギの可愛らしさを嬉しそうに語っていた。ペットショップにウサギを見に行ったこともあった。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 彼女も自分の性格や行動の「おかしさ」に気づいていた。本を読んで勉強し、出した結論が「私はアダルトチルドレン(AC)なんだ」であった。彼女が読んだ本には、アルコール依存症者を抱える家族の子どもはACになりやすい、と書いてあったそうだ。僕も一応、彼女のその自己認識を受け入れた。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 僕は何かSさんの力になりたいと思った。彼女も自分を知り、変えたくて心理学を学んでいるようだった。力になる、といっても、「生兵法は怪我の元」。まだまだ初学者である自分にできることは、河合隼雄的に言えば「懸命に聴くこと」だけだと思った。彼女の話に耳を傾けた。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 心の働きや行動特徴の個人差が、どの程度遺伝的か、という問題は、行動遺伝学的に検討されてきた。行動遺伝学的方法には、遺伝的に等しい個体が異なった環境に置かれた場合の行動を比較するものや、遺伝的に特殊な個体が環境によってどのように表現型を変えるかを調べるものなどがあり、
倉沢 繭樹 @mayuqix
前者の代表的なものが、双生児研究法である。双生児研究法とは、一卵性双生児のペアの間の類似度や二卵性双生児のペアの間の類似度をもとに、遺伝的規定性の強弱を知ろうというものだ。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 われわれの行動特徴の多くは、ひとつの遺伝子ではなく、複数の遺伝子(ポリジーン)によって生み出されると考えられる。ある行動特徴を生み出す遺伝子を多く持っていれば、その個人はその行動特徴を強く持つことになる。この考えに基づけば、
倉沢 繭樹 @mayuqix
個人差はその行動特徴を生み出す遺伝子の数で捉えられることになる。このように、ひとつひとつの遺伝子の効果が加算的に表れる場合、そのような効果を相加的遺伝効果と呼ぶ。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 行動遺伝学では、行動特徴の類似を見るとき、比較する人々の遺伝的類似度を手がかりにする。例えば、二卵性双生児の遺伝子共有率は平均で50%、一卵性双生児では100%だということを利用する。もし双生児の類似が相加的遺伝効果によるなら、
倉沢 繭樹 @mayuqix
一卵性と二卵性双生児間の類似の程度は2対1になるはずだ。もし比率がもっと小さくなるものがあるなら、遺伝の効果以上に2人を似せるような働きがあると判断される。それは普通、環境の効果だと考えられる(共有環境効果)。
倉沢 繭樹 @mayuqix
逆に、比率がもっと大きくなる場合には、加算的でない遺伝の効果があると考えられる(非相加的遺伝効果)。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 ところで、類似の程度は、一卵性双生児でも100%にならないことが一般的だ。これは、相加的遺伝効果や共有環境効果のほかに、それぞれを似せないようにするような環境効果があることを示す(非共有環境効果)。
倉沢 繭樹 @mayuqix
行動遺伝学では、ある行動特徴の個人差は、遺伝効果+共有環境効果+非共有環境効果として捉える。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 人格特性として様々なものが提起されているが、最も基本的だとされるものに、外向性と神経症傾向がある。宗教性や創造性にはあまり遺伝的影響は見られないが、外向性と神経質では知能や学業成績とともに遺伝による影響が強く見られる。
倉沢 繭樹 @mayuqix
「心理的形質の遺伝率と共有環境、非共有環境の影響」(安藤、2000)によれば、宗教性=10%(遺伝率)+62%(共有環境)+28%(非共有環境)、創造性=22+39+39、知能=52+34+14、学業成績=38+31+31、外向性=49+2+49、
倉沢 繭樹 @mayuqix
神経質=41+7+52、となっている。
倉沢 繭樹 @mayuqix
 ちなみに、神経症傾向に遺伝要因が絡んでいることは双生児研究から明らかだが、遺伝子に関する研究から、神経症傾向と神経伝達物質、セロトニンのトランスポーター遺伝子との間に関連があることが示唆されている。
倉沢 繭樹 @mayuqix
日本人には、不安傾向の強さと関連するとされるセロトニントランスポーター遺伝子の配列タイプを持つひとが非常に多いことがわかっている。また、日本人には、新奇性を求める傾向と関連するとされるドーパミン受容体遺伝子の配列を持つひとがほとんどいないこともわかっている。
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コメント

ぷるぷる次郎 @purpurjiro 2013年9月30日
『>「私はアダルトチルドレン(AC:オトナに見えるコドモ)なんだ」』って、さすがにACという概念に関して勉強しなおした方がいいと思う。wikiですら語の発祥が「Adult Children of Alcoholics(アルコール依存症の親の元で育ち、成人した人々)」と正しい事を書いているんだから。
ぷるぷる次郎 @purpurjiro 2013年9月30日
あーただ、「オトナに見えるコドモ」という認知が倉沢さんのものでなく、S女史のものであれば前言は撤回しますが。
倉沢 繭樹 @mayuqix 2013年9月30日
「AC(アダルトチルドレン)」は、いわゆる学術用語ではないと思っています。「機能不全家族のもとで育った子ども」という広い意味で考えています。斎藤環氏が「ひきこもり」をそう呼んだ意味で「状態像」だと見なしています。
ぷるぷる次郎 @purpurjiro 2013年9月30日
mayuqix その理解と私の理解はおおむね齟齬がないのですが、だとしたらやはり「AC:オトナに見えるコドモ」はS女史の認知なんですか?
倉沢 繭樹 @mayuqix 2013年9月30日
「オトナに見えるコドモ」という解釈は、正確には誤用なのかもしれませんね。人格特性の「幼児性」に注目して、そう表現しました。本来含意されていない意味用法ですね。すみません。
倉沢 繭樹 @mayuqix 2013年9月30日
「オトナに見えるコドモ」という認知は、Sさん自身のものであり、僕のものでもあります。なぜ、その点に拘泥されるのでしょう。
和木 慎一郎 @WakiShinichiro 2013年9月30日
"彼女が今、どうしているのかは知らない。ウサギのように生きているのかもしれない。" ↑特にこの最後の表現とかゾッとした。 こんなおぞましい「宮台的」なクズ男に観察と心理療法もどきされる人は本当に災難だと思う。
倉沢 繭樹 @mayuqix 2013年9月30日
宮台真司「『自分は他人を癒したいから、心理学がやりたいんです』という輩に限って、たいてい『お前は人を癒すことで、結局自分が癒されたいんだろう』とツッコミを入れたくなるような、エゴイズムのにおいを漂わせているわけです」。
ぷるぷる次郎 @purpurjiro 2013年9月30日
mayuqix『 「●×さんはオトナに見えるコドモ」のように見える』なら何も問題ないのですが「AC:オトナに見えるコドモ」は誤用ですよね。つーか、AC概念が斉藤学氏らによって導入された後、一時ACブームとゆうような状態がありました。その時に良く見られた誤用がまさに「AC:オトナに見えるコドモ(またはコドモっぽい大人、大人になりきれない子供)」だったわけです。
ぷるぷる次郎 @purpurjiro 2013年9月30日
その誤用が未だに、かつ、心理学を勉強していたり、それを自覚する本人などがしているのに、少しショックを受けたので、そのあたりの誤用が何処に端を発しているのか知りたかったのでいろいろ聞いてみました。
ぷるぷる次郎 @purpurjiro 2013年9月30日
ちなみに、ACの人は色々な症状(と言っていいのかわからんが)を発しますので、むしろ若いのに猛烈に大人びていたりする場合もあります。もちろん「コドモっぽい」とか「年齢よりも妙に若く見える」とかいうのもあるのですが。
ぷるぷる次郎 @purpurjiro 2013年9月30日
なんで、AC=●× と書くのならやっぱり「子供時代をアルコール依存症などのアディクションのある家庭(あるいは機能不全家庭)で育った大人」に沿った記述でないと本質を外すことになるように思います。
倉沢 繭樹 @mayuqix 2013年9月30日
ご指摘ありがとうございます。おっしゃる通りだと思います。
クエンチ @tracanqqq 2013年10月1日
上のコメントにもあるように、「観察と心理療法もどき」にSさんへの恋愛感情が強く重なっているのが気になった。 まあそこから始まったんだろうが。(笑)
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