茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1052回「世界滅亡話の、魅力」

脳科学者・茂木健一郎さんの10月2日の連続ツイート。 本日は、今朝、自作のカフェオレを飲みながら思ったこと。
3
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1052回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝、自作のカフェオレを飲みながら思ったこと。

2013-10-02 07:10:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(1)昨日、ツイッターのトレンドで、Ronald Bard @ronniebard という「超能力者(psychic)」が、「次の24時間で日本が重大な危機に陥る」みたいなツイートをしている、ということを知った。それで、さっそくこのアカウント、フォローした。

2013-10-02 07:12:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(2)そしたら、案の定というか「外れた」みたいで、彼のアカウントは、殺到した批判、懐疑論に対する言い訳、反論みたいな感じのTLになっている。そのやりとりを見ていてわかるのは、人間的にはいい人で、日本に何回か来たことがあるということ、それから軍隊の経験があるということ。

2013-10-02 07:14:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(3)つまりロナルド・バードさんの今回の「予言」については、軍隊経験があり、日本に何回も旅して慣れ親しんでいて、一方で北朝鮮の動きがあって、そのあたりの連想から「そんな感じがした」ということだろう。そこまでは、よくわかる。「そんな感じがする」ことは、普通の人でもよくあるから。

2013-10-02 07:15:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(4)それにしても面白いと思うのは、人間は、世界が滅亡する、みたいな話が好きだということである。私が小学校の頃から、ほとんど定期便みたいな感じで、どこかで誰かが世界滅亡の予言をした、それは何日の何時頃だ、みたいな話が広まった。そして、何も起こらなかった。

2013-10-02 07:16:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(5)人間が世界滅亡の話が好きなのは、それに適応的な意味があるからだと考えられる。台風が来る前にわくわくするのと同じで、何それ、どうなっちゃうの、といろいろと思い巡らすことで、未来の不確実性に柔軟に対応する準備ができる。さまざまなケースを想定することができるのである。

2013-10-02 07:18:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(6)感情的には、一種の「ワクチン」のような作用をもたらすとも考えられる。実際に危機的な状況になった時、不安や恐怖に支配されてしまっては、迅速な反応ができない。だから、シミュレーションや想像で、一度「終末論」にさらされておくことで、いざという時の感情反応が強靱になる。

2013-10-02 07:20:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(7)このような逆境に対するシミュレーション、感情ワクチンといった作用は、あらゆるフィクションに共通の御利益である。そのフィクションに「もっともらしさ」が加わると、より効果が増す。今回のように、「フォーブスに取り上げられた超能力者」という触れ込みが、「もっとらしさ」の装置だ。

2013-10-02 07:21:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(8)アメリカの、有名な超能力者が、日本に危機が迫っていると「予言」している。フィクションに「もっとらしさ」という迫真性が加わることで、シミュレーションや感情ワクチンの効果がより増す。最終的には外れるとわかっていても、いったんは「その気」にならないと、効果がない。

2013-10-02 07:22:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

せみ(9)日本の未来に、良い意味での「不確実性」が増していることも、このような終末論が「ヒット」する条件。近隣諸国との緊張感の一方で、オリンピック開催決定もあり、また消費税やTPPの問題もある。日本は確かに変化の時を迎えており、終末論のワクチンが効きやすい状況にあるかもしれない。

2013-10-02 07:24:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1052回「世界滅亡話の、魅力」でした。

2013-10-02 07:24:56