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NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
【グッド・タイムズ・アー・ソー・ハード・トゥ・ファインド】#5
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「ご対面!イッヒヒヒヒ!ご対面だ!」フィルギアはシャベルを投げ捨て、土の下から現れたカンオケに、嬉々として屈み込んだ。「こいつはちょっとしたスリラーだな!」ニンジャスレイヤーは引き続き周囲をカラテ警戒している。フィルギアはカンオケの蓋に手をかけ、開く……。 1
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ニンジャスレイヤーは眉根を寄せた。「あれ?」フィルギアは訝しんだ。「空っぽだな」「うむ」「ワーオ!それじゃ死体はどこ行った?腐って溶けちまったか?ゾンビーになっちまった?……なあ、どうしたもんだと思うね?」「初めから中身無しか。あるいは、抜け出たか」「で、また土を被せたって?」2
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フィルギアは両手の土を払いながら、「ヒヒヒ!カンオケの中で爆発四散したってのはどうだ?ワンダフルな死に様だ。それにしちゃ中が綺麗だけど」「警備員の話が確かならば、校長が駆けつけた彼らに命じ、ディテクティヴ=サンの死体をカンオケに入れさせた……ここまでは確かな事実であるようだ」3
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「で、話が戻る。中で死体が動いて、内側からカンオケを……アー」フィルギアはカンオケの蓋の止め具に注目した。「ブッ壊れてる」「……!」ニンジャスレイヤーはその時、弾かれたように振り返り、木々の向こうを見た。「ア?どうした?また音か?これをほったらかして離れるのはマズイって!」4
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「止め具が壊れている?」「じゃあ、まあ、仮説で進めようぜ」とフィルギア、既に彼はシャベルを拾い、再び土を被せ始めた。ニンジャスレイヤーも自身のシャベルを取り、彼を手伝い始めた。事後即離れるべし。フィルギアは続ける。「中から探偵は棺桶を破壊し、土ごとふっ飛ばして外へ、ヒヒヒ」5
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「ニンジャ腕力だ」「……ニンジャ腕力だな」フィルギアは真顔で答えた。「止め具の破損はその為っていう仮説。カンオケも歪んでたかも。よくわからねえけど。で、ゾンビーになった探偵は、山を降りて、幸せに暮らしましたとさ」ニンジャスレイヤーは後半部を無視し、「敷地内に残り、何を」 6
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「探しものかな……ゴーストの怨念めいた執着かも」フィルギアは被せた土を上から踏み固めながら呟いた。「推理を続けている」ニンジャスレイヤーは言った。「仮に彼が生きているのならば、まだ捜査を放棄する時ではあるまい」「アンタがそう言うなら、そうなんじゃない」とフィルギア。 7
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「じきに一雨来て、誤魔化してくれるだろ」彼は埋め直した跡を見下ろした。「警備員のお兄さんもう一回搾るか?」「彼の知っている事は限られている。引き出せる情報は引き出した」ニンジャスレイヤーは考えながら、「そも、ディテクティヴ=サンの請けた依頼とは何だ?キョートの動きと言ったな?」8
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「知ってたら詳しく話してるさ。ざっと伝えた通りだよ……キョートの政府筋とあの探偵が接触して、そンで、ネオサイタマに、この学園に来たッて事」「仮説はないか」「頭が爆発しちまうよ」フィルギアは首を振った。「ここの校長は名士さんだからさ……キョート政府が何か働きかけたかったのかも」9
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ザイバツ・シャドーギルドとオムラ・インダストリが引き起こした大規模破壊以降、キョート共和国政府と日本政府の間には、冷戦じみた緊張が生まれている。政府間の暗闘の末端でディテクティヴが動いている可能性は十分にある。何らかのスキャンダルの種があるのか?どのみちまだ結論は出せない。10
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「要は探偵に直接訊きゃいいって事」フィルギアは先日と同じ意見を述べた。実際、それしかない。学園内に潜んでいると思しき彼とコンタクトを取らねばならない。「しかし」ニンジャスレイヤーは言った。「彼が己自身を助けられるなら、私はお前と取引を行う必要がなくなるな」「今更そりゃないぜ」11
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フィルギアはやや食い下がるように、「だいたい、まだ何もわかっちゃいない。アンタ自身にとって、それから探偵にとって、最善の動きをアンタがする為には、アンタがここへ来ている必要があったんだ。俺の商店は返品不可、ワカル……」「言ってみただけだ」ニンジャスレイヤーは歩き出した。 12
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危なかった!危なかった、危なかった!自室に戻ったキカはフートンを被って、奥歯を噛み締め、じっと武者震いをしていた。あの直後、校長室のドアノブがガチャガチャと動かされる音が、ベランダのキカの耳に飛び込んできた。そのすぐ後、外の廊下で「アイエエエ!」という悲鳴がした。ノータイム。14
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キカはベランダの手すりを乗り越え、外壁伝いに、二階、一階、そして地面へと、梁や窓枠を利用しながら脱出した。カジバチカラめいた極限のアクションである。だが彼女は自分がそれを成し遂げた事を意外には思わなかった。残念だったのは、土を掘る者達をそれ以上確かめられなかった事だ。15
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キカが一も二もなく自室へ戻った時、既に寮内はちょっとした騒ぎになっていた。キカは自分の事かと考え、やや焦った。だがキカの事ではなかった。いや、キカの事ではあったが、キカの事として問題になってはいなかった。かねてより学園内を騒がせていた怪人がまたも目撃されたのだ。 16
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その者はあろうことか不在中の校長室への侵入を試みたのだ。侵入の瞬間を廊下で目撃した清掃員はその怪人によって暴力を振るわれ、気絶させられた。怪人は扉を破壊して校長室へ侵入、部屋を荒らしたのち、窓を破って飛び降り、逃走した。駆けつけた警備員達は部屋の状況からそう推測した。 17
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ここ最近の騒ぎはあくまで目撃情報ベースであったが、ここへ来てはっきりと、現実の破壊行為の証拠が示された。学園は騒然となった。サモダ女史は警備員を伴って部屋をまわり、ヨタモノを呼び込み匿う狼藉者がないか確認するとともに、注意を促した。その夜はずっと巡回の物音がうるさく聴こえた。18
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キカはその夜ずっと、戦利品のファイルをきつく抱いていた。……「キカ=サン。まだ起きてる」闇の中で、下のベッドのユマナが名を呼んだ。キカはそのまま寝たフリをしようかとも考えたが、ルームメイトの声音にいつもと違うアトモスフィアを読み取り、返事をした。「うん。何」 19
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「あのね……私ね」「うん」「今日、急にヤヨイ=サンに話しかけられて」「……」キカは少し身を起こした。「何かされた?」「ええとね」ユマナは躊躇いがちに打ち明けた。「話しかけられただけじゃなく、私、誘われた。ナカヨシに」彼女の声は喜びを隠せていなかった。「ねえ、こんな事って……」20
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「そうなんだ」自分でも驚くほど冷ややかな声が出てしまった。幸いユマナは聞き咎めなかった。彼女は続けた。「私の事なんて、あの人には石や草と同じだと思っていたのに。でも、ヤヨイ=サン本人が私にね、最近すごく素敵だって……自慢したいわけじゃない。こんな事言われるなんて思わなくて」21
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「ナカヨシ」キカは呟いた。その時彼女は、とても真剣に悩んだ。ユマナは悪意ある人間ではない。今後もし、ヤヨイやナカヨシの手で、ユマナの身に何かよくないことが起こるとしたら、それは自分のせいなのかもしれない。だとしたら不本意だ。しかしこれはユマナ自身の決める事でもあるのだ。 22
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「ナカヨシの人達は、卒業してからも交流があって、とても……すごく光栄なの!」ユマナは言った。「私、そんなこと、考えもしなかった。カチグミとか、そんな……ねえ、ごめんなさい、一人でこんな、舞い上がっちゃって」「ユマナ=サンは、学校を卒業してから何になりたい?」キカは訊いた。 23
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「卒業してから?」ユマナは訊き返した。「ううん、そうだな、そうだね……ナカヨシだった卒業生は、チャの先生になったり、自分で仕事を始めたり、政治家の奥さんになったり……でも私は全然わからないよ!」「私も」キカは言った。「自分がどうしたいかを考えるのは、スゴイよね」「スゴイだよ」24
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2013年10月19日
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