国家戦略と軍事戦略のは別物です、混ぜるな危険。

オレンジプラン(オレンジ計画とも)をして、アメリカは日露戦争のころから日本敵視政策を始めたというわけの分からないコメントに対する、個人的な突っ込み。
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鉄底海峡 @tetteikaikyou

コメ61より、「アメリカは日露戦争で日本の勝利確定の瞬間から日米の権益争いで対日戦不可避と準備を始めたからね。日露の講和の仲介をしながら対日戦勝利の方程式を探す『オレンジプラン』を始動してた。 」まあいるよね、こういう人って。>http://t.co/fqfvJ5X5Zb

2013-10-16 08:17:16
鉄底海峡 @tetteikaikyou

前ツイートに関する解説を、少し長くなるが入れてみたいと思う。政治と軍事の境界線というものを意識してないから、このような発言が出るわけであり、それは多くの人が曖昧にしか理解できていないものであると思うし。軍クラの一人として、注意喚起してみたい。

2013-10-16 08:21:33
鉄底海峡 @tetteikaikyou

そもそもオレンジプラン(オレンジ計画とも)とは「カラープラン」のひとつでしかなく、それはどこの国でもやってる仮想敵国を想定して作戦計画をあらかじめ用意しておくと言う当たり前の行動に過ぎません。

2013-10-16 08:23:57
鉄底海峡 @tetteikaikyou

すなわち、カラープランは将来アメリカと利害が対立するであろうと予想される国々に対し、色名を冠してそれぞれに作戦計画を立てたものであり、その“可能性のひとつ”として日本も含まれていた。しかもカラープランの立案は1904年であり、日露戦争開戦の年です。日露戦争後ではない。

2013-10-16 08:24:23
鉄底海峡 @tetteikaikyou

オレンジプランは1924年に一応の完成を見ますが、このときはまだ戦略的な大枠的概要に過ぎませんでした。その後改定を重ね、具体性を持った対日戦争計画へと修正されて行き,海軍大学ではその計画のもとに図上演習を重ねるのが恒例化していきました。

2013-10-16 08:25:02
鉄底海峡 @tetteikaikyou

だが枢軸国Vs連合国という国家連合の対決の機運が高まると、個別国家を対象とするカラープランは古臭いものとなり、国家群を対象とするレインボープランへと発展解消してゆく。だが太平洋戦線では事実上日米の2国間対決であったため、オレンジプラン(の戦略的要素)が役に立ったというだけです。

2013-10-16 08:25:32
鉄底海峡 @tetteikaikyou

ちなみに、カラープランは対独「ブラック」、対仏「ゴールド」、対英「レッド」などをはじめ、メキシコ侵攻戦「グリーン」や、アメリカ内戦を想定した「ホワイト」などもある。オレンジプランが日露戦争のころからあったからといって、それが日本への敵視政策と思い込むのは軍事の素人。

2013-10-16 08:26:01
鉄底海峡 @tetteikaikyou

記述のように、仮想敵国を想定して、有事に備えた作戦計画を用意するのは軍事上の常識であり、さらに言い募るなら「仮想敵国≠敵視政策」であることぐらいは理解して欲しいもの。仮想敵というのは軍事技術上の方便でしかなく、「平和を欲するなら戦争に備えよ」を実行しているに過ぎません。

2013-10-16 08:26:41
鉄底海峡 @tetteikaikyou

そもそも対日戦争計画オレンジプランとは、実際の政策に関する「国家戦略」ではなく、対日軍事行動の効率を高めるための軍事戦略でしかなく、決して対日“政策”であったわけではないのです。件の61の発言者は、ここのところを大幅に勘違いした上に被害者意識を拗らせた残念な御仁でしかありません。

2013-10-16 08:28:16
鉄底海峡 @tetteikaikyou

結論、「アメリカは日露戦争直後から対日戦不可避と考えていた」と言うのは痴者の白昼夢でしかない。

2013-10-16 08:30:08