著作権法学たんによるキャラクターの著作権について
まず“キャラクター”と言うのは三種類に分類されると考えられております。 ①漫画、アニメ等視覚的に表現される著作物に登場するファンシフルキャラクター ②小説等の言語的に表現される著作物に登場するフィクショナルキャラクター ③商品化等の目的で著作物に依らないオリジナルキャラクター
2013-10-16 00:27:41著作権法2条1項の規定は著作物の定義が列挙されており、その中でキャラクターを挙げている規定はありません。 それでは、判例もそのように解釈したのでしょうか?
2013-10-16 00:36:23日本で初めてキャラクターの著作権性を争った事件として「サザエさん事件」と呼ばれる事件がございます。これは、とあるバス会社が長谷川町子氏の『サザエさん』という漫画に登場するサザエ、ワカメ、カツオのキャラクターの似顔絵をバスの車体に描いたのが事の発端とされています。
2013-10-16 00:39:52判決では、まず連載漫画の著作物性について、以下のように触れました。これによると「漫画『サザエさん』にはその主役としてサザエさん、その弟のカツオ、妹のワカメ……等が登場し、(続く)
2013-10-16 00:44:26サザエさんは平凡なサラリーマンの妻として……描かれており、またその他の登場人物にしても、その役割、容貌、姿態などからして各登場人物の性格が一貫した恒久的なものとして表現されており(続く)
2013-10-16 00:49:59更に特定の日の新聞に掲載された特定の四コマ漫画『サザエさん』は、それ自体として著作権を発生せしめる著作物とみられ得る」と判断しました(……の部分は省略させて頂きました)
2013-10-16 00:54:32『サザエさん』は当時朝日新聞の四コマ漫画として掲載されており、日替わりで一話完結式の作品を掲載するスタイルを取っておりました。判決では、一話ずつ別の著作物として成り得るのではなく、キャラクター等から考慮し連載漫画は連綿と繋がる恒久的な著作物であると判断しました。
2013-10-16 01:00:03そして、裁判所は『サザエさん』には特定の話題ないし筋というものが存在し、著作者自身が描いていないものでも、その話題ないし筋があり、登場人物の容貌、姿態等がその漫画に登場する登場人物に合致すれば『サザエさん』とは認められる(逆も然り)、と先の判決に続けて以上のように判断しました。
2013-10-16 01:06:29長いので以下は割愛させていただきますが、当時の裁判所はキャラクターにも著作物性があり保護されると判断しました。 当時の裁判所は、です。 それでは、現在はどのように判断されているのでしょうか?
2013-10-16 01:10:51【訂正】時は変わって平成。その間にライダーマン事件などキャラクターを巡る様々な事件がありましたが、読む方も大変ですので割愛させて頂きます。 話は戻って、平成9年7月17日の最高裁にいわゆる「ポパイ・ネクタイ事件」と言われる事件の判決が下されました。
2013-10-16 01:16:46この事件で被告人Yは作品の第一回目の掲載日を保護期間の起算日とすると、ポパイの著作権は保護期間を満了したため著作物自体の著作権は消滅し、ポパイのキャラクターの絵の著作権も消滅した、と主張しました。
2013-10-16 01:27:55一審は原告Xの販売差止請求と図柄抹消請求は許容されましたが、損害賠償については証明性を欠くとし棄却され、続く二審の控訴審においてはYの控訴は棄却されました。
2013-10-16 01:37:43「一話完結形式の連載漫画においては、当該登場人物が描かれた各回の漫画それぞれが著作物に当たり、具体的な漫画を離れ、右登場人物(ポパイの各登場人物の事)のキャラクターを以て著作物と言う事は出来ない。(続きます)
2013-10-16 01:51:58けだし、キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格というべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想または感情を創作的に表現したものということができないからである。(続きます)
2013-10-16 02:02:23従って……著作権の侵害があると言うためには連載中の漫画のどの会の漫画について言えるかを検討しなければならない」(…と()は注釈させて頂きました)と最高裁判所は判断しました。
2013-10-16 02:11:49この判決は一審、及び二審で原告がキャラクターの著作物性を明確に主張し、最高裁判所が判決でそのキャラクターの著作物性を否定した最初の判決です。また、この判決は先の「サザエさん事件」の判決を真っ向から否定した形となりました。
2013-10-16 02:24:12現在でもこの「ポパイ・ネクタイ事件」の判例として最高裁判所は支持しておりますが、しかし、下級審の判決においては未だに「サザエさん事件」の判例を支持する動きが見られます。
2013-10-16 02:37:24例えば、東京高裁平成13年1月13日のいわゆる「ケロケロケロッピ控訴審事件」においては、擬人化したカエルのキャラクターとしての基本的な表現は、ありふれたものとして創作性がないため著作物性はないと判断致しました。
2013-10-16 02:43:03しかし、細部の表現に擬人化したカエルの図柄の形状、配色、配置によるバリエーションが加える事により創作性が認められるのであれば、著作物性があるとし、キャラクターの容貌や姿態等からキャラクターの著作権性を判断した判決であると言えます。
2013-10-16 02:51:20一応、こちらが予定していた分を呟きましたので、以上でキャラクターの著作権性の如何の呟きを終わりにしたいと思います。 長々と呟いてしまいましたが如何でしたでしょうか。 なにか、ご質問がございましたらば、今日のうちに返すかと思います。
2013-10-16 02:57:00結論から言えば、最高裁ではキャラクターの著作権性は認めていないので、他人の著作物のキャラクターを自分の著作物に無断で用いる事には何ら問題はありません。しかし、下級審や業界慣習ではキャラクターの自由利用を認めていない風潮がありますので、この限りではありません。
2013-10-16 03:14:35裁判にはなりませんでしたが、例を挙げるとするならば、ドラえもんの最終回を描いた同人誌を頒布したとして、小学館側がその作者に対して回収・在庫の破棄を命じた事件がありました。
2013-10-16 03:22:15このように如何に最高裁判所が判示しているとは言え、業界内ではキャラクターの無断使用を著作権の侵害である見方が強いので、キャラクターの使用に関しては実際にはかなりの注意が必要です。
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