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リュカ
@ryuka511
雪の様に舞う桜の中、僕達は静かに見つめ合う。ありがとう、という声が聞こえた気がした。桜吹雪が強まった瞬間、手を取り合って空へ向かう男女の姿が見える。きっと前世では悲恋に終わった2人だったのだろう。不思議な恋心を抱いた僕達は彼らの想いを抱えて生きて行こうと思えた。 #twnovel
2013-02-02 02:49:30
リュカ
@ryuka511
今日もご主人様のお庭の片隅で、こねことこいぬのティーパーティが始まります。ガムにカリカリ、沢山の玩具に囲まれて、こねことこいぬは楽しくおしゃべり。親達がご主人様の愛情を巡って火花を散らしていても、こねことこいぬは無関心で一緒に遊んでいます。今日もお庭は平和です。 #twnovel
2013-02-02 23:54:56
リュカ
@ryuka511
よく当たると評判の占い師がいた。彼が使うのは、未来を映すという神秘の水晶玉。だがそれはただのガラス玉だ。彼の役目は迷える人々の背を押してやる事。未来を決めるのは自分自身であり占者ではないと彼は考えている。だからこそ、彼の所には多くの迷える人が集う。 #twnovel
2013-02-03 23:10:50
リュカ
@ryuka511
殺人現場に案内された探偵はゆっくりと現場を見回した。現場は落雷のせいで電話が通じず、施錠された密室状態だったという。シーツをかけられた被害者に黙祷した後、探偵は満足げに呟いた。「実に興味深い。これぞ私の求めていた謎解きだ。」 #twnovel
2013-02-04 22:48:43
リュカ
@ryuka511
部屋中に溢れたプレゼントは、パパが約束を破った数だけ増えていく。もうお人形も絵本もいらないの。パパと一緒にお散歩したり、ケーキを食べたりしたいだけなのに。でもパパが困った顔するのは見たくないから、頑張って笑うの。 #twnovel
2013-02-07 00:51:36
リュカ
@ryuka511
心に硬く鍵をかけた。一人で生きて行くんだと決めていた。そんな私の心の鍵を壊して、殻から連れ出してくれたあなたに、愛を教えてくれたあなたに、とても感謝してる。上手く伝えられないけど、私の想いを精一杯に届けよう。 #twnovel
2013-02-07 22:28:53
リュカ
@ryuka511
スラムの片隅で二人、身を寄せあって生きてきた。誰の助けも借りず、幼い二人は精一杯生きた。善悪の区別はついたが、生きる為に何でもやった。互いの存在だけが、二人の生きる理由だった。愛でも恋でも無く、純粋にそれだけが生きる理由だった。 #twnovel
2013-02-09 00:30:45
リュカ
@ryuka511
スラムの片隅で生きる幼い2人。大人よりも大人びて、生きる為に手段を選ばない。だがあどけない寝顔は年相応。ボロ布1枚を纏い、互いを庇って眠る2人に、荒れたスラムの人々でさえ口元を緩める。この子らはここにいちゃいけないと誰もが思ったが、誰にも何も出来なかった。 #twnovel
2013-02-09 23:31:30
リュカ
@ryuka511
幼い2人は、自分達がスラムにいる理由など知る由もなかった。彼らは親の顔も知らない。だが、真実を知ってもなお、2人はスラムを出る事はなかっただろう。行く所も帰る場所も無い幼い2人。この荒れた街が2人の世界の全てだった。 #twnovel
2013-02-10 23:01:31
リュカ
@ryuka511
スラムで生きる幼い2人に、救いの手は差しのべられない。物心ついた時から2人は2人だけだった。少年が小さな指先でなぞった傷あとは、いつ少女に付いたのかも解らない。交わす言葉は少なくも、交わる心は深かった。いつ潰えるとも知れない小さな命で2人は精一杯に生きた。 #twnovel
2013-02-11 23:55:21
リュカ
@ryuka511
スラムで生き抜く為に2人は盗みに詐欺にと何でもやった。子供である事は2人の武器だった。だが罪に手を染める度彼らの心は痛む。生きる為に仕方ないと言い聞かせ、斜めに世の中見てるふりをする。いつか償うから、だから今は。こんな世界でも、生きていたいのだと2人は願った。 #twnovel
2013-02-12 23:53:57
リュカ
@ryuka511
スラムの寂れた教会は2人のお気に入りの場所。罪を懺悔し生きている事に感謝する。聖母像の微笑は自分達でも生きていていいと言ってくれる気がした。教会に咲く小さな花は2人の心を慰める。特に少女が好きな青い花が咲いたのを見つけた少年は、少女に教えてあげようと棲処へ走った。#twnovel
2013-02-14 00:25:19
リュカ
@ryuka511
少年が棲処へ戻ると少女は真っ青な顔で倒れていた。苦し気に少年を見上げ少女は精一杯微笑む。少年は少女を背負って教会へ走った。せめて最期にあの花を見せてあげようと、お気に入りの場所で最期を迎えようと少年は必死に走る。傾いた門を抜け花の咲く庭へ少女を下ろした。 #twnovel 1/2
2013-02-14 23:38:35
リュカ
@ryuka511
「今朝早く咲いたよ。」少女は嬉しそうに微笑むと唇だけでありがとうと呟き目を閉じた。少年の腕の中、少女はもう動かなかった。少年は生まれて初めて大声で泣いた。それから少年は少女と共に花の傍に寝転がった。生きる理由を失った少年がそのまま目を覚ます事は無かった。 #twnovel 2/2
2013-02-14 23:39:08
リュカ
@ryuka511
山荘に集った人々。外は吹雪。何かが起きるのにお誂え向きなのに何も起きないから俺が起こしてやった。探偵=犯人なんて反則だが仕方ない。凶器を処分し怯える皆を宥める。事件を整理してると部屋の電話が鳴った。皆の注意が逸れた隙に電話線を切り戻る。さぁ、謎解きを再開しよう。 #twnovel
2013-02-15 23:16:19
リュカ
@ryuka511
温室の手入れを終えたおじい様におばあ様が紅茶を淹れました。仲睦まじいお2人は私のご主人様。お2人は人形の私を大事にして下さいます。紅茶を楽しむお2人はとても幸せそう。私にもこんな時間を過ごせる相手が現れるかしら。ご主人様と4人で紅茶を楽しむのが私の憧れなのです。 #twnovel
2013-02-16 23:03:38
リュカ
@ryuka511
初めて買った万年筆。インク瓶にペン先を浸しインクを吸い上げるとそれだけで大人になった気がした。でも書こうとすると上手く扱えない。お前には早いよと言わんばかりに掠れ歪んだ文字になる。絶対にこいつを使いこなしてやる。親父が使いこなしてた物を俺が使えないなんて悔しい。 #twnovel
2013-02-18 23:25:40
リュカ
@ryuka511
写真立てには、2人の最後のデートで撮った写真が飾られている。彼女は写真をじっと見つめると溜め息をついた。もう2人だけの生活はおしまい。彼女は重い身体で立ち上がる。「僕がやるから座ってなよ。」「ありがとう。」台所の夫に彼女は微笑んだ。もうすぐ3人での生活が始まる。 #twnovel
2013-02-19 23:48:10
リュカ
@ryuka511
悪の組織のアジトを突き止め、俺達は総帥の部屋へ突入する。お前を倒し世界を救うと言うと奴は笑った。世界は救われたいと思っていないと言う。思い当たる節がありすぎた。お前達は本当に正義かと問われ答えられなかった。世界は滅ぼされたいのだろうか。 #twnovel #世界もう滅ぼしたい協会
2013-02-20 23:41:37
リュカ
@ryuka511
海に沈む太陽が漁港を黄金色に染める。使われなくなった漁の道具が散乱する漁港に、かつての活気は無い。野良犬が身を寄せ合い暮らす漁港を、街一番の漁師と謳われた男は懐かしい目で見渡す。あの頃も野良犬は沢山いた。この漁港そのものは昔のまま、変わったのは人の心の方なのだ。 #twnovel
2013-02-21 23:38:03
リュカ
@ryuka511
かつて銀幕のトップスターだった彼は、今世間から忘れられ始めている。｢おちぶれたスター｣と揶揄する声に彼は、絶対に返り咲いてやると誓っていた。だが最近始めた弁当屋が軌道に乗り始めている。配達先へと自転車をこぎながら、人生は1つじゃないなと思い始めていた。 #twnovel
2013-02-22 23:11:50
リュカ
@ryuka511
暖炉の傍で、ロッキングチェアに座るおばあちゃんの膝の上は特等席。飼い猫みんなが狙ってる。おばあちゃんが編み物しててもお構い無しに争う猫達。今日はどの子が勝つかしら。負けてばかりのあの子は強くなったかしら。おばあちゃんはにこにこしながら見つめてる。 #twnovel
2013-02-23 22:48:34
リュカ
@ryuka511
守れない約束はしたくないと、あなたは自分の事など忘れてくれと言う。夢を追うあなたが好きだから、留学すると聞いて笑顔で送り出すと決めた。あなたを待つと決めたのに、あなたは待たなくていいと言う。君の望む僕になれないかもしれないからと言う。結果よりも約束が欲しいのに。 #twnovel
2013-02-25 18:55:42
リュカ
@ryuka511
運河が作られ河口の風景は変わってしまった。人魚達は棲処を汚され涙する。人魚達が流す涙が煌めき水中を漂う様は美しいと評判になった。人間達は河口の環境を守ろうと動き出す。人魚の存在を知らない人間達と、人間の想いなど知らない人魚達。だがいつか通じ合う日が来るだろう。 #twnovel
2013-02-25 23:45:10
リュカ
@ryuka511
暗殺者が標的の娘に恋慕の情を抱く等あってはならない事だった。美しく聡明な娘。追われる私を彼女は匿い逃げろと言う。親の仇になってほしくない、真っ当に生きろと言う。だが任務に失敗した暗殺者に道は無い。既に踏み外した道、目の前に迫る水面。彼女の言葉が脳裏に蘇る。 #twnovel
2013-02-26 23:33:38