- twnvday_bot
- 3312
- 0
- 0
- 0
娘が嫁に行く前日、妻は娘と二人でカラオケに出掛けた。秋晴れの空はあらゆる予報を覆してどんどんと暗くなり、夕方には土砂降りとなった。雨の中、一つの傘に入って二人は帰ってきた。家族五人で夕食を済ます。妻にそれとなく聞いた。「唄ったの?」「久しぶりに。明日は、晴れよ」 #twnovel
2013-10-12 22:23:04ため込んだ感情があふれ出しそうで、口を堅く閉じ、聞こえない振りで手にした本に目をおとす。彼女の楽しそうな声はどうしようもなく私の耳から侵入し、簡単に心の扉に手をかける。理不尽な怒りのような感情は帰宅してからツイッターでぶちまけよう。独り占めしたい。足なめる位余裕。#twnovel
2013-10-12 22:33:39こんな結果になるとは思わなかった。世界の終わりが始まってようやく告白する勇気ができた。空が濃い暗闇に覆われる中、私は彼に告白した。今更だと思われても、断られても、後はもう滅びるだけ。#twnovel だと思ったのに。世界は滅びないし、彼も告白を受け入れた。ニヤニヤと笑いながら。
2013-10-12 22:50:02ねぇ君。僕を見下ろす君。僕に跨る君。僕の首を絞める君。何が悲しくて、泣きながら僕を殺すんだい。ねぇ君。愛しい君。 #twnovel 熱い涙を頬で受けて、そっと君の背に手を回す。君は絶望したような顔をして、腕の力が弱くなった。ねぇ君。息ができちゃうよ。柔らかく微笑んで目を瞑った。
2013-10-12 23:05:46そこにあった街は一発の爆弾で、そこに居た人々と共に蒸発した。廃墟の上に街が築かれた。ありふれた店が並び、惨劇の痕跡を探す者は途方に暮れる、私もその一人。通りの地下にあるレストランに降りる。ハンバーグの焦げた表面を見た瞬間、息が出来なくなる。記憶は地下に眠っている。#twnovel
2013-10-12 23:08:32#twnovel 世界の色が変わって見える気がする。昨日まで、空は青かった気がするし、木は緑だった気がするし、街も人も、もっとカラフルな色でできていた気がする。そう言ったら、友達に思いっきり笑われてしまった。「イロって、いったい何のこと?」って。
2013-10-12 23:14:07言葉の海を游いでいる。手を伸ばす。その指先に絡むのは、いつも、いつも、きみの「さよなら」。情けない僕を笑ってくれていい。僕は愛したきみを忘れられないまま、何度でも手を伸ばす。そうするワケなんて、忘れてしまった。繰り返される別れの日に、君といた証明を求めている。 #twnovel
2013-10-12 23:14:42愛用のバッグ。内側に一度も使ったことのないポケットが有る。開けてみることにした。ジッパーを開く。手を突っ込むが何の感触もない。中を覗いてみた。信号無視をして車に轢かれる自分の姿。映画のようだった。ジッパーを閉めた。信号無視さえしなければいいんだ。信号無視さえ・・・#twnovel
2013-10-12 23:17:17#twnovel 学校に不思議な扉があった。誰も行かない、山側の校舎の端の端。部活で失くしたボールを探しに行って見つけたのだが、なんとなく不気味で、ほとんど逃げるようにして運動場に駆け戻った。後日行ったら、扉はどこにも見当たらなかった。下級生の行方不明事件と、関係ないと思いたい。
2013-10-12 23:31:13部屋に犬が訪ねて来た。「寂しさを半分に!安心を倍に!ケンネル派犬サービスから来ました」赤い首輪の秋田犬が若い女の声でそう告げる。え⁉っという俺に犬は一瞬ハッとした表情になり、わん!と一声鳴いて去った。それっきり喋る犬を見たことはない。 「世にも奇妙な #twnovel 」
2013-10-12 23:31:35僕に翼があれば、今すぐ彼女のもとへ飛んで行ってこの腕に彼女を抱きしめたい。と思っていると鳥に変身した。早速、彼女のもとへ飛んで行き、彼女を抱き・・・。しまった!腕が羽になっていた! #twnovel
2013-10-12 23:31:53#twnovel 一部の犬は、人間の言葉を理解して、話すことができる。その多くはスパイとして優秀な成績を収めている。無防備な人間たちの言葉を聞き取って、散歩中のマーキングで仲間と連絡を取り合っている。彼らの報酬や、背後に潜む者たちの目的はまだわかって(日記はここで終わっている)
2013-10-12 23:51:37#twnovel チャイムが鳴ってドアを開けると『冬』がいた。いや確かに寒くはなってきたけど冬には早いだろうと呆れていると、頬を膨らませた『冬』はそんな俺の脇を通って家に入ってくる。「何だよ」「コンビニのおでんがセールしない」「はあ?」「だからおでん作って」「冬に出直してこい」
2013-10-12 23:54:08その双子の姉妹は代わる代わる店に遊びに来た。今日はどっち?が合言葉。二人の誕生日パーティの前日、姉が病に倒れた。皆で見舞に行く日、亡くなったと妹から泣きながら電話があった。お悔やみだけでも、と初めてお家に電話する。「は?娘はずっと一人っ子ですよ?」世にも奇妙な #twnovel
2013-10-12 23:55:27世界の滅びを阻止する為の旅に出るあなたに、純銀の剣を手向ける。ありがとうと微笑むあなた、何も言えず動けない私。本当は、そんな辛く無謀な旅など止めて、一緒にその時を迎えましょうと言いたいのに。 #twnovel
2013-10-12 23:57:39殺した恋人の埋め方をググる。便利なもんだ。思えば殺し方もググった。喧嘩の仕方も。疑い方も。冷たい態度の仕方も。あれ?いつから俺は彼女と仲悪くなったんだ?きっかけも何かググった結果だったな。ん?Googleだと思ってたこれ、Googleじゃ…ない… 世にも奇妙な #twnovel
2013-10-13 00:02:39#twnovel カブトムシが死んだ。ダイソーのゼリーをいつも置いたやった場所で固まっていた。ぼくはこどものように泣いた。ずっと泣いた。なきながら、じっさいぼくはこどもであるときづいた。おかあさん、とよぶと、なあに、とへんじがあった。こわくてながいながいながいゆめをみていたんだ。
2013-10-13 00:03:33#twnovel グラプトペタルムを愛した日々を何の脈絡もなく思い出した。しかし、肝心の姿というかそもそも何を表す言葉なのかさっぱりわからない。Googleの画像検索で懐かしのご対面となったが、ああ、と声を漏らしたぐらいでそれっきり。あと数十秒後にはきれいに忘れる。さようならだ。
2013-10-13 00:25:39妹の前では無敵だった5歳までの私。妹の賞賛の眼差しが私の活力の源だった。 だのに、妹は2歳で亡くなり、私は元の臆病者に戻ってしまったっけ、、。 ふと幼い日を思い出して、あの輝かしい時を取り戻したいと、思い始めた。 #twnovel
2013-10-13 00:27:39狭い橋の欄干だろうが、細い電線の上だろうが、鳩はお構いなしに口説きにかかりくるくる回る。さながらイタリア人の如きマメさで。しかしクサい台詞が言えないので回り踊るしかない。それが当人にとっていかにスタイリッシュであろうとも、人から見れば皆同じ。 #鳩の小箱 #twnovel
2013-10-13 00:32:40#twnovel カプトメドゥーサは忘れない。いい奴だった。まず名前が文字数稼ぎになる。姿もいい。どう見ても禍々しい触手を空中に踊らせておきながら植物ヅラをして一般家庭に入り込む図々しさもいい。カインズホームで妙に巨体な奴を買った覚えがある。十年以上前に干からびてそれっきりだが。
2013-10-13 00:35:36夜遅い時間に男友達から電話。『今から飲みいこ。出てこいよ』こんな時間からって、飲みに行くだけじゃない意味でしょ。これって、好きな人からの誘いならドキドキしながら行っちゃう。わかってる…誘いがあるのにノらないから出会いもない。でも違う。彼からの電話を待ってるんだ。 #twnovel
2013-10-13 00:38:47赤いショールを肩にかけた君は、まるで童話の『赤ずきん』みたいだった。頻りにおばあさんに話しかけては楽しげな笑い声をあげる。君を、君の大切なものすべてを取り込みたい僕は、童話でいうところの狼か。今日も何も言えず背を向ける。幸せの香りのする君に触れられないまま。 #twnovel
2013-10-13 00:39:29夜を売っている自販機ですか?あぁ、それなら三日前までありましたね。どこにいったかって?さぁ、わかりませんね。何しろめったにお目にかかれないレア物。おまけに値段すらその時々で変わるというやつです。そうですね運が良ければきっと、買えますよ。私ですか?興味ないですね。 #twnovel
2013-10-13 00:46:32【1/2】老人は図書館が雨除けになる場所の石のベンチに寝泊まりし、夏の朝は近くの公園の水道で髪と身体を洗い(冬はどうにかしているのだろう)慈善活動のパンが配られる正午以外は、館内で古代中国の哲学や法制度に関する、他に誰も読みそうにない典籍をひもとき続けている。 #twnovel
2013-10-13 00:48:49