- K_Miyamichi
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踊(1)生きている中で、どうしても「倦む」ことはある。自分の努力が無駄に思えたり、世間というものが動かしがたく感じられたり、そもそも、全てが虚しく感じられることがあるのだ。
2010-10-10 07:43:38踊(2)そんな時は踊る。意味など問わず、とにかく身体を動かす。実際に踊ることもある。メタファーとして踊ることもある。踊ることで、自分を地上に縛り付けようとする「重力の魔」に抵抗するのだ。
2010-10-10 07:44:26踊(3)「意味」は、ふと振り返った時に不意打ちのようにふわっと浮かび上がってくるものである。そんな「意味」はふっくらしている。「意味」を、行動を導くものとしてとらえてはいけない。そんな「意味」は鎖となり、踊る手足を縛ってしまう。
2010-10-10 07:45:32踊(4)頭を空っぽにして、とにかく踊り続けること。リズムと、響き合いと、流れにだけ着目せよ。周囲の万物との交歓に没入せよ。そうすれば、すべてが一段絡する頃に、美しい夕陽を見ることができよう。
2010-10-10 07:46:40踊(5)子どもの頃、夢中になって遊んでいて、日が暮れていくのに気付く。あの瞬間が、踊りの後に訪れる至福である。黒澤明の『まあだだよ』のラストシーンには、その機微が美しくとらえられていた。
2010-10-10 07:47:39踊(6)ギリシャ悲劇における『機械仕掛けの神』は、物語が煮詰まり、どうしょうもなくなった時に登場する。それは一種の踊りである。それで良い。論理的な整合性など関係ない。踊ってぜんぶ蹴散らしてしまえばいいのだ。
2010-10-10 07:48:49踊(7)生きることに疲れたとき、物事が行き詰まったとき、現実が動かしがたく感じられたとき、まさにその瞬間に、踊ってしまおう。スイッチを入れ、何も問わず、何も求めず、ただリズムに身を任せ、集中しよう。さすれば、魂は次第に白熱し、浮上しよう。
2010-10-10 07:49:53踊(8)踊りは「祝祭」でもある。モーツァルトの『後宮からの逃走』の最後、人質たちは解放され、皆踊り出す。そうそう。対立など忘れて、踊ってしまえばいいのだ。ええじゃないか。ええじゃないか。新時代を招くのは、踊りである。
2010-10-10 07:51:01