『原発事故と科学的方法』の読後感

もう元TWは無いみたいながら、なんか寄こせ的なTWがあったので作ってみた。
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Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( マキーノの書はもちろん名著である。中学生はさておき高校生なら書いてあることがわかるというのもそれなりにいるだろう。しかし、あそこにある科学的方法がわかるからといって、事故時にあのような推定ができるとは思えない(裏返せば、あの科学的方法は至難の技)。

2013-10-23 09:08:43
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( 現実の数字の問題を解くに当たっては、何が問題であるかを定義し、答えに至るいくつかの道筋を考えて、そのいくつかに沿って答えに至る。最後に、その道筋が妥当であったかを評価しなければならない。

2013-10-23 09:20:15
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( そもそもあそこで解かれた問題が問題であると気がつかない科学者が多かった(もちろん、比較的明らかな問題でもあったととくに後付けでは言えるし、後付けでなくても関心が自ずと集まったものもあった)。

2013-10-23 09:23:41
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( その次のある意味一番スリリングな部分が、数字に至る推定の道筋である。これはつまりコロンブスの卵。あのように見事に見せつけられるとそれしかない、当たり前のように見えるけど、教師がいない中で、あそこに至れる人が多いとは思えない。

2013-10-23 09:28:43
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( よくできる人でも、妥当かどうか迷うような一つ、あるいは複数の道筋候補を前にして、立ち止まるのではないかと推測する。(悪の枢機卿はどうだったかは彼我の差に絶望したくないので知りたくない)

2013-10-23 09:32:54
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( そうやってようやく数字が出たとして、その数字が少なくとオーダーで妥当と判断できるか。大抵できないのである。いわんや単独でその結果を公にする程度までとなると絶望である。ここに至ってやっとマキーノですら(人間らしさを見せてくれてほっとするわけだか)逡巡する。

2013-10-23 09:39:13
kentarotakahashi @kentarotakahash

震災前は、科学者ってみんな、牧野さんみたいな能力を持っているんだと思ってた。

2013-10-23 09:41:44
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( そういったわけで、影浦さんの書評は激賞の仕方には好みの違いこそあるが共感してしまう。あの書は科学的方法への信頼を回復する一助となり得るとともに、科学的方法を極端な状況で使うことのあまりの厳しさに絶望させてくれた。

2013-10-23 09:43:53
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( 個人的な経験を書くなら、2011年に航空モニタリング結果の公表を受けて、がんに限った被害予測を行い、つてを辿り、その結果と対策を細野に送ったことがある(返事は梨の礫…)。今となっては、チェルノブイリの結果から、内部被ばく量を外部被ばく量と見積もった過大なものである。

2013-10-23 09:52:11
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( 基本的に比の問題だから間違いようがないのだが、それでも結果に自信が持てずに悪の枢機卿にチェックをお願いし、ようやく送りつけることができた…

2013-10-23 09:54:31
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( 私の能力のもちろん限界を示すエピソードであるが、論文を書くのではない現実の問題を解くことの厳しさくらいは自覚していたということでもある。

2013-10-23 09:59:01
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( その後、官僚経由で放医研の研究者にアドバイスを求めたところ、ICRPでなくUNSCEARモデルで予測をすべきと言われ、レポートを何回か読んだが、どのモデルをどう組み合わせるのが、機関の見解なのかが理解できず、最低限の責任すらもてない情報を発信することになるので断念。

2013-10-23 10:02:09
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( さて激賞した(つもりの)マキーノの書であるが、あそこに込められたメッセージはなんだろう。

2013-10-23 10:07:21
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( シビアアクシデントは想定よりも高頻度で発生する、その際に政府は、あるいは科学的権威でさえ、適切な情報を提供しないという(おそらく正しい)経験則は重要である。とくに後者に対する覚悟はSMCJなど例外はあるが、当時のSTSには欠けていた。というか、いけない本でも避け気味…

2013-10-23 10:10:25
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( ではどうするかというところのマキーノの書のメッセージがわかりにくい。市民は知的武装をせざるを得ないというだけであれば、限定的にしか賛成できない。残念ながらも、知的武装も必要であることに異論は無いが。自分も含めて武装の限界はあまりに低い…

2013-10-23 10:14:38
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( 甘ったれた考えであるという批判は甘受するが、市民と科学者、科学者同士の協働しかないのではなかろうか。マキーノのレベルに至らない並の科学者、専門家であっても、集まれば相互チェックを通じて同レベルの洞察に至るのは遥かに容易なはずだから、後者は強力である。

2013-10-23 10:18:59
Masashi Shirabe @M_shirabe

.。oO( もっとも集まった結果、件のスライドに辿りついたケースを見ているだけに、やや絶望せざるを得ないのかもしれない。それでも、バラバラな市民の知的武装という方向にはそれ以上に先がないと思っている。多分、STSにも、というより今の社会に決定的に欠けているのは組織化の知恵…

2013-10-23 10:23:54