【艦これから史実へ】「霧島、サウスダコタをボコる」の真実

第三次ソロモン海戦第二夜戦、「霧島」は「愛宕」「高雄」と共に米戦艦「サウスダコタ」と殴り合い多数の命中弾を与え撃破、しかしそれを囮に接近した「ワシントン」の16インチ弾多数を浴び沈没…「艦これ」のおかげで最近よく話題に上るストーリーです。 が、それって実際のところどうだったの? 「サウスダコタ」は「霧島」からの命中弾で全主砲使用不能に陥ったよ・いやしかし「霧島」が当てた主砲弾は実はたった一発だけだよ・むしろ重巡の方が頑張ってたよ…等これまで定説として語られてきましたが、実際「サウスダコタ」はどれくらいボコられたのか? 続きを読む
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有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

そしてこうも。 「装甲は設計通りの性能を発揮した。装甲板を貫徹した砲弾はない」

2013-10-26 12:06:53
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

日本艦隊の砲弾は「サウス・ダコタ」の船体や上構にかなりの孔を開け、僅かばかりの浸水を生じさせましたが、脅威となるような火災は発生せず、中枢はまったく無事で、主砲始め、艦の火力はほぼ完全に保たれていました。では、「サウス・ダコタ」が逃げ出す原因となったのは、いったい何なのか?

2013-10-26 12:10:55
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「5 電路系の障害は日本軍の射撃によるものではない」 電力を失ったから。これリポートの答えです。

2013-10-26 12:17:44
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

日本軍にレーダーを破壊されたから、という話もありますが、そちらは事実ではありません。5インチ砲射撃指揮レーダー1基が破壊され、SC-1捜索レーダーの架台に孔が空いた(ランドグレン修正で14インチ三式弾によるものとされている)のだけが、敵弾によるレーダーの被害の全てです。

2013-10-26 12:19:38
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

しかし、装甲を撃ち抜けないまでも、上構を袋叩きにして電路系を寸断し、戦艦を無力化して後退に追い込んだだけでも大した戦果ではないのか? 遺憾ながら、それもまた「神話」の一部に過ぎません。

2013-10-26 12:22:38
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「通常、敵の行動が原因でない被害はダメージ・リポートに含まれないが、本リポートでは、発砲の衝撃による電路故障がサウス・ダコタの深刻なハンディキャップとなったことを鑑みて、特に言及するものである」

2013-10-26 12:24:33
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「上構の電路に広範な被害が生じた。 射撃指揮、艦内通信、無線、レーダーの機能が多く喪失し、艦の戦闘力、わけても夜戦戦闘力を顕著に減殺せしめた。サウス・ダコタ電路工事表には、修理を必要とする35種類の電路が列挙されている」

2013-10-26 12:26:01
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「大多数の事例において、電路系の被害は特定の命中弾とは無関係である」 「交戦中、3分間にわたった射撃指揮及び艦内通信の電源喪失は、発砲による破壊が生じさせた電路のショートが原因である」

2013-10-26 12:27:10
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

簡単に説明すると、自らの発砲の衝撃で電路の誤作動が生じ、ショートした。もちろん軍艦ですから、間髪入れずに復旧システムが立ち上がりますが、その重要な一部、自動母線切替スイッチとフィーダ線及び主発電機のブレーカーの設計に不具合があり、大混乱を招いてしまったのです。

2013-10-26 12:31:16
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「艦の後部においては、約1分間にわたり全電源を喪失したと報告されている。 このことは最初の命中弾を受けるより前に起こったのである」

2013-10-26 12:32:51
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

日本艦隊の砲弾が命中するより前に、「サウス・ダコタ」は暗闇に包まれていた。3分間――戦場、それも彼我近迫する夜戦での長い3分間――「サウス・ダコタ」は装甲が分厚いだけの死にかけたアヒルとなっていたのです。

2013-10-26 12:35:10
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「6 大損害ゆえに後退したのではない」 既に答えは出ていますね。孫氏曰く、「戦争とは心理の戦いである」。

2013-10-26 12:43:08
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「全捜索レーダーの機能喪失は、サウス・ダコタの深刻なハンディキャップとなった。艦長は以下のように報告している」

2013-10-26 12:44:12
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「(乗員の)捜索レーダーに対する信頼は驚くほどであった。この艦がSGとSC装置の双方を失った際の、士官と乗員たちが被った心理的な効果はすこぶる重大であった。レーダー装置を失ったことで、誰もが、完全に目隠しされてしまったように感じたのである」

2013-10-26 12:44:59
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

結論: 「サウス・ダコタ」を後退せしめた主因は、日本軍の砲弾ではなく、自らの発砲が招いたレーダー装置の機能喪失が将兵をあらかじめパニックに陥れていたことである。

2013-10-26 12:51:21
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

少し長くなりましたが、以上です。最後にお断りしておきたいのは、 1:私がダメージ・リポート「だけ」に昨夜ざっと2時間ほど目を通しただけで書いた文章であること。 2:リポートには明らかに戦闘詳報その他と矛盾する点があるが、上の理由により、それらについては説明していないこと。

2013-10-26 12:59:28
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

結局、搭載機が燃えたのかどうか、燃えたとしたらどの程度燃えたのかも確認できないので、これについては述べないことにしました。 他にも、疑問点あるいは明らかな誤りが必ず多くあるはずですが、賢明な皆さんのご指摘をお待ちする所存です。

2013-10-26 13:02:19
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

まあ、私のスタンスとしては、せっかく艦娘を通じて艦船に興味を持たれたのであれば、便利なネットという道具を使って、色々な情報を色々な視座から、ああでもないこうでもないといじって見るのも楽しいですよ、ということで。

2013-10-26 13:04:32